報酬系(最終話) : 幸福と報酬系

※今回の『報酬系(最終話) | 報酬系と報酬系』はシリーズとして掲載している。

 

※はじめて観覧する方は『報酬系その①:すべてはこの実験から始まった』から観覧することをお勧めする。

 

前回記事で「報酬系は、人になくてはならない要素である」という点を強調して解説した。

 

でもって今回は、「報酬系についてのまとめ記事」として『幸福と報酬系』と題して報酬系や幸せについて解説していく。

 

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幸福に関する普遍的基準は存在するのか?

 

「となりの芝生(しばふ)は青い」という言葉がある。

 

意味は以下の通り。

 

自分より他者の方が(様々な意味において)良く見えること

 

 

私達の幸福という価値が絶対的なもであるならば、隣りの芝が青く見えることはない。

 

周囲がどうであろうと、自分には関係の無いことである。

 

理学療法の平均年収と自身の年収を比べることもないし、他人の成功を妬んだりすることもない。

 

しかし、私たちはとなりの芝が青く見えてしまうことがある。

 

そして、他者と比較してしまうことで幸福の価値基準を決めてしまうことがある。

 

 

豊かさと幸福は比例しない

 

現在の日本は、過去よりはるかに物質的な豊かさを手に入れた。

 

飢え死にすることは殆ど無く、平均寿命は世界最高レベルである。

 

しかし国民の幸福度を調べてみると日本は決して高くない(ギャラップ2010年の調査によれば日本の幸福度は81位)。

 

昔よりはるかに便利な生活を送ることが出来るようになった私達が、昔より幸福感が得られないのはなぜだろう?

 

 

沢山のお金があれば幸せなのか、他者よりお金があるから幸せなのか

 

次のような実験がある。

 

2人ずつ19組の被験者に単純な知覚課題を実施してもらい、その結果をフィードバックする。

 

そして、正解するとお金(金銭的報酬)がもらえるのだが、その支払は以下のような仕組みにする。

 

①報酬は2人の成績によって決まる。

②どちらか一方だけが正解したら、正解したほうに支払われる。

③両方が正解すると、コンピューターが金銭的報酬をランダムに分配する。

 

この実験の結果、報酬系が最も強く活性化したのは「③両者が正解のとき」であり、なおかつ(コンピューターがランダムに分配した)金銭的報酬が相手よりも自分の方が多く、さらに得た金額が(予想より)大きく食い違った時であった。

 

この実験は非常に興味深いが、経験則として予想通りの結果とも言える。

 

つまりは私達が、自分の経済的な状況を、絶対的な物差しで見ているのではなく、周囲との比較で決めているということがこの実験から見てとれる。

 

 

他者との比較が幸福感の基準に

 

前述した実験以外でも、イギリスの調査で以下などが明らかになっている。

 

自分の年収が前年より上がっていても、周囲と比べて収入が少ないと幸福は感じない

 

この調査の結論として、以下のことが分かったとしている。

 

「所得(自分の所得が増えたということ)」より「所得順位(性別・年齢・教育レベル・居住地域など)が同じ人々の集団の中での順位」のほうが、「生活満足度」にずっと強く相関する

 

つまり、十分生活が送れて貯蓄もできるレベルを基準にするのではなく、以下などを基準にして幸福度を決めているということになる。

  • 同じ年齢な人の平均と比べてどうか
  • 同じ理学療法士の平均年収(あるいは同じ医療従事者)と比べてどうか
  • 周囲の人(兄弟・友人・知人などなど)と比べてどうか

・・・・など

 

 

例えば、私達理学療法士の年収もネットを検索すれば容易に出てくる。

そして、(よせばいいのに)その平均年収と自身を照らし合わせて、幸福感を得ようと試みる。

それで、落胆してしまうこともあるのだが、「報酬系は予測出来ない報酬が得られた方が活性化され易い」という特徴から、一縷の望みで検索してしまう。

 

 

これは、なにも金銭的報酬に限ることではなく、社会的報酬であっても同様である。

例えば、子供のころに「自分は90点とれた」という絶対評価における満足感よりも、周囲をチラチラと確認して「皆が50点くらいしか取れていないのに自分は90点を取れた」という相対評価の方が、自身の満足感が高かった記憶はあるのではないだろうか?

 

 

クライアントも同様で、一般より元気だという相対評価を組み入れてあげた方がモチベーションが上がることがある。

例えば95歳のクライアントが「家の中を歩くのに、杖を使っているにもかかわらず相当な時間を要してしまう」などと嘆いていたとする。

そんなクライアントに対して以下の様に伝えてあげるのはどうだろう。

 

95歳という年齢ならば、寝たきりの方もたくさんおられます。

多くの90代の方と接していますが、一人で暮らせて料理や洗濯も出来るなんて、非常にお元気な部類に入ると思います。

 

あるいは、以下の様に(誇張でも嘘でも良いので)自身を自虐的に表現することで、相手を持ち上げてあげるのも効果的かもしれない。

 

私は、この年齢にも関わらず既に階段上るのも息が切れがしますし、よく物にぶつかって転びそうになりますし、カップ麺ばかり食べて不摂生ですし、恐らく95歳までには杖をついて歩くなど到底できないと思います。恐らく、○○さんの歳になった頃には、寝たきりどころか棺桶の中でしょう。

 

そんな事を話していると、相手も「そんなものかね」などと呟きながら、まんざらでもない様子であったりもする。

 

※内心は、他者から上記の様に言ってもらえることを期待して嘆いているケースもあるのだが、その辺りまで深堀するとキリが無いのでこの辺で。。

 

 

クライアントのエピソードは蛇足であったが、「他者と比較することで幸福感が決まり易い」というのは間違いないだろう。

 

例えば貧困に陥り、ホームレス生活を余儀なくされ、1日1食のカップ麺しか食べられなくなったとする。

 

しかし、そんな状況下であったとしても、テロで他者が無残に殺戮されまくっている国に住んでいるのであれば「カップ麺を安全に毎日食べれることの出来る環境下にいること」は間違いなく「幸福だ」と表現できる。

 

「不幸な人」っていったい誰だ?:

いうまでもないことだが、人生の全てに満足している人はそれほど多くない。

幸福や不幸は他人との比較から生まれてくる感情だから、社会的には成功者とみなされていても、本人は屈辱と嫉妬の泥沼をのたうちまわっていることだってあるだろう。

~『書籍:貧乏はお金持ち 』より引用~

 

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誤解させないための補足。「他者との比較」と「給料」

 

ここまで報酬系について偉そうなことを記載してきたが、この記事の内容がすべての人に当てはまるわけではない。

 

物事には様々な側面があり、全ての事象を、一つの物差しで測ったりすることは出来ないのだ。

 

そんな意味も込めて「他者と比較することによるメリット」と「給料(お金)の重要性」についても補足として解説しておく。

 

 

他者と比較することによるメリット

 

一般論として、目標に掲げるべきは「自身にとっての幸せ」であり「他者との比較」によって設定すべきではない。

 

例えば「職業の優劣」「給料の優劣」「結婚・離婚しているか」、細かいことで言うと「ブログのアクセス数」や「副業での収益」などなど比較しようと思ったら、いくらでも比較できるが、無意味である。

 

しかし一方で、他者と比較することにメリットが無いわけでもない。

 

例えば「○○に負けたくない」という思いは成長への原動力となり得る。

 

その対象は、家族(親兄弟)かもしれないし、仕事の同僚かもしれないし、見ず知らずな誰か(自分と同じような性別・年齢・教育レベルな人)かもしれないし、憧れのタレントかもしれない。

 

そして、これらの人達と自身を比較し、切磋琢磨する努力こそが、積り積って、自身を大きく成長させることにつながる場合があることも経済学的に証明されている。

 

 

例えば、経済学用語で『(正の)ピア効果』という概念がある。

 

その意味は以下の通り。

 

意識や能力の高い人や集団と切磋琢磨することは、お互いを高め合うことに繋がる

 

例えば、水泳を用いた研究では「水泳選手が一人で泳ぐときより、両側のレーンに競争相手がいるときの方が好タイムが出やすい」という結果が出ていたりもする。

 

ピア効果に興味がある方は、以下の記事で深堀解説しているので合わせて観覧してみてほしい。

⇒『理学・作業療法士はライバルの存在で成長できる!

 

ライバルに勝つことを目標に掲げてドーパミンを分泌させて行動に駆り立てたとして、仮にライバルに勝てたところで(恐らくは)一瞬の優越感しか起こらないだろう。

 

しかし、ここで重要なのは「ライバルに勝つ」という目標を掲げて努力する過程で手に入った要素(パフォーマンスの向上など)と言える。

 

こといった原理も(正しく理解し、誤った方向に用いず)上手に利用していけば、長期的にみて大きな成長・成果を見込める可能性を秘めている。

 

 

重複するが、どれだけ目標をクリアしても(報酬系の特性上)私たちは満足することは無いだろう。

 

ただし、ここまでの記事で述べてきた「報酬系の特徴」を十分に理解して活用しつつ、ドーパミンに依存し過ぎず現状の幸せもかみしめることができたなら、それは素晴らしいことではないかと思う次第である(なんかエラそうな言い回しだな・・・)。

 

 

給料(お金)の重要性

 

アメリカの経済学者であるリチャード・イースタリンが提唱した有名な現象に『イースタリンの逆説』という法則がある。

 

※この法則は後に、他の学者による検証でも証明されている

 

イースタリンの逆説とは以下の通り。

 

貧しいときには収入が増えると幸福感が増す。

しかし、年収が一定レベルに達すると、それ以上、収入が増えても幸福感は変わらない。

 

この「一定レベルの年収」というのは、年収800万円(アメリカでは7万5000ドル)と言われている。

 

以前の記事(報酬系③)で「お金に執着しすぎても際限がないため満足しにくく、弊害もある」と記載した。

 

あるいは「成功したら幸福になれる」ではなく「幸福だから成功できる」という趣旨の記事も投稿した事ことがある(⇒幸福優位の法則とは? ショーン・エイカーが語るポジティブシンキングの重要性)。

 

 

しかし、ここに記載した一定レベルの年収以下の人、あるいは貧困層の人達には綺麗ごとに過ぎず、響かない可能性が高い。

 

なので、何だかんだ言っても「一定レベル以上のお金」は幸福感を得るために必要で、それすらない状態では『元々ポジティブシンキングな気質を持っているが、一時的に落ち込んでいる人』以外には、あまり心に響かない内容かもしれない。

 

結論として(難しいかじ取りが要求されるが)、「ドーパミンに依存しすぎず(ギャンブルを含めた安易にお金が稼げるような要素にはまりすぎず)、上手く年収を増やすことこそが、適度な報酬系の活性化も伴って、幸福感の上昇につながる」と思われる。

 

 

ちなみに、この記事で記載したイースタリンの逆説は以下の記事でも解説してるので興味がある方は観覧してみてほしい。

⇒『社会的報酬って何だ?興味深い報酬だよ

 

 

TEDで人気の高いプレゼンで推奨する「成功に必要な要素」とは?

 

アメリカのプレゼンテーションイベント『TED』の中でも飛び抜けて人気の高いものが2つあり、インターネットの再生回数は1000万回を超えるという。

 

その中の一つが、以前紹介した「ショーン・エイカーのプレゼン」であり、もう一つがここで紹介する「アンジェラ・ダックスワースのプレゼン」になる。

 

これも「成功に必要な要素は何か?」についてのプレゼンなのだが、ショーンエイカーとは別の切り口で解説おり、この記事を補足するに値する情報だと思うので紹介してみる。

 

 

 教師時代の気づき

 

彼女は経営コンサルタントの仕事をしていたが、27歳の時に教師に転職した。

 

でっもって彼女は、教師になって以下の事に気づいた。

 

IQだけで学校の成績が決まる訳ではない。

 

つまり以下などのパータンが存在するという事だ。

  • 成績は優秀だけれどIQは低い
  • IQは高いけれど成績は悪い

 

そこで彼女は以下の様に考えた。

 

中学生が学ぶ数学は難しい内容もあるけれど、理解不能なものは無い。

じっくりと時間をかけて一生懸命勉強さえすれば、どんな子だって出来るようになるはずだ。

 

※つまり中学の数学は、ノーベル賞を獲得したり、スポーツで金メダルを取るような特別な能力が無くとも、平等に習得が可能であるレベルなものであるということ。

 

 

「IQが高い=成功できる」ではない

 

教育における『IQ』は、最も確かな物差しとされている。

 

しかし、学校や社会で成功するのに必要なのが、IQだけではないとしたら?

 

この様に考えた彼女は、(教壇を降りて)大学院で心理学を学び始めた。

 

そして、大人・子供を問わず「何かに挑んでいる人」の調査して、以下を確認しようと試みた。

 

集団の中で、成功するのは誰か?その人はなぜ成功するのか?

 

ちなみに、彼女が考える「成功」とは、以下の様なものだった。

  • 会社での業績が良い
  • 大変な仕事でも、めげずに続けることが出来ている
  • 教師で最も生徒の成績を伸ばすことが出来た

・・・・などなど。

 

でもって、これら様々なケースを調べているうちに、彼女は成功の鍵を見出したという。

 

その『成功の鍵』とは「社会性」でも「容姿の良さ」でも「健康な体」でも「IQ」でもなく以下であった。

 

GRIT(グリット:やり抜く力)

 

 

GRITを高める秘訣はあるのか??

 

GRITとは、長期目標を達成するための「情熱」・「忍耐力」・「やり抜く力」を意味する。

 

「やり抜く力」とは、将来のために日々努力すること。

 

1週間や1か月ではなく、何年にも渡ってコツコツ努力し、自分の夢を実現すること。

 

「人生はマラソン」という生き方のこと。

 

 

昔のアメリカにおける成功の方程式は、どちらかというと「努力・根性」のような泥臭い類ではなく、「賢くこなす」という類にフォーカスされやすかった。

 

そんな中で、「成功に必要なものはGRIT」というのは(日本人はともかくとして)アメリカ人には新鮮に感じられたのかもしれない。

 

 

では、どうすればGRITを鍛えることが出来るのか?

 

※子育てをする親であれば、「根気強い子にするにはどうすれば良いのか?」「どうしたら努力し続けるようになるのか?」というのは知りたいところだと思う。

 

 

この問いに対する完璧な結論は、まだ出ていない。

 

しかし、少なくとも「才能」とは関係ないようだ。

 

彼女が調査した結果、「才能は有るけど、物事をやり遂げることが出来ない」という人が多いことが分かった。

 

「やり抜く力」と「才能」は大抵無関係で、場合によっては反比例することもあるという。

 

でもって、(完璧な結論は出ていないものの)どうやら根気強くなるためのヒントは『成長志向』にありそうだと彼女はプレゼンの中で述べている。

 

 

ここから先は、このコラム『報酬系』から脱線していくため割愛するが、興味がある方は彼女の著書である以下も読んでみてほしい。

 

 

長期目標を達成するためには、報酬系による「期待感」「達成感」の活用が不可欠

 

先ほど、以下の様に解説した。

 

  • GRIT(やり抜く力)とは、長期目標を達成するための「情熱」・「忍耐力」・「やり抜く力」を意味する。
  • 「やり抜く力」とは、将来のために日々努力することである。
  • 1週間や1か月ではなく、何年にも渡ってコツコツ努力し、自分の夢を実現することである。

 

でもって彼女は、GRITを獲得するために必要な要素の一つとして「成長志向」をあげているが、自分が成長したいと思えるためには「期待感(成長の先にあるもの)」を持つ必要があり、やり抜きたい目標のハードルが高かったり、年月を要すものであればあるほど「どれだけ報酬系を賢く活用することが出来るか」がカギとなる。

 

でもって、『報酬系コラム①~最終輪』では、そのためのヒントを、いくつも紹介出来ているので、あなたの成功に少しでも貢献できるものがあれば幸いである。

 

 

ちなみに『努力の重要性』に関しては、以下のコラムも作成している。

 

当ブログでも人気な記事で構成されているため、『努力』について興味がある方はぜひ一度参考にしてみてほしい。

⇒『努力は裏切らないは本当なのか? コラムにしました

 

 

報酬系に逆らう? 従う? とちらが良いの?

 

意志の強さ(つまり、以下に目先の報酬に気を取られないか)が「いかに将来において大きな利益をもたらしてくれるのか」、それを証明したのが『マシュマロ実験』だ。

 

※超有名な実験なので、知ってる人も多いかもしれない。

 

マシュマロ実験は「人が、この実験でどの様な選択をするかは4歳の時点で既に差がついていて、その差は中年になるまで人生に影響を及ぼしている」という結果を導き出した有名な実験である。

 

この実験内容は以下の通り。

 

被験者として呼ばれた4歳の子を、お菓子を用意した実験室に招く。

※この時のお菓子にマシュマロが使われたので、マシュマロ実験と呼ばれている。

 

その上で実験者は「15分ほど待っててね。15分後に帰ってきてまだお菓子がそのまま残っていたら、もう一皿マシュマロをあげる」などと言って、実験者は部屋を出ていき、子供を一人にする。

 

で、一人にされた子供がお菓子を食べてしまうのか、我慢するのかを観察する。

 

 

すると約7割の子供は待ちきれずにお菓子を食べてしまう。

しかし残りの3割の子供は食べないでとっておく(⇒もう一皿マシュマロをもらえる)。

 

隠しカメラで、これら3割の子供たちを観察すると「机の下にお菓子を隠す」「見えないようにする」など子供なりに食べたいという衝動が起きないよう工夫をしていた。

 

つまり、15分経てば2皿貰える、2倍になるということを計算して、自制心を駆使することが出来ている訳だ。

 

そして、その子たちの14年後、18歳時点で(日本でいうセンター試験みたいな)アメリカの入試テスト「SAT」の成績をみると、なんと我慢できた子と我慢できなかった子の得点差は平均で明らかな差が出ていた。

 

※我慢できて、自制心を発揮したこの方が、圧倒的に成績が良かった。

 

また、40年後の44歳の時点での追跡調査もなされていて、年収と社会的ステータスを比べると、やはり我慢できたこの方が高かった。

 

つまり、「我慢出来たり、計画を立てて行動したりという事が得意な個体の方が、より利得の高い人生を送ることが出来る」と証明されたことになる。

 

 

人間が「投資」より「浪費」が好きな理由とは?「現在バイアス」と「双曲割引」

 

「現在バイアス」と「双曲割引」を紹介してみる。

 

現在バイアス』は、嫌な事や面倒な事を先延ばしにしたいという心理によるものである。例えば夏休みの宿題を後回しにして、大好きなTVにばかり夢中になって、休みが終わるギリギリまで取り組まなかった経験は無いだろうか?

これは、「宿題という嫌なものは早うやってしまうに越したことは無いのだが、つい目先の利益、つまり遊びに行く方お優先させてしまう傾向」が原因で、この傾向が『現在バイアス』だ。

関連記事⇒『現在バイアスって何だ? 物事を後回しにしない!将来のことを軽視してはいけない件

 

一方で『双曲割引』は「現在バイアス」とは異なり、別に「嫌な事を先延ばしにしよう」という気持ちがなくとも、遠い将来に得られる利益の価値を多く割り引いてしまう、つまり価値を低く見積もってしまうことを言いう。

 

いずれにしても、「現在バイアス」「双曲割引」ともに目先の利益を優先してしまいがちになっているという点では同じといえる。

 

でもって、私たちが金を増やそうと考えた場合、(人のよって)「現在バイアス」や「双曲割引」によって大きく乱れがちになる。

 

資産形成のためにも計画的に貯金や投資をすべきなのだが、どうしても目先の旅行や食事などの楽しいイベントにお金を使ってしまう(旅行や食事がダメなわけでなく、度をこえてしまうのがダメだと言っているので、誤解なきよう)。

 

さらに買い物についても衝動買いをしてしまったりして、本来は計画的に支出していくべきなのだが、それがなかなか出来ないという状況に陥ってしまう場合がある。

 

これらの心理・行動経済学は、報酬系と密接に絡んでおり、前述したマシュマロ実験でどのような行動をとる子供かによって影響の受け方は異なっているだろう。

 

でもって、計画的に資産形成をしていくうえでは「目先のことばかりに目を向けがちな報酬系は幸せに結びつきにくい」と表現できることができる(あくまでお金と幸せを結びつけた際の話)。

 

 

いやいや、意志の力は弱くて良いよ。刹那的に生きることにもメリットはあるよ

 

進化の過程において、前述したように「意志力が高く、将来的なことまで考えて選択していける個体(ドーパミンに依存しない個体)が利得を大きくするのに(一方的)に有利であれば、数世代もたてばそういう個体ばかりになっていくはず」だが、現実を見てみると、どうも違うようだ。

 

これは以下を意味する。

 

意志力が無くて、将来の利得を犠牲にしても素早く行動できる方が、生き残っていくためには有利に働く場面もあるということ

 

例えば生物にとって非常に重要な「子孫を残す」という点からは、自制心があまり働きすぎないほうが有利と言える。

 

「経済的に大変だから子供をつくらないでおこう」と考える人々のグループよりも「経済的に大変でも、子供を作りたい」、あるいは単に「子供ができてもいいからとにかくセックスしたい」というグループの方が、次世代以降の子供の数が多くなることは明らかだ。

 

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終わりに

 

結局、「報酬系」は善なのか悪なのか、その問いに答えるべく『書籍:スタンフォードの自分を変える教室 』から一部を抜粋してみる。

 

もしかしたら、あなたは途方にくれているかもしれません。

報酬を期待したところで喜びを得られるとは限らず、かといって、報酬をまったく期待しなくなれば喜びも感じなくなります。

報酬への期待が高すぎれば誘惑に負けてしまいますが、報酬を期待する気持ちが無ければ、やる気も起きません。

 

このジレンマに対しては、簡単な答えはありません。

人生に興味を持って取り組んでいくためには、報酬への期待が欠かせないのは明らかです。

運が良ければ、報酬システムはずっとそのために働いてくれるでしょう。

これで、害になることさえなければ有り難いのです。

 

私たちの暮らしはテクノロジーで彩られ、広告で溢れ、24時間絶えず何かを求め続けながらも、満たされことのない日々を送っています。

そんな私たちが、もしいくらかでも自制心を手にしたいと思うなら、人生に意義を与えてくれるような本当の報酬と、分別をなくして依存症になってしまうようなまやかしの報酬を、きちんと区別しなければならりません。

そのような区別をできるようになることが、私たちにできる最善のことなのです。

これは必ずしも簡単な事ではありませんが、脳の中で起きていることを理解すれば、少しは容易になるでしょう。

オールズとルミナーのラットが必死にレバーを押し続ける姿を思い描くことが出来れば、たとえ誘惑にかられても、脳がつく大きな嘘に騙されない分別をもてるのではないでしょうか?

 

欲望は、行動を起こすために脳が仕掛ける戦略です。

これまで見てきたとおり、欲望は自己コントロールに対する脅威にもなれば、意志力の源にもなります。

ドーパミンが私たちを誘惑へと駆り立てるとき、私たちは欲望と幸せを区別しなければなりません。

しかし、一方で私たちは、ドーパミンや報酬への期待を利用して、自分や他人の人達のやる気を引き出すことも出来ます。

つまるところ、欲望自体は良くも悪くもありません。

大切なのは、欲望によって自分がどこへ向かおうとしているのか、そしてどういう場合なら欲望に従っても良いか見極められるかどうかなのです。

 

結局は、報酬系の良し悪しを理解し、報酬系のネガティブな面に引きずられないよう十分注意しながら、上手に報酬系のポジティブな面を活用していくことが大切という事になる。

 

重複するが、(報酬系を活用して)目標に向かって突き進むことは決して悪くなく、目標達成をコツコツと積み上げることで、大きな成果に結びつくことは少なくない。

 

つまり、「現状に満足して何の行動も起こさないこと=幸せにつながる」と言っているわけではない。

 

ただし、何事にもバランス感覚が大切で、目標を持ち続けて前進することの重要性を理解すると同時に、まだ見ぬ未来にばかり目に向けるのではなく、

 

目の前のことを、いかに幸せに感じることができるか」といった点も、ドーパミンに依存した生活から脱却するヒントといえる。

 

この点は、マインドフルネスとして様々な書籍で述べられているが、ここでは『書籍:面接官の心を操れ! 無敵の就職心理戦略』から心に響きそうな文章を引用しておく。

 

「ないものねだり」ではうまくいかない:

 

成功した企業家、様々な分野のプロ、やりたいことに全力で取り組んでいる人を見ると、ついつい「あの人は才能があるから」「たまたま人脈に恵まれていたから」「実家がお金持ちだから」といった理由をつけて「自分には無理」という結論に至ってしまう人は珍しくありません。

その一方で「意識高い系」と呼ばれるタイプの人たちもいます。「留学してもっと視野を広げます」「勉強会に出て人脈を作りたいです」「資格の勉強にチャレンジします」と積極的に動くタイプです。

ところが、このタイプの人たちは、大抵はすぐに挫折してしまいます。

 

「自分には無理」だという理由を探して動かないタイプ。

新しい何かを身につけようとして挫折する意識高い系。

両者に共通するのは「ないものねだり」の姿勢です。

 

自分には○○がないからうまっくいかない。××を身につければうまくいく・・・・というように、自分いないもののことばかり考えてしまっている。

実は、この発想こそが、うまくいかない理由なのです。

 

大事なのは、ないものを求めることよりも、自分が持っているものを知ること。そして、それを活かすことを考えましょう。

 

―中略―

 

「自分にはこの技術がないから無理だ」とか、「この資格を取らない限り出来ない」といった「ないものねだり」の発想は無意味だとわかっていただけるのではないでしょうか。

自分はこれを持っていないから大した仕事に就けない、才能がないからやりたいことができない、なんてことはありません。

まずは、自分が何を持っているのかを知ること。そして、それをどう使ったらやりたいことができるかを考えてみることが大事なのです。

 

 

 

そもそも『奇跡』とは何だろう by コードブルー

 

最後に、『ドラマ:コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-2nd Season 最終話』における山ピーの最後のナレーションを記述して終わりにする。

 

そもそも『奇跡』とはなんだろう?

 

「自分」や「自分の大切な人」が健康であること。

 

「打ち込める何か」があること。

 

間違いを正してくれる「上司」や「仲間」がいること。

 

「負けたくないと思える相手」がいること。

 

そういう「ささやかな幸せ」を『奇跡』と言うのだろう。

 

俺たちの生きているこの世界は、『奇跡』で溢れているのかもしれない。

 

ただ、それに気づかないだけで。。

 

そう。

 

すぐそばにあるのだ。

 

沢山の『奇跡』が。

 

 

関連記事

 

このシリーズの記事一覧は以下でまとめています。

シリーズものなので、最初の記事から観覧してもらうと理解が深まると思います。

 

コラム 報酬系まとめ! 全てはここから始まった。。興奮は幸せを呼ぶのか?

 

 

このブログでは色々な「連続コラム」や「1話完結コラム」を作成しています。

興味がある方は以下を参照してみてください。

 

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