この記事では、温熱療法の一つである『ホットパック』について、効果・適応・禁忌・使い方などを解説していく。

 

市販のホットパック(湿熱性温熱療法グッズ)も紹介するので楽しみにしておいてほしい。

 

ホットパックとは

 

ホットパックとは「ゆっくりと熱を放散する素材(シリカゲル)」をハイドロコレータという専用の機械で75~80℃に加熱して使用する。

 

以下がホットパック(シリカゲルを使用した素材)となる。

 

 

 

ホットパックの使い方

 

ホットパックの仕用方法としては以下の2通りがある。

 

①湿熱式:

ホットパックをそのままタオルに包んで身体へ当てる方法。

 

②乾熱式:

ホットパックをビニールで包んだ後でタオルを重ねて用いる。

 

 

湿熱式は乾熱式に比べて生体温度の上昇率が高いとされているが、ホットパックが終了したら速やかに水滴をふき取る必要がある(皮膚表面を水が気化する際に熱を奪うため)。

 

上記は、入浴をイメージすると分かりやすい。

 

真冬であっても、入浴によって体をポカポカに温めることができるが、温まった後に(十分に水滴を拭かずに)寒い脱衣所に出ると、一気に体温の低下を感じてしまう。

 

一方で乾熱は衣服を着たままで身体に当てることが可能であり、水滴を拭きとるなどの手間もないので、リハビリ室ではこちらが用いられていることも多い。

 

※例えば、衣服を着たまま腰や肩に当てて温めることができる。

 

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温熱療法の効果

 

ホットパックを含めた「温熱療法」の効果について記載していく。

 

温熱療法は様々な種類があり、ホットパック以外に以下がある。

 

 

 

そして、これら温熱療法の生理学的効果は以下が挙げられる。

 

  • 血流の増大作用
  • 鎮痛効果(血流増大により発痛物質や老廃物の除去による影響が言われている)
  • 軟部組織の伸張性増大

・・・・・・・・・・・・・・などなど。

 

 

「軟部組織の伸張性増大」に関しては、ホットパックの対象は皮膚や表層の筋筋膜が対象となる。

 

これは、ホットパックが表在性温熱療法(身体の表層のみを温める効果がある)とされている。

 

※一方で超音波は深部まで温熱効果を浸透できるなど、同じ温熱療法でも特徴が異なる。

ここでは温熱に関してザックリと記載したが、更に詳しい作用に関しては以下も参照

⇒『温熱による作用を解説!

 

 

ホットパックの適応

 

ホットパックによって得られる効果(適用)は以下の通り。

 

  • 筋緊張の緩和
  • 循環の改善
  • 疼痛の軽減
  • 組織の伸張性改善
  • 精神的リラックス

 

これらの作用は、前述した「温熱療法の効果」からも何となくイメージできると思う。

 

また、精神的リラックスも、ホットパックで得られやすい作用といえる。

 

※温泉療法でも精神的リラックスが起きやすい。

※一方で、超音波療法では精神的リラックスは得られにくい。

 

 

ホットパックを実施したのちに徒手療法(ストレッチングやモビライゼーション)を実施することもある。

 

 

ストレッチングに関して:

 

ホットパックによって筋緊張が緩和することによって筋の「反射的短縮」が除去されるため、構造的短縮にアプローチすることが出来る。

 

筋・筋膜の伸張性自体も改善されているため、構造的短縮への効果も得られやすい下地をと整えることができる。

 

※関連記事
⇒『ストレッチング、ちゃんと知ってる?

⇒『(外部リンク)反射的短縮と構造的短縮(筋拘縮)

 

 

関節モビライゼーションに関して:

 

関節モビライゼーションを施行するためには「リラックス出来ていること」が前提条件となるため、前処置としてホットパックすると効果的な場合がある。

※関連記事⇒『モビライゼーション成功の秘訣とは?

 

また、機械的刺激ではなく神経生理学的な刺激を利用しているのでイリタブルな症例でも効果を発揮できることがある。

 

例えば、むち打ち後遺症、軽微な機械的刺激にも反応し易い虚弱高齢者など

※ただし後述する様に、急性期の炎症などでは禁忌

 

 

ホットパックの禁忌

 

ホットパックの禁忌は以下の通り。

  • 急性期の炎症(出血、腫脹などが強い場合は特にダメ)
  • 知覚障害がある場合
  • 皮膚疾患、感染巣がある部位
  • 腎、心疾患による強い浮腫、循環障害がある場合
  • 出血傾向の強いもの(血友病)
  • 収縮期血圧90㎜Hg以下のとき
  • 悪性腫瘍
  • 放射線による治療箇所

 

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ホットパックのメリットデメリット

 

上記は禁忌ではあるものの、ホットパックによって「即座に大事故につながる可能性があるもの」は少ない。

 

なので、他の温熱療法と比べて処方し易いというメリットがある(処置における技術レベルも少ない)。

 

デメリットとしては、深部性の温熱であることや、小さな領域に接触させることが難しい点となる。

 

深部性の温熱療法としては以下がある。

  • 極超短波療法(マイクロ波)
  • 超音波療法

 

小さな領域に接触させることが出来る温熱療法としては以下がある。

  • パラフィン浴
  • 温泉療法(要は入浴する)

 

 

上記に記載した『温熱療法全般』における作用のまとめ記事は以下になる。

この記事も合わせた観覧することで、温熱療法に対する理解が一層深まると思う。

 

温熱療法の作用まとめ! 『温熱の良し悪し』を把握して臨床に活かそう♪

 

 

余談ではあるが、物理療法全般における一覧記事は以下になる。

 

物理療法を使いこなせ!一人職場療法士が知っておきたい物理療法ポイントまとめ

 

 

自宅でも簡単な「レンジでチンしてホットパック」もあるよ

冒頭でも記載したように、病院・クリニックで使用されるホットパックは、「ハイドロコレータ」という専用の機械で75~80℃に加熱しておき、使用する。

 

一方で、ハイドロコレータ―を使用せずともホットパックと同様な「湿熱性な温熱療法」の効果を自宅でも体験することは可能であり、例えば「モイストヒートパック」といった商品がある。

 

レンジでチンするだけで、湿性ホットパックが体感できる。

 

※(冷凍することで)寒冷パックとしても使用ができ、手洗いや洗濯も可能。

※寒冷パックと使用する場合の『寒冷効果』は以下を参照

⇒『寒冷療法の作用まとめ

 

サイズも様々あり、形状も例えば以下の様な頸~肩に特化した物もある。

冒頭で「ホットパックはシリカゲルという素材を使用している」と記載したが、モイストヒートパックは「メディビーズ」という素材を使用しており、この素材のおかげでレンジで温めると湿性の温熱療法を体感することができる。
ホットパック
これなら訪問リハビリ先などでも使用出来たり、整体院などでも簡便い使用出来たりする。

 

※ただし、メディビーズの特性上、数時間(モイストヒートパックの場合は2時間以上)は放置して空気中の水分を吸収させなければ、再利用できないため、連続加熱・連続使用は出来ない点には注意してほしい(メディビーズは自重の30%の水分を保持、放出する特性があり、これによって湿熱効果が得られる)。

 

※患者さん・利用者さんが「病院で受けるホットパックを自宅でも受けたい」と思って購入することもあるようだ。

 

難点を挙げるとすると(医療機器を謳っているからか?)値段が高い点かも知れない。
もう少し安価なもので、「レンジでチンして、湿性の温熱効果が得られる商品」としては以下がある。

 

※メディビーズを使用しているかは不明。

 

※両方とも同様な効果が得られるか・耐久性が同等か(あるいは、どちらが優秀な商品か)は不明。

 

安価な商品、あるいはお試しで使用してみたい方は是非。

 

 

ホットパック動画

 

最後に、ホットパック処方の一例を動画で示して終わりにする。