この記事では、上行性伝導路について解説していく。

 

目次

閉じる

上行性伝導路とは

 

  1. さまざまな感覚情報は、脳神経や脊髄神経を構成する知覚ニューロンによって中枢神経に運ばれる。でもって、この知覚ニューロンを『一次(知覚)ニューロン』という。

  2. それぞれの感覚を受け持つ「一次ニューロン」の軸索は、中枢神経内に入り『二次ニューロン』とシナプスする。

  3. 「二次ニューロン」の軸索は『三次ニューロン』とシナプスする。

 

中枢神経(脊髄~脳)内では、それぞれのニューロンの細胞体は特定の場所に集合しており、その間を神経線維が連絡している。

 

これを『上行性伝導路』という。

※上記の「二次~三次ニューロン」が上行性伝導路に該当

 

スポンサーリンク

 

疼痛を題材に、上行性伝導路を解説

 

「1次ニューロン」「2次ニューロン」「3次ニューロン」について、以下では疼痛を題材にして深堀解説しているので、合わせて観覧してみてほしい。

⇒『痛みの伝導経路(筋骨格系理学療法の世界)

 

※上記リンク先では「1次・2次・3次侵害受容ニューロン」を解説。

 

 

外側脊髄視床路・後索内側毛帯路

 

感覚は、その種類ごとにいくつかの経路で伝えられる。

これを感覚路といい、意識に上る代表的な感覚野伝導路として以下の2つがある。

 

①脊髄視床路:

「粗大な触圧覚」や「温痛覚」を伝える神経線維の経路の場合、後根を通った神経線維は脊髄後角のニューロンにシナプスをつくる。

次のニューロンの軸索は正中線を越えて、反対側の脊髄側索(白質の外側部)を上行し、視床に達する。

この経路を脊髄視床路という。

その次のニューロンの軸索は大脳皮質の感覚野(体性感覚野)に達する。

 

②後索・内側毛帯路:

「精細な触圧覚」や「意識される深部感覚(振動覚・位置覚)」を伝える神経線維の経路の場合、脊髄後根を通った神経線維が(脊髄ではニューロンを変えず)そのまま同側の後索を上行して、延髄後索核に至る。

でもって、ここからニューロンは反対側へ交叉し内側毛帯とよばれる領域を通って視床に達する。

この経路を後索・毛帯路という。

視床からは同様に大脳皮質の感覚野に至る。

 

 

関連記事

 

ニューロンによる情報伝達路を『神経路』という。

 

でもって神経路は、末梢神経系ではいわゆる『神経』、中枢神経系では『伝導路』を指す。

 

伝導路に関しては、末梢から上位中枢へ情報を送る『上行性伝導路(感覚路)』と、中枢から末梢に信号を送る『下行性伝導路(運動路)』に大別される。

 

 

この記事では「上行性伝導路」を解説してきたが、以下の記事では「下降性伝導路」を解説しているので一緒に観覧すると理解が深まるかもしれない。

 

⇒『下行性伝導路(の皮質脊髄路)を解説するよ

 

 

また、疼痛を題材にして上行性伝導路を深堀解説した記事としては以下がある。

⇒『痛みの伝導経路(筋骨格系理学療法の世界)