この記事では『教師なし学習』について解説していく。
教師なし学習って何だ?
教師なし学習は臨床において言及される場面は少ないので分かりにくいと思う。
※むしろ、「教師あり学習(フィードバック誤差学習)」や「強化学習」がフォーカスされる場面が多い。
でもって、教師なし学習のポイントは以下の通り。
課題を繰り返すことで、その多量な記憶と実際の結果を結合していき、法則性を導いていく。
例えば乳幼児が歩行に至るまでのプロセスが『教師なし学習』に該当する。
乳幼児は、誰からも教わらずに「寝返り」「起き上がり」「歩行」などを学習していく。
※誰からも手取り足取り歩行を教えることは無い。
脳卒中片麻痺における麻痺側上肢の使用
例えば脳卒中片麻痺の上肢麻痺に関して「手指を使う頻度が高いほど、その部位の再現領域が大きくなるような可塑的変化を起こす」ということが分かっている。
これはuse-dependent plasticity(UDP:使用依存性可塑性)として知られている。
でもって、この変化を説明する学習則が教師なし学習であるといわれている。
もう少し具体的に表現すると以下が使用依存性可塑性と言える。
- 脳卒中によって手指が動きにくくなった場合、手指を使う頻度が低下すれば、大脳皮質上の手指の体部位再現領域は減少するで。
↓
- 一方で、集中的な手指の訓練を行うことによって、手指の使用頻度が増えると、大脳皮質上で手指の運動に分類されるニューロンが増加する。
とにかく訓練・あるいは日常場面で使用すること(教師なし)で徐々に脳の可塑的変化が生じて手指の動きが改善する。
特に日常生活で使用する場合には、無限に上肢の使い方が存在するので、「出力すべき正解が与えられていない」と言える。
でもって、課題を繰り返すことで、その多量な記憶と実際の結果を結合していき、法則性を導いていく。
※これは教師なし学習と表現することができる。
CI療法も教師なし学習を活用している
CI療法は様々な学習理論を活用しており、その中には「教師なし学習」も含まれる。
っというより「CI療法=教師なし学習」と思われいる節すらあるかもしれない(とりあえず麻痺側上肢を積極的につ活用するという意味で)。
ただしCI療法は、(「教師なし学習」の考え方は重要視されているが)「教師あり学習」や「報酬系」も重要視している。
例えば、(そもそも麻痺の程度が比較的軽いというのが前提なのだが)習熟度に合わせてきめ細かに訓練課題を調節したり、具体的には以下のような条件設定をしたりする。
- 非麻痺側の拘束(restraint)
- 多様性と繰り返し(massed principle)
- 難易度調整と達成感(gradual rebuilding and attainment)
- 課題指向的アプローチ(task-oriented approach)
- Transfer package
・・・・・など。
また、CI療法における「達成感が得られるための課題の難易度設定(強化学習の要素)」も重要となる。
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教師なし学習は、ポジティブ・ネガティブ両方の現象に使用される
前述した脳卒中の例では「教師なし学習によるポジティブな現象」にフォーカスして解説したが、「教師なし学習によるネガティブな現象」もある。
例えば、以下のいずれも「教師なし学習」と言える。
- 麻痺側上肢が使いにくい。なので麻痺側を使用しなくなる
⇒これにより皮質領域が減少することは使用依存性可塑性(教師なし学習)のネガティブな側面といる。
- 麻痺側が使いにくい。しかし、CI療法や日常生活において麻痺側を積極的に使用する
⇒これにより皮質領域が高まることは使用依存性可塑性(教師なし学習)のポジティブな側面と言える。
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冒頭でも記載したように、学習理論には「教師なし学習」以外にも様々な種類が存在する。
例えば「教師あり学習」や「強化学習」などであり、これらの学習理論は以下の記事でまとめているので興味がある方は観覧してみてください。
⇒『リハビリ(理学療法・作業療法)でも活用される、様々な「学習理論」まとめ』