この記事では、『反回抑制(recurrent inhibition)』について、イラストも取り入れつつ分かりやすく図解していく。

 

反回抑制は、Ib抑制などよりはマイナーだが、動作を滑らかにしたり、リハビリで言えば「ストレッチングなどにも作用を及ぼす」ってな感じで大切な生理学的機序になるから覚えておいて損は無いと思います。

 

反回抑制とは

 

反回抑制とは以下を指す。

 

『レンショウ細胞』という介在ニューロンが出力細胞の軸索側枝から興奮をうけ、その細胞を抑制すること

 

すこしピンと来ないかもしれないが、ザックリと表現すると以下になる。

 

神経細胞の興奮により、(抑制に関与するレンショウ細胞が興奮し、結果的に)神経細胞自身の興奮を抑制する現象。
スポンサーリンク

 

イラストで表現すると以下になる。

 

レンショウ細胞,反回抑制
レンショウ細胞,反回抑制

※左イラストの青色細胞がレンショウ細胞(抑制に働く細胞)になる。「レンショウ細胞の反回抑制」によって、興奮が抑制された状態で次の細胞に興奮が伝わっている様子が理解してもらえると思う。

 

※右イラストは、「レンショウ細胞による反回抑制」によって自身のみならず、他ニューロンも抑制しているイラストになる。

 

 

レンショウ細胞の名前の由来・反回抑制の別名

 

ここまで以下の様に記載してきた。

 

反回抑制は「レンショウ細胞という介在ニューロン」によって生じる

 

でもって、この「レンショウ(Renshaw)」というは反回抑制の発見者の名前である。

なので、反回抑制は『レンショウ抑制』と呼ばれることもある。

 

 

反回抑制の役割

 

先ほど、反回抑制とは以下であると記載した。

 

『レンショウ細胞』という介在ニューロンが出力細胞の軸索側枝から興奮をうけ、その細胞を抑制すること

 

でもって、この反回抑制は「α運動ニューロン活動が限度を超えた場合に筋伸張反射活動に負のフィードバックをかけて過剰活動を抑える働き」を持っている。

 

要するに、過活動な興奮に対して抑制を掛「ほどほどな興奮」に調整する働きがあると言える。

 

また、上記は「筋収縮時のα運動ニューロンに対する抑制」の話だが、「筋収縮後の弛緩」にも反回抑制が関与していると言われている。

 

「筋収縮時の主動筋抑制」や「筋の収縮後弛緩」に関与している抑制として『Ⅰb抑制』が有名だが、反回抑制の影響も考えられているという事。

このイラストは以下の流れを表している。

 

α運動ニューロンが興奮⇒軸索側枝が脊髄前角にある抑制性介在ニューロン(=レンショウ細胞)へも興奮を伝える⇒α運動ニューロンを抑制⇒抑制を受けた状態での興奮が、Ia線維へ伝わる

 

ヤフー知恵袋に誤った情報が掲載されてたよ

 

ヤフー知恵袋に以下の様な投稿を見つけた。

 

生理学の伸張反射で出てくる反回抑制がわかりません。抑制性介在ニューロンにあるとなっていますが、筋紡錘と拮抗筋のりょうほうにあるのでしょうか?わかりやすく教えてください。よろしくお願い致します。

 

上記の「筋紡錘と拮抗筋のりょうほうにあるのでしょうか?」というのは、「主動筋と拮抗筋の両方にあるのか?」と言いたいのだと思われる。

 

でもって、介在ニューロンはα運動ニューロンのいずれにも存在するので、「主動筋には存在するが、拮抗筋には存在しない」といったことは無い(どの筋に接続されているα運動ニューロンにも存在する)。

 

ただ、反回抑制は「興奮を抑制する」といった目的があるため、(拮抗筋ではなく)主動筋に作用すると考えたほうが良い(主動筋の興奮を抑制する)。

 

 

でもって、上記の質問に対するヤフー知恵袋のベストアンサーは以下だった。

 

伸張反射では、2つの反射が起こります。

①刺激が感覚神経から脊髄に伝わり、伸筋運動神経の細胞体とシナプス結合します。このシナプスを介して、αー運動ニューロンが伸筋に電気信号(インパルス)を伝え収縮を起こします。
②脊髄の中に抑制性介在ニューロンという細胞があり、①の経路で来た信号の分岐が伝わります。この介在ニューロンから屈筋へは、緊張を緩める方向(抑制の)信号が出ます。・・反回抑制はこれのこと。

抑制性介在ニューロンは脊髄に有ります。反回抑制は、相反性神経支配とも言います。伸張反射が起きると、ふつうその拮抗筋である屈筋は抑制され弛緩します。

緊張と弛緩で、円滑な運動になります。

 

ただ、このアンサーは間違え。

 

上記は相反性神経支配による『相反抑制』を解説しているが、『相反抑制=反回抑制』ではない。

 

相反抑制は介在ニューロンが関与しているが、この介在ニューロンは「反回抑制(レンショウ抑制)」とは呼ばない。

あくまで相反抑制(あるいはⅠa抑制と呼ばれる)。

 

余談として、相反抑制(Ⅰa抑制)のイラストも添付しておく。

(拮抗筋を抑制しているので、ヤフー知恵袋のベストアンサーに近いイラストになる)。

 

Ia抑制

 

ただし、反回抑制は(相反抑制のように拮抗筋を抑制するのではなく)主動筋(イラストでは同名筋と記述されている)を抑制する。

 

ある関節を動かそうとした時、その運動を引き起こす骨格筋を主動作筋といい、それと反対の動きを引き起こす骨格筋を拮抗筋という。そして、主動作筋の運動神経と拮抗筋のそれとの間には、一方が興奮すると介在神経を介して自動的に他方が抑制されるように神経回路が組まれている。つまり、主動作筋が収縮する時は常に拮抗筋が抑制され、関節運動が起こりやすくなる仕組みである。これを相反性神経支配という。

 

なのでベストアンサーは間違え。

 

反回抑制のイラストは以下になる。

 

でもって、単純に「拮抗筋を抑制する働きがある」という類似点だけで括るとすると(Ⅰa抑制ではなく)Ⅰb抑制の方が役割が似ている。

 

以下がⅠb抑制のイラストになる。

※(反回抑制ではないが)抑制性介在ニューロンによって、「拮抗筋が抑制されているという点だけは」反回抑制と類似している。

 

Ib抑制

 

主動筋を(Ⅰb抑制や反回抑制で)抑制する目的

 

抑制性の脊髄反射として『反回抑制』と『Ⅰb抑制(あるいは自原性抑制)』がある。

 

反回抑制は、興奮した運動神経が自らを抑制する反射で、過度な筋収縮による傷害を回避している。

 

また、Ib抑制は骨格筋を強く伸張すると腱紡錘からのインパスルが介在神経を介して運動神経を抑制する反射である。

 

この反射を利用したのが骨格筋のリラクセーシヨンを目的に行われるストレッチングである。

 

⇒『ストレッチ、ちゃんと知ってる?

 

 

関連記事

 

この記事では、反回抑制の解説だけでなく、ヤフー知恵袋の質問・回答も引っ張り出してⅠa抑制・Ⅰb抑制なども紹介している。

 

でもって反回抑制を理解したなら、これら「別の神経生理学的作用」も合わせて理解しておいたほうが良いと思う。

 

っというか反回抑制より、これらの方が知識としての重要度は高い。

 

そんなⅠa抑制・Ⅰb抑制については以下の記事で分かりやすく解説しているので興味がある方は参考にしてみてほしい。