人体解剖学手で使われる基本的な用語をイラストを用いて解説していく。

 

※ちなみに「猿でも分かる」というのは分かり易さを表現しただけであり、観覧者をバカにしようという意図はない(念のため)。

 

医学領域では、人体各部の位置や方向を明確に示す必要がり、このため用語が定められている。

 

なぜ定められているかというと、用語が統一されていなければ誤解を生み、医療過誤の原因にもなったりするからだ。

 

なので、各用語の定義を正確に把握することは大切となる。

 

ただし、一部どっちつかずな表現法もあったりして、しかも他の表現方法を用いたほうが分かり易いケースもあったりするが(なので、ブログでは厳密にこの用語に準じて作成してはいないが、(そちらの方が分かり易いと感じた際に)一部の記事には取り入れている。

 

なので、それらの記事の表現方法が分からない際は、この記事も合わせて観覧してみてほしい。

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目次

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人体の区分

 

人体は以下の6つの領域に区分されている。

 

  1. 頭部
  2. 頚部
  3. 胸部
  4. 腹部
  5. 上肢
  6. 下肢

 

でもって、胸部と腹部を合わせて『体幹』、上肢と下肢を合わせて『体肢』という(幹という用語の対比として肢という表現が用いられる)。

※ただ、臨床において体肢は『四肢』という表現が用いられることのほうが多い。

 

また、体表では頭の前面で眉より下を、胸の後面を背部、腹の後面を腰部、上肢上端部を、下肢上端の後面を殿部と呼ぶ。

体内では横隔膜をはさんで胸腔腹腔が分けられ、さらに小骨盤に囲まれた空間を腹腔から区別して骨盤腔という。

 

また、上肢・下肢はそれぞれ以下の様に区分される。

 

  • 上肢⇒上腕・肘・前腕・手に区分。
  • 下肢⇒大腿・膝・下腿・足に区分。

 

この他、腹部の前面は以下の6種9領域に分けられる。

 

  1. 上腹部
  2. 臍部
  3. 左右の下腹部
  4. 左右の下肋部
  5. 左右の側腹部
  6. 左右の鼠径部

 

 

方向を示す用語

 

身体の部位や位置を示す際には手掌(手のひら)を腹側に向けた直立位(解剖学的肢位)で表す決まりがある。

 

解剖学的肢位を含めた「肢位」につて知りたい方は以下の記事を参考にしてみてほしい。

 

また、方向を示す用語は、あくまで対象者(患者・利用者)が解剖学的肢位にあるものとして用いる。

 

具体的には以下のイラストをみてもらえればと思うが次のような表現がなされる。

 

  • 内側⇔外側(正中線に近いか遠いか)
  • 頭側⇔尾側
  • 腹側⇔背側(体幹・下肢に対して用いる用語)
  • 近位⇔遠位(四肢に対して用いる用語。体幹に近い側を近位、足・指先の側が遠位)
  • 掌側⇔背側(上肢に対して用いる用語。体幹における腹側・背側と同じ意味)
  • 尺側⇔橈側(上肢に対して用いる用語。正中線に近い側を尺側、遠い側を橈側)
  • 腓側⇔脛側(下肢に対して用いる用語。ただ、この表現はあまり見聞きしない)
  • 底側⇔背側(足部に対して用いる用語。)

 

ここでは発生学に基づいた表現を用いている。

でもって、手技を文章で伝える場合などは、表現しやすかったりする。

 

例えば、以下の2つでは後者の方が分かり易いのではないだろうか?

  • 「患者を側臥位にして、セラピストは上前方へ向かって坐骨を押す」
  • 「患者を側臥位にして、セラピストは頭腹側へ向かって坐骨を押す」

※念のため、「患者の頭腹側」であってセラピストの「頭腹側」ではない。

※これらの表現は、全て対象者の方向を示す用語として使用される。

 

あるいは以下ではも後者の方が分かり易いのではないだろうか。

  • 「患者を背臥位にして、セラピストは足部を把持し、尾側(遠位)へ引っ張った」
  • 「患者を背臥位にして、セラピストは足部を把持し、下方へ引っ張った」

※下方という表現では、「床方向」と勘違いする人も出てきたりする。

 

ただし、書籍ではこの表現を忠実に用いている書籍ばかりではない。

でもって、それが間違っており、この記事の表現が絶対的に正しい表現という訳でもない(読み手が理解できれば何でも良いと思う)。

 

でもって、この記事を作った目的は、「上記のような表現が使われていた場合、それは何を意味するのか」がピンときやすいようにするためである。

 

 

例えば以下などの記事は、ここに記載した表現をベースに作成している。

 

モビライゼーション(股・膝・足関節)の「方法」と「成功の秘訣」!!

 

モビライゼーション(肩・肘・手関節)の「方法」と「成功の秘訣」を解説!

 

 

位置を示す基準面

 

身体の位置を示す基準面(線)は以下の3つである。

 

  • 矢状面(以下イラストの青色
  • 前額面(以下イラストの赤色
  • 水平面(以下イラストの緑色

 

前額面について

 

身体を前後に分ける面を『前額面』と呼ぶ(前頭面、冠状面とも呼ばれる)。

 

 

矢状面について

 

身体を左右に分ける面を『矢状面』と呼ぶ。

 

 

また、矢状面の中でも「身体の中心を通る矢状面」を『正中面(正中矢状面)』と呼ぶ。

 

余談として、身体を左右二等分する線を『正中線』と呼び、これに平行する線以下の様な表現もある。

 

・鎖骨の中点を通る線⇒鎖骨中線

・胸骨の外側縁を通る線⇒胸骨線

・腋窩の中央を通る線⇒(中)腋窩線、

・肩甲骨下角を通る線⇒肩甲下線

・・・・・・・・・・・など。

 

また、上肢や下肢を内側・外側に二等分する線も正中線とよばれる。

 

 

一方、身体の高さは骨の位置で表されることが多く、例えば以下な感じ。

 

・胸部では肋骨を用いた「第○肋間」という表現。

・胸骨上縁から3横指ほど下の胸骨角平面(第4~5胸椎の間)

・肋骨弓下縁を通る肋骨下平面(第3腰椎の高さ)

・肩甲下角(第7胸椎の高さ)

・左右の腸骨稜の上端を結ぶ腸骨稜頂線(ヤコビー:第4腰椎棘突起の高さ)

 

・・・・・・などなど。

 

以下は「ヤコビー線」や「肩甲骨高さライン」について、もう少し詳しく解説しているので興味が出来れば観覧してみて欲しい。

 

 

 

水平面について

 

以下が水平面。

 

関節の運動の表現方法をザックリ解説

 

ここから先は、日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が1995年に改訂した『関節可動域表示ならびに測定法の原則』の「3.関節の運動」を参考に『関節運動』の表現方法について記載して終わりにする。

※参考:リハ医学32:207-217,1995

 

 

関節の運動とは

 

関節の運動とは、直交する3平面、すなわち前額面、矢状面、水平面を基本面とする運動である。

 

 

ただし、肩関節の外旋・内旋、前腕の回外・回内、股関節の外旋・内旋、頚部と胸腰部の回旋は、基本肢位の軸を中心とした回旋運動である。

 

また、足部の内がえし・外がえし、母指の対立は複合した運動である。

 

 

実際の関節運動

 

実際の関節運動としては以下が挙げられる。

 

  1. 屈曲と伸展

    多くは矢状面の運動で、基本肢位にある隣接する2つの部位が近づく動きが屈曲、遠ざかる動きが伸展である。

    ただし、肩関節、頚部・体幹に関しては、前方への動きが屈曲、後方への動きが伸展である。

    また、手関節、手指、足関節、足指に関しては、手掌または足底への動きが屈曲、手背または足背への動きが伸展である。

     

  2. 外転と内転

    多くは前額面の運動で、体幹や手指の軸から遠ざかる動きが外転、近づく動きが内転である。

     

  3. 外旋と内旋

    肩関節および股関節に関しては,上腕軸または大腿軸を中心として外方へ回旋する動きが外旋、内方へ回旋する動きが内旋である。

     

  4. 回外と回内

    前腕に関しては、前腕軸を中心にして外方に回旋する動き(手掌が上を向く動き)が回外、内方に回旋する動き(手掌が下を向く動き)が回内である。

     

  5. 水平屈曲と水平伸展

    水平面の運動で、肩関節を90°外転して前方への動きが水平屈曲、後方への動きが水平伸展である。

     

  6. 挙上と引き下げ(下制)

    肩甲帯の前額面の運動で、上方への動きが挙上、下方への動きが引き下げ(下制)である。

     

  7. 右側屈・左側屈

    頚部、体幹の前額面の運動で、右方向への動きが右側屈、左方向への動きが左側屈である。

     

  8. 右回旋と左回旋

    頚部と胸腰部に関しては右方に回旋する動きが右回旋、左方に回旋する動きが左回旋である。

     

  9. 橈屈と尺屈

    手関節の手掌面の運動で、橈側への動きが橈屈、尺側への動きが尺屈である。

     

  10. 母指の橈側外転と尺側内転

    母指の手掌面の運動で、母指の基本軸から遠ざかる動き(橈側への動き)が橈側外転、母指の基本軸に近づく動き(尺側への動き)が尺側内転である。

     

  11. 掌側外転と掌側内転

    母指の手掌面に垂直な平面の運動で、母指の基本軸から遠ざかる動き(手掌方向への動き)が掌側外転、基本軸に近づく動き(背側方向への動き)が掌側内転である。

     

  12. 対立

    母指の対立は、外転、屈曲、回旋の3要素が複合した運動であり、母指で小指の先端または基部を触れる動きである。

     

  13. 中指の橈側外転と尺側外転

    中指の手掌面の運動で、中指の基本軸から橈側へ遠ざかる動きが橈側外転、尺側へ遠ざかる動きが尺側外転である。

     

  14. 外がえしと内がえし

    足部の運動で、足底が外方を向く動き(足部の回内、外転、背屈の複合した運動)が外がえし、足底が内方を向く動き(足部の回外、内転、底屈の複合した運動)が内がえしである。

    足部長軸を中心とする回旋運動は回外、回内と呼ぶべきであるが、実際は、単独の回旋運動は生じ得ないので複合した運動として外がえし、内がえしとした。

    また、外反、内反という用語も用いるが、これらは足部の変形を意味しており、関節
    可動域測定時に関節運動の名称としては使用しない。

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サルでもわかる各関節における運動表現

 

前述した関節運動を、各関節ごとに再度記載して終わりにする(重複する記載もあるかもしれないが、それらはスルーしてもらいたい)。

 

股関節の運動

 

股関節の屈曲・伸展:

体を外側からみて、下肢を体(腹部)に近づけるように股関節を曲げることを『股関節の屈曲』、背中に近づけるように後ろに伸ばすことを『股関節の伸展』と呼ぶ。

 

 

股関節の外転・内転:

体を前面からみて、下肢をまつすぐにした状態(膝関節伸展位)で下肢を体の外側に動かすことを『股関節の外転』、体の内側に近づけること『股関節の内転』と呼ぶ。

 

股関節の外旋・内旋:

(関節可動域測定の際は、)股関節と膝関節を90°曲げ、下腿(足)を体の外側に動かすことを『股関節の内旋』、下腿(足)を体の内側に動かすことを『股関節の外旋』と呼ぶ。

 

 

股関節の運動に関する動画は以下を参照(最初の話が長いので1分25秒から再生すればOK)。

 

 

動画は以下の順に自動運動している。

屈曲(flexion)⇒内転(adduction)⇒外転(abduction)⇒内旋(internal rotation)⇒外旋(external rotation)⇒伸展(extention)

 

 

膝関節の運動

 

膝関節の屈曲・伸展:

体を外側からみて、下腿(踵)を大腿骨に近づけるように膝関節を曲げることを『膝関節の屈曲』、伸ばすことを『膝関節の伸展』と呼ぶ。

 

 

足関節の運動

 

足関節の底屈・背屈:

体を外側からみて、足指を下腿から遠ざけるように足関節を動かすことを『足関節の底屈(足関節の屈曲)』、足指を下腿に近づけるように足関節を動かすことを『足関節の背屈(足関節の伸展)』と呼ぶ。

 

 

足部の運動

 

足部の内返し・外返し:

体を前からみて、足の小指を頭部に近づける(足の親指を頭部より遠ざける)ように足の外縁を上げることを『足部の外がえし』、足の親指を頭部に近づける(足の小指を頭部より遠ざける)ように足の内縁を上げることを『足部の内がえし』と呼ぶ。

 

 

足部の外転・内転:

体を上部からみて、足の小指を体の外側に向けるように足部の外縁を外側に動かすことを『足部の外転』、足の親指を体の内側に向けるように足部の外縁を動かすことを『足部の内転』と呼ぶ。

 

 

母趾の運動

 

母趾の屈曲・伸展:

母趾の関節には、中足趾節関節(MCP)と趾節関節(PIP)がある。

※体幹に近いほうにあるのが中足趾節関節で、末梢にあるのが趾節関節

でもって、MCP・PIP関節ともに、足底に近づけるように母趾を動かすことを屈曲、頭部に近づけるように趾を動かすことを伸展と呼ぶ。

 

 

足趾の運動

 

足趾の屈曲・伸展:

足趾の関節には、中足趾節関節(MP)と近位趾節関節(PIP)、遠位趾節関節(DIP)がある。

※体幹に近いほうにあるのが中足趾節関節で、末梢にあるのが近位+遠位趾節関節。

でもって、MP・PIP・DIP関節ともに、足趾を足底に近づけることを屈曲、頭部に近づけることを伸展と呼ぶ。

 

 

足関節・足部・足趾の自動運動の動画は以下になる(話が長いので1分10秒からで再生すればOK)。

 

 

動画は以下の順に自動運動している。

足関節  :背屈(dorsiflexion)⇒底屈(plantarflexion)

足部   :内がえし(inversion)⇒外返し(eversion)

足指・母指:屈曲⇒伸展(⇒外転⇒内転)

 

 

肩関節の運動

 

肩関節の屈曲・伸展:

上肢をまっすぐ垂らした状態で体を外側(矢状面)からみて、上肢を体の前後に動かす運動を指す。

体の前方に肩関節から上肢を上げること(前方拳上)を『肩関節の屈曲』、体の後方に上げること(後方拳上)を『肩関節の伸展』と呼ぶ。

 

 

 

肩関節の外転・内転:

上肢をまっすぐ垂らした状態で体を前(前額面)からみて、上肢を外側に広げながら上げること(側方拳上)を『肩関節の外転』と呼ぶ。また、外転させた上肢を体側に下ろすことを『肩関節の内転』と呼ぶ。

 

 

 

肩関節の外旋・内旋:

上腕を体側に垂らし、肘を90°前方に曲げ、前腕を体の外側に動かすことを『肩関節の外旋』、前腕を体の内側に動かすことを『肩関節の内旋』と呼ぶ。

 

 

 

肩関節の水平外転・水平内転:

手掌を下に向け、肘を伸ばし、肩関節を90°外側に広げた状態で、上肢を体の前方に動かすことを『肩関節の水平屈曲』、後方へ動かすことを『肩関節の水平伸展』と呼ぶ。

 

 

肩関節の自動運動の動画は以下になる。

 

 

動画は以下の順に自動運動している。

 

外転(abduction)⇒屈曲(flexion)⇒伸展(extension)⇒外旋(external rotation)⇒内旋(internal rotation)⇒肩関節90°外転位での内旋⇒内転(addction)⇒水平内転

 

また、肩関節の運動に次いで、肩甲帯の動きも解説している(英語表記は肩甲帯ではなく肩甲骨の運動を用いている)

屈曲(Protraction)⇒伸展(Retraction)⇒挙下(elevation)⇒引き下げ(depression)

 

肩甲帯(の肩甲骨)の動きに関しては以下の記事も合わせて観覧するとイメージしやすいと思う。

⇒『肩甲骨のモビライゼーションで可動性を高めよう

 

 

肘関節と前腕の運動

 

肘関節の屈曲・伸展:

上肢をまっすぐ垂らした状態で体を外側(矢状面)からみて、前腕を体の前に上げ、上腕に近づけることを『肘関節の屈曲』、遠ざける(元に戻す)ことを『肘関節の伸展』と呼ぶ。

 

 

前腕の回内・回外:

上肢を体側に垂らし、肘関節を90°前に曲げ(肘関節90°屈曲位)、親指を上方、小指を下方、手掌を体側に向けた(前腕中間位)状態で、手掌が下方(床面・下肢)を向くように前腕を回すことを『前腕の回内』、上方(頭部)を向くように回すことを『前腕の回外』と呼ぶ。

 

肘関節・手関節の自動運動の動画は以下になる(話が長いので25秒からの再生でOK)。

 

 

動画は以下の順に自動運動している。

肘関節伸展⇒肘関節屈曲⇒前腕回内⇒前腕回外

 

 

手関節の運動

 

手関節の背屈・掌屈:

肘関節を90°前に曲げ(肘関節90°屈曲位)、親指を上方、小指を下方、手掌を体側に向けた(前腕中間位)状態で、手背を体の外側に動かすように手関節を曲げることを『手関節の背屈』、手掌を体の内側に動かすように曲げることを『手関節の掌屈』と呼ぶ。

 

 

手関節の橈屈・尺屈:

上肢を体側に垂らし、肘関節を90°前に曲げ(肘関節90°屈曲位)、手掌を下に向けた(前腕回内位)状態で、親指を体に近づけるように手関節を曲げることを『手関節の橈屈』、小指を体の外側に向けるように手関節を曲げることを『手関節の尺屈』と呼ぶ。

 

 

母指の運動

 

母指の橈側外転・掌側外転:

手指を伸ばした状態で、上方(水平面)からみて、手掌を下に向けた状態(前腕回内位)で、母指を示指から離すことを『母指の橈側外転』、手掌を体側に向けた状態(前腕中間位)で、母指を示指から離すことを『母指の掌側外転』と呼ぶ。

 

 

母指の屈曲・伸展:

母指の関節には、中手指節関節(MCP)と近位指節関節(IP)がある。

※体幹に近いほうにあるのがMCP関節で、末梢にあるのがIP関節。

母指を手掌に近づけることを『屈曲』、背面に伸ばすことを『伸展』と呼ぶ。

 

 

手指の運動

 

手指(第2~5指)の屈曲・伸展:

手指の関節には、中手指節関節(MCP)と近位指節関節(PIP)、遠位指節関節(DIP)があります。

※体幹に近いほうにあるのがMCP関節、末梢にあるのがPIP・DIP関節。

指を手掌に近づけることを『屈曲』、背面に伸ばすことを『伸展』と呼ぶ。

 

 

手指の外転・内転:

第3指を中心に手掌面上で第2・4・5指を開くことを『手指の外転』、第3指に近づけることを『手指の内転』と呼ぶ。

第3指では小指側への動き(尺側外転)と親指側への動き(橈骨外転)で内外転を表現する。

 

 

手関節・手指・母指の自動運動の動画は以下になる(話が長いので1分からで再生すればOK)。

 

 

手関節:掌屈(屈曲:flexion)⇒背屈(伸展:extension)⇒橈屈(radial deviation)⇒尺屈(ulnar deviation)

手指:屈曲⇒伸展⇒外転⇒内転

母指:屈曲⇒伸展⇒内転⇒外転⇒対立運動

 

※母指の内転・外転について分かりにくいと感じた人は以下の記事合わせて観覧してみてほしい。

⇒『母指の掌側外転と橈側外転(+違い)

 

 

頚部・体幹の運動

 

頸部の屈曲・伸展:

まっすぐ前を見た状態で体(頭部)を外側(矢状面)から、頭部を体の前方に傾けること『頚部の屈曲(前屈)』、体の後方に傾けることを『頚部の伸展(後屈)』と呼ぶ。

 

 

頸部の回旋:

まっすぐ前を見た状態で体(頭部)を上部(水平面)から、顔面を左右に回すことを『頸部の回旋』と呼ぶ。

※顔面を体の左側に回すことを左回旋、右に回すことを右回旋と呼ぶ。

 

 

頸部の側屈:

まっすぐ前を見た状態で体(頭部)を背面から、耳が肩に近づくように頭部を左右に傾けることを『頸部の側屈』と呼ぶ。

※体の左側に傾けることを左側屈、右に傾けることを右側屈と呼ぶ。

 

 

体幹の屈曲・伸展:

まっすぐ前を見た状態で体(頭部)を外側から、体の前方に傾けること『体幹の屈曲(前屈)』、後方に傾けることを『体幹の伸展(後屈)』と呼ぶ。

 

 

体幹の回旋:

まっすぐ前を見た状態で体を上部から、肩を回すように体を動かすことを『体幹の回旋』と呼ぶ。

※左肩を体の前方に動かし体を回すことを体幹の右回旋、右肩を前方に動かし体を回すことを左回旋といいます(右・左の表現に注意して読んでみてほしい)。

 

 

体幹の側屈:

まっすぐ前を見た状態で体を背面から、体を左右に傾けることを『体幹の側屈』と呼ぶ。

※体を左側に傾けることを左側屈、右に傾けることを右側屈と呼ぶ。

 

 

関連記事

 

実際の関節可動域測定では、ここで記載した各種運動を他動的に操作し、測定する。

そんな『関節可動域測定』に関するまとめ記事は以下になる。

 

ROMテスト(関節可動域検査)まとめ / 測定のポイントも解説

 

 

また、関節可動域訓練に関しては以下の記事で深堀しているので合わせて観覧してみてほしい。

 

関節可動域訓練(ROMエクササイズ)とは? リハビリ・看護