この記事ではアキレス腱断裂に関して原因・症状・治療法について解説していく。

 

ちなみにアキレス腱とは『下腿三頭筋(ヒラメ筋・腓腹筋)』が合体して腱になったもので踵骨後方突起に付着している。

 

下腿三頭筋に関しては、記事の最後にリンクを貼っているのでアキレス腱がピンとこない方はわせて観覧してみてほしい。

 

アキレス腱断裂の原因

 

アキレス腱断裂は以下などで発症する。

 

  • 急性発症:

    ・スポーツ活動

    ・階段の踏み外し

    ・転倒

    ・・・・などによってアキレス腱に急激な外力・伸張力が加わった場合

 

  • 慢性発症:

    ・慢性的な繰り返しの刺激によって断裂する場合

 

スポンサーリンク

 

アキレス腱断裂は、どんな人に発症する?

 

  • アキレス腱断裂はスポーツ外傷として有名で、特にバレーボール・バドミントン・ソフトボール・テニスでの受傷が多いとされている。スポーツ以外では「転倒や転落」「階段の踏み外し」が多い(高齢者に多い傾向)。

 

  • 腱の退行変性が基盤にあると言われており、30歳以降に多発(若いころ筋力に自信があった人が、年を取って若いころと同じような運動を急に行おうとすることで断裂する)。これは「若い時分の能力を今も有している」と今現在の能力を高く見積もりすぎている(セルフエフィカシーが高すぎる)状態で起こり易いと言える。準備不足でスポーツ開始直後に受傷することが多いとされている。

 

  • もちろん、若年者で活発にスポーツ活動をする人も起こり得る。

 

※昔からスポーツをやらない人は無理をしないので、アキレス腱損傷も起こりにくい。

 

※スポーツが受傷機転な場合は、「背後から蹴られた」や「ボールが当たった」などと受診時に訴えることが多いとされる。

 

 

加齢や疾患がアキレス腱に与える影響

 

アキレス腱断裂は「スポーツ外傷」といったイメージが強いのだが、ここでは加齢や疾患にフォーカスして、これらがアキレス腱に与える影響を記載していく。

 

アキレス腱断裂では、変性像やコラーゲンの断裂が高頻度に観察されることから、加齢による腱内の血流減少が基盤となり、局所の低酸素や変性の進行と、ストレスによって繰り返される微小損傷などが原因となって発症に至るとされている。

 

一方、アキレス腱付着部の断裂は、糖尿病や透析などの基礎疾患の合併や、腱内に骨化がみられる中・高齢者によく起こると言われている。

 

※これらは受傷前よりなんらかの慢性炎症のために腱の脆弱性が存在し軽微な損傷を契
機として発症する可能性がある。

 

 

アキレス腱損傷の症状

 

アキレス腱部に「パチッ、ポキッ」というアキレス腱の断裂音を認め、蹴られたような激痛と歩行障害を訴えると言われている(あくまでイメージ)。

 

診察では以下などが確認される。

 

  • アキレス腱の断裂部に陥凹(凹んだ状態)が触知できる。
  • アキレス腱部に強い圧痛を認める。
  • アキレス腱断裂が起こっても歩行は可能な場合もあるが、踵あげ(爪先立ち)は困難となる。
  • アキレス腱をストレッチしたり、腓腹筋をつかむ(シモンズテストやトンプソンテスト)と痛みが増強する。
  • また、診断には画像所見としてはMRIや超音波も活用される。

 

 

シモンズテスト(Simmonds test)とトンプソンテスト(Thompson test)の方法

 

「シモンズテスト」と「トンプソンテスト」の方法は以下の通り。

 

両テストともに腹臥位(うつぶせ)で足関節より遠位を治療ベッドから出す。

その状態で、下腿三頭筋(ふくらはぎ)を握る。

この操作によって足部が動かなければアキレスけん断裂の可能性を示唆する。

 

※本来なら、下腿三頭筋を握ることで、アキレス腱に伸張刺激が加わり距骨を引っ張るので、足関節背屈方向へ多少動く。

 

シモンズテスト(イラスト左):

膝を伸展した状態で下腿三頭筋を握る

 

トーマステスト(イラスト右):

膝を90°屈曲させた状態で下腿三頭筋を握る

アキレス腱断裂に対するトンプソンテスト

トーマステスト(イラスト右)は二関節筋である腓腹筋の影響が除外されるが、シモンズテスト(イラスト左)は腓腹筋の影響が除外されない。

なので、シモンズテストの方が陽性所見が分かり易い。

必ず健側と比較することが重要となる。

 

動画としては以下も参照。

 

 

 

アキレス腱断裂に対する治療

 

アキレス腱断裂に対する治療としては以下の2つがある。

 

  • 保存療法(手術しない方法)
  • 手術療法

 

保存治療としては足関節最大底屈位で膝下固定ギプス固定6週間としている報告が多い。

その後、ヒールを付けた測定板を使用する。

※ヒールを付けて足関節底屈位(アキレス腱にテンションがかかりにくい環境)にする。

 

手術療法としては縫合術を施行し、術後は足関節下垂位での4~6週間膝下ギプス固定としている報告が多い。

 

保存療法と手術療法に関しては、いずれの場合も受傷6か月の時点で結果に差がないとの文献がある(黒川紘章・他:足関節・足部疾患の整形外科治療の概要.理学療法,31(2):124-130.2014.)。

 

ただし、全国的にもほとんどの整形外科施設(95%以上)でスポーツ選手のアキレス腱断裂の治療には手術的治療を第一に選択していると言われることもあったりと意見が分かれる(外部リンク:関東労災病院 アキレス腱断裂の治療 手術とリハビリテーション)

 

でもって他の文献においても、(高齢者や非競技者では保存療法が施されることもあるが)活動的な生活を送っている患者の場合であれば、通常は手術療法で治療されるとの記述が多い。

 

 

関連記事

 

⇒『捻挫と靭帯損傷(+違い)知ってる? 解説するよ

 

⇒『下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)のトレーニング+ストレッチ

 

⇒『アキレス腱炎の原因・症状・治療法を解説