この記事は、『運動耐容能』に関する解説と、その評価方法(主に運動負荷試験)をまとめた記事である。

 

※ちなみに、パソコンでは「運動耐用能」と変換されてしまったり、教本にも「運動耐用能」と記載されているものが存在するが、正しくは『運動耐容能』という感じが正解のようだ。

 

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目次

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運動耐容能=「運動耐性」「運動許容量」

 

運動耐容能(exercise tolerance)は、『運動耐性』や『運動許容量』とも呼ばれる。

 

運動耐容能と言われるとピンときにくいが、運動の耐久性や許容量と表現されると、それだけでピンとくる人も多いのではないだろうか。

 

 

運動耐容能とは

 

運動耐容能は、健常人と疾病者では意味合いが異なり、具体的には以下の通り。

 

・健常人にとっての運動耐容能⇒『体力』

・疾病者にとっての運動耐容能⇒『疾病状態で可能な運動量』

 

 

でもって、この記事ではリハビリ(理学療法・作業療法)に関連する後者の意味合い(疾病者にとって運動耐容能)にフォーカスを当てて記載している。

 

 

運動耐容能は以下などで表現していくこととなる。

 

・酸素摂取量

・運動時間

・最大負荷時の仕事量

・・・・・・・・・・・・など。

 

でもって、これらを評価するためのテストとして(後述する)「運動負荷試験」が用いられることがある。

 

 

運動耐容能を評価する『運動負荷試験』

 

運動耐容能の評価には『運動負荷試験』が用いられる。

 

以下が、運動負荷試験の一覧なので、興味がある運動負荷試験があれば参考にしてみてほしい。

 

※虚血性心疾患の運動耐用の評価に『運動負荷試験』は用いられやすい。

 

 自転車エルゴメーター法を解説

 

 トレッドミル方を解説

 

 

 マスター2階段法(Masterの2階段負荷試験)

 

 

無酸素作業閾値(運動負荷試験への意欲に左右されない指標)について

 

運動負荷試験は、どうしても本人の意欲によって左右される可能性がある。

 

一方で、『無酸素性作業閾値(anaerobic threshold:AT)』は、対象者の運動負荷試験への意欲に左右されにくい指標とされている。

 

※なので、無酸素性作業閾値(AT)レベルの運動強度は、身体的に負担の少ないなどの理由で、以下などに活用されている。

 

健常者に対して:

⇒生活習慣病予防や健康増進

 

リハビリ(理学療法)として:

⇒脳血管疾患、虚血性心疾患とその術後リハビリにおける安全な生理学的指標の一つとして活用

 

無酸素性作業閾値(AT)とは:

 

運動強度が比較的軽度で持続される場合、好気性代謝でのATP(アデノシン三リン酸)の産生が可能であるが、運動強度をさらに漸増させていくと嫌気性代謝によるATP産生も動員されるようになる。

 

この好気性代謝に嫌気性代謝が加わり始める段階の運動強度を無酸素性作業閾値(AT)と呼び、全身持久力や体力の指標として用いられている。

 

ATの測定には運動負荷試験中呼気ガス分析器を用い、酸素摂取量に対するCO2排泄量や換気量の変化から求める換気閾値(VT)と、血中の乳酸濃度の変化から求める乳酸閾値(LT)がある。

 

健常人ではVTとLTはほぼ等しく、最大酸素摂取量の50~60%に相当すると言われている。

 

理学療法学事典より引用~

 

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その他の運動耐容能を評価するテスト

 

先ほど紹介した『運動負荷試験』以外にも、6分間歩行テストやシャトルウォーキングテストも運動耐容能の評価テストとして有名である。

 

これらは、以下で詳細を解説しているので参考にしてみてほしい。

 

6分間歩行テストを動画で解説 カットオフ値/ガイドライン/意義

 

漸増シャトルウォーキングテストを動画で紹介

 

 

『運動負荷試験』は「例えば虚血性疾患などに実施されやすい」と前述したが、6分間歩行テストや漸増シャトルウォーキングテストは慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)に実施されやすい。

 

これらのテストで得られた以下などの変化は、臨床的には簡便でよい指標となる。

 

・歩行距離

心拍数

血圧

呼吸数や息切れ

パルスオキシメータによる経皮的動脈血酸素分圧

 

 

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