この記事では、関節リウマチや変形性膝関節症と間違われやすい『偽痛風』について解説していく。

 

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偽痛風って何だ?

 

痛風性関節炎と症状が酷似しているため偽痛風と呼ばれる。

 

偽痛風は、関節液中のピロリン酸カルシウムによって引き起こされる結晶誘発性滑膜炎である。

※ピロリン酸カルシウムの結晶が関節に沈着するために生じるとされている。

 

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偽痛風の特徴

 

偽痛風の特徴は以下の通り。

  • 発作は夜間に起こることが多く、安静時にも痛む。
  • 高齢者に多い。
  • 疼痛は様々な部位に出現するが、特に膝関節に好発する。

 

 

特に「高齢者に多く、膝関節に好発する」というのは興味深い。

 

例えば、入院患者の中にはま稀に「誘因なく膝に激痛を訴える高齢者」がいたりする。

 

で、炎症徴候がなければ動かしたりするのだが、まずは「膝関節の機能障害なのか、偽痛風(や痛風なのか)といった点も頭の片隅に入れておくのは大切かもしれない。

 

もし偽痛風による膝痛であれば、リハビリでは治らない。

 

ただし、だからと言って安静にしていると高齢者なだけに急速な二次的障害が生じてしまうので、(無理のない範囲での)離床、筋力の維持・増強、ADL訓練などが実施されることが多い。

 

 

偽痛風のメカニズム

 

偽痛風発作の詳しいメカニズムはわかってない。

 

前述したように「偽痛風は、関節液中のピロリン酸カルシウムによって引き起こされる結晶誘発性滑膜炎」と記載はしたものの、臨床では「大量の結晶が沈着しているにもかかわらず、発作と発作の間は痛みを感じない人や、常に痛みがない人もいる」とされている。

 

つまり、「ピロリン酸カルシウムの結晶が関節に沈着」だけでなく+αとして何らかの誘発要因が存在するのかもしれない。

 

 

偽痛風の診断と治療

 

ここからは偽痛風の診断と治療について記載していく。

 

偽痛風の診断

 

偽痛風の診断は以下の2つが有名である。

 

  1. 関節液中の血漿の成分を調べる:

    関節液中のピロリン酸カルシウムの結晶を証明することで偽痛風の証明が為される。

     

  2. X線検査で、ピロリン酸カルシウムの沈着による、石灰化像の有無を調べる:

    X線では関節軟骨の石灰化像が特徴であり、膝関節の場合は半月板の石灰化像もみられる。

 

偽痛風の治療

 

治療には、痛みを抑える非ステロイド性消炎鎮痛薬を用いる。

 

痛みが激しく炎症が強いときは、関節の水を抜いてヒアルロン酸やステロイド薬などの関節内注射が行われる。

 

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「偽痛風の症状」と「痛風との違い」

 

偽痛風と紛らわしい用語なのが「痛風」である。

 

でもって前述したように、偽痛風は急性関節炎発作が様々な部位に生じることが多いのだが、痛みのレベルは痛風(風が吹いただけでも痛むレベル)ほどひどくないことが多い。

 

その他の違いとしては以下などが挙げられれる。

 

  • 結晶が関節の近くの組織に蓄積することが多い痛風と異なり、偽痛風の患者では結晶の固い塊(痛風結節)ができることはまれ

 

  • 「痛み」という症状も類似しているのだが、血液検査をすることで鑑別が出来る(偽痛風は、尿酸値は正常)

 

 

ちなみに、痛風も偽痛風も『結晶性関節炎(crystal arthritis)』に該当する。

 

結晶性関節炎とは:

結晶状のものが関節腔内に存在することによって生じた関節炎を指す。

急性のものは疼痛が発作性に出現する。

慢性のものは変形性膝関節症との区別が困難である。

尿酸結晶による痛風」、「ピロリン酸結晶による偽痛風」が代表。

 

 

関連記事

 

「偽痛風」と類似した用語に「痛風」があり、こちらの方が有名な用語と言える。

そんな「痛風」に関しては以下の記事で解説しているので興味がある方は観覧してみてほしい。

⇒『痛風って何だ? 私の父も痛風持ちです

 

偽痛風は膝痛が生じやすい疾患であり、時として変形性膝関節症と間違えられる(膝関節の機能障害が原因で痛いのかな?と勘違いされることがある)。

そんな変形性膝関節症に関しては以下の記事を参照してみてほしい。

⇒『変形性膝関節症のリハビリ!「理学療法ガイドライン」を参考に総まとめ