この記事では、『随意運動』と『不随意運動』について解説していく。

 

随意運動と不随意運動(+違い)

 

随意運動は、ウィキペディアによると以下の様に記載されている。

 

随意運動(voluntary movement、ずいいうんどう)とは、生物の行う運動の中でも、自己の意思あるいは意図に基づく運動のことをいう。

 

自己の意思によらない、あるいは無関係な運動は不随意運動あるいは反射運動と呼ばれる。

 

要は、自分の意志に基づく運動全ては『随意運動』に該当する。

 

例えば以下などは全て随意運動。

 

  • 歩く・走る・泳ぐなどの「全身運動」
  • 何かを握る・パソコンを打つ、などの「部分的な運動」
  • その他、食べ物を咀嚼したり、声を出したり・・・・などなど

 

 

随意運動は『意志運動』と『自律運動』に分けられる

 

先ほど『自分の意志に基づく運動全ては随意運動に該当する』とザックリ解説したが、もう少し詳細に記載しすると、随意運動は以下の2つに分けられる。

 

  • 意志運動(volitional movement):

    意志運動は、新しい課題や困難な動作を行う時の運動であり、大脳皮質(錐体路経系)からの調整が主なものとなる。

    例えば、ピアノやパソコンのキーボードの操作を、最初に行う時の状態がこれにあたる。

    手と目の協調性を最大限に利用して行われるため、日常の動作を行う時よりも疲労が増大する。

    しかし、これらの操作を毎日繰り返し学習すれば皮質下でのプログラミングが行われ、鍵盤やキーボードを見なくても操作することが可能な状態になる。

    このレベルまで到達するには時間を要するが、一度プログラミングが行われると『自律運動(反射的な運動)に近づくため疲労も少なく、効率的に行えるようになる。

 

 

  • 自律運動(automatic movement):

    日常意識しないで行う動作がこれに当たり、発達的要素や姿勢反射の要素が多く含まれている。

    そのため、無意識の動作となり疲労を伴うことも少なくなる。

    個人的には、自動車免許の講習を受けている最中(や免許取得直後)は、自動車の操作一つ一つに緊張し、事故を起こさないように慎重に運転していたのを思い出す。でもって、道中の出来事を一つ一つを鮮明に覚えていたものである。しかし現在は、自律運動に近い状態で運転しているので通勤道中における記憶がほとんどないこともある(これってヤバいですか??)。

    あるいは徒手療法における『対象者への接触(タッチ)の仕方』も同様である。最初の内はどうしても手に力が入ってしまったりすることがあり、何度も意識しなければいけないが、繰り返していくと自律運動に近づくことになる。

    前述したように、姿勢反射(姿勢の反射性調節に関わっている機能)がこの運動調節にかかわっており、姿勢反射についての詳細は以下でも詳しく解説しているので参考にしてみてほしい。

    関連記事⇒『姿勢反射とは!? 立ち直り反射も含めて解説

 

※歩行などは、いちいち「どう体を動かせば良いか」などを考えながら歩いているわけではないので、「自律運動に近い動作」と言える。

 

※しかし、脳卒中片麻痺などでは、「どう体を動かせば上手く歩けるか」がリセットされてしまう場合もあり、「意志運動に近い活動」と言える。従ってリハビリ(理学療法)の目的として、再び自律運動に近い活動(その人に合った歩行)を再建することが挙げられる。

 

 

不随意運動とは

 

随意運動という言葉に対して不随意運動という言葉がある。

 

これは随意運動と同様に刺激がなくても生じるが、「自分の意志でその動きを抑制することができない」という点が異なる。

 

不随意運動とは、意図せずに出現する、または意識的に制御できない運動を指す。

 

心筋、内臓平滑筋、内分泌腺、外分泌線などの運動で、自律神経系(交感神経・副交感神経)によって調整されている。

 

また、基底核病変や錐体外路系障害などによって起こることがある。

 

不随意運動は睡眠時は休止し、感情的刺激により増強する。

 

顕著なものは振戦で、上肢、下肢および頭部、顔面、眼瞼などに現れる。

 

そのほか、舞踏運動、バリズム、アテトーゼ様運動、ミオクローヌスなどの不随意運動がある。

 

理学療法学事典より~

 

 

例えば、「抑制しようとしても出現してしまう運動」としては、パーキンソン病の振戦などはイメージしやすいのではないだろうか?

 

もっと一般化した例で言うと、以下なども(自分が意図せずに起こる運動・抑制できない運動という意味で)不随意運動と表現できる。

 

  • 大勢の前で発表をする際に(自分が意図せず)声が震えてしまう。
  • 薬剤の副作用で手が震えてしまう。

 

 

不随意運動の原因は各々で異なっているが、主に錐体外路系を含めた大脳基底核や小脳系の異常が関与していると考えられている(不随意運動やそれを惹起する疾患は多岐にわたる)。

 

 

不随意運動の分類

 

不随意運動は以下に分類される。

 

  • 振戦(安静時振戦・企図振戦)

 

  • 舞踏運動

    四肢遠位部優位に出現する非律動的で比較的早く滑らかな不随意運動を指す。

 

  • アテトーゼ

    遠位部優位に出現する持続的でゆっくりとくねるような不随意運動である。

    多くの場合では舞踏運動に混在し、錐体外路系の不随意運動はこのタイプが多くみられる。

 

  • ジストニア

    ジストニアは主動筋と拮抗筋が同時に収縮することによって生じる症候群であり、異常姿勢が主要な徴候であるが、不随意運動を伴うこともある.

 

  • ミオクローヌス

    ミオクローヌスは短時間の筋不随意収縮によって生じるものである。

 

  • バリスム

    バリスムは四肢を振り回すような、大きく激しい不随意運動である。

    多くの場合は一側性にみられる。

    原因はほとんどが脳血管障害であり、責任病巣は視床下核などにある。

 

 

ちなみに、「てんかん発作などによるけいれん」や「筋の線維束収縮」といった微細な筋肉運動に関しては、不随意運動に含めるかどうかが文献によって異なる。

 

 

不随意運動の鑑別

 

見慣れない不随意運動を明確に診断するのは医師であっても非専門医ではかなり難しいと言える。

 

従って、誰にでも分かる振戦(ふるえ)を除いては、以下の様なポイントを視診である程度予測していくしかない。

 

  • 部位(身体のどこに起こっている不随意運動か)
  • 速さ(1分間に何回くらいの不随意運動が起こっているか)
  • 規則性
  • 不随意運動の大きさ
  • どの様な格好を取るか
  • 筋トーヌスは亢進しているか低下しているか

 

 

以下は、「振戦などを除く他の不随意運動の見分け方」の一例である。

~『脳神経疾患のみかたABC (日本医師会生涯教育シリーズ)』より引用~

 

不随意運動 主な存在部位 規則性 運動の速度 筋緊張 主な病変部位
バリズム 四肢近位筋 なし 速い 低下することが多い

反対側

視床下核およびその関連線維

舞踏病

四肢遠位筋

時に顔・舌・躯体

 

なし 速い 低下

反対側

尾状核

被殻

アテトーゼ

四肢遠位筋

時に顔・舌・頸筋など

なし 遅い 亢進

反対側

被殻

ジスとニア 四肢近位筋・体躯 なし 遅い 亢進、時に低下

反対側

被殻

その他

口蓋ミオクローヌス

口蓋

時に咽頭・喉頭ほか

時にあり 非常に速い ーー Guillain-Mollartの三角
ミオクローヌス 単一の筋肉または筋群 時にあり 非常に速い ーー 大脳~脊髄、主に小脳

 

筋緊張(筋トーヌス)の評価に関しては以下も参照。

 

筋緊張とは? 筋トーヌステスト(筋緊張検査)も含めた評価を紹介

 

 

随意運動と対比した用語である『反射運動』

 

随意運動・不随意運動の余談として『反射(運動)』を記載して終わりにする。

 

先ほどは、随意運動の対比用語として不随意運動を記載したが、不随意運動と同様に分かり易い対比用語として『反射運動』もある。

 

※不随意運動も反射運動も随意運動の対比用語とであるが、だからといって「不随意運動=反射運動」では無いので誤解なきよう。

 

 

随意運動・不随意運動ともに刺激がなくても起こる運動であるのに対して、
反射運動は「生体の内外の刺激に対して決まったパターンで対応する運動」である。

 

例えば深部腱反射は、打鍵器で腱を叩くと決まったパターンで反応(運動)する。

※膝蓋腱反射では、膝蓋腱を打鍵器で叩くと、膝関節の伸展運動がおこる。

 

反射検査(深部腱反射・病的反射)とは!意義・種類・記録法などを紹介

 

深部腱反射の検査まとめ(+動画)

 

 

ただし、随意運動の解説で記載した「自律運動」は刺激がないと起こらない運動が含まれる。

 

でもって、反射運動の一部は『姿勢反射』として(随意性運動の一つでもある)自律運動と考えても良いと思われるため混乱しないようにしてほしい。

 

なので、(自律運動の解説と重複するが)反射運動の中枢が上位中枢に移行するに従い、反射には随意性が関わってくるともいえる。

 

例えば、平衡反射などは反射ではあっても、ある程度の随意性も関わってくる。

※例えば、ステッピング反応や傾斜反応などは、ある程度の随意性も関わってくる。

 

※なので、平衡反射は(随意性も関わってくるという意味で)反射とは表現せず平衡反応と表現されることもある。

 

生物学で言う反射(はんしゃ、英: reflex or spianl reflex)とは、動物の生理作用のうち、特定の刺激に対する反応として意識される事なく起こるものを指す。普通、反射という言葉を使う対象は意識の存在が(曖昧にではあっても)確かめられる脊椎動物に限られる。たとえば昆虫が光に集まる、ゾウリムシが水面近くに集まるというような走性は反射と呼ばない。ヒトの反射でもっともよく知られたものに、膝蓋腱を叩くと下腿が跳ね上がる膝蓋腱反射がある。

 

~ウィキペディアより引用~

 

立ち直り反応(反射)・平衡反応 の違い{バランス検査/評価}