今回は『エビデンスに基づく整形外科徒手検査法』という書籍を紹介します。

 

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整形徒手検査法がどれだけ有用性があるか掲載されている

 

『エビデンスに基づく整形外科徒手検査法』内容としては、色々整形外科徒手的検査法の(良くも悪くも)信頼性や診断学的有用性が、どの程度あるのかが書かれてあります。

 

ただ、そこに示されている様々な数値の解釈は自分でする必要があるので、Κ係数や感度・特異度・ゆう度比などなどを理解していないとピンときません(第一章にそれぞれの説明が一応書かれてあります)。

 

例えば「SLRテストによる椎間板ヘルニアの鑑別」の感度はどのくらいなのか?

 

これに関しては15編の研究結果が数値でズラッと並ぶ+15編の研究をまとめた推定値が記されているといった感じです。

 

あるいは、ゴニオメーターによるROMテストの検者間・検者内信頼性なども上記同様にいくつかの研究結果がズラッと載っています。

 

そして、この本で面白いのはマニュアルセラピーで用いる脊柱の分節テストなども記されている点です。

 

著者がアメリカ人とのことで不安定性テストなんかは「こういう方法もあるんんだな~」と思いました。

 

マッケンジー法の信頼性と称した研究もいくつかあって興味深いです。

 

例えば、「マッケンジー法を習得していない複数のセラピストと学生が、1検者により行われた検査のビデオを見て、ビデオを見たセラピストと学生の全ては、患者の動きから症状の変化を予想するように指示された。その際の検者間信頼性は・・・・」などです。

以前学んだ骨盤の研修会の内容に関しても静的触診・動的触診・疼痛誘発テストについ

 

いくつか載っていて色々と考えさせられました。

 

マニュアルセラピーに興味のある方は是非読んでみて下さい♪

 

脊柱のマニュアルセラピーでは過少運動性のある分節は動きを良くしあげて、不安定性のある分節は安定性を高めていって云々・・・・という話がよく出てきます。

 

言うのは簡単ですが、上記のアプローチするためには分節の評価が必要不可欠な訳で、理屈は分かっても評価の精度が上がってからでなければ使えないということになります。

 

例えば、評価の精度が不十分なうちにマニュアルセラピーを施行しようとすると、過少運動性だと誤って一分節隣の不安定性のある分節に「動きを出すようなアプローチ」をしてしまい悪化させてしまうというケースもあるのではと思います。

 

あるいは、正常な?一般的な?分節の動きがある程度分かっていなければ、「AよりBの分節の動きが少ない」という情報が得られても、これが「Bが過少運動性なのか」「Aが不安定性なのか」が分かりません・・・(明らか過ぎるものは分かりますが・・)

 

なので問診・視診・自動運動テストなどを総合しながら、更に触診技術をしっかり磨いていかなければ手技は使えないということになりますが、その分習得し甲斐がある奥深いものだと思います。

 

そして、触診は練習や経験を積めば積むほど分かってきますし、評価が出来るようになればなるほど、それは即ち治療効果に反映されると思います。

 

他動運動テストに関して、始めは「分節の動きって言われても全然分からない」から「あ~ 確かに動いてるな。でも何処が過少でとかまで分かるものなの?」から「確かにココはココに比べて動きが大きいかも」という形で少しずつ分かっていき、そこから先は「セラピスト同士で練習する」であったり「コツコツ評価を怠らない」であったりで精度が少しずつでも上がると思いますし、更に最終的には「センス」も問われるのではと思います。

 

 

脱線しましたが、この本を読んで個人的に解釈して思うことは、やはり これらのテストを組み合わせることも重要ですが、この情報だけに頼るだけでなく更にこれ以外の情報も複合してクリニカルリーズニングをしていかなければ、マニュアルセラピーの結果は出ないということだと思います。

 

※ここで言うマニュアルセラピーはAKA-Hを含んでいません(AKA-Hも触診は大切ですが・・)

 

 

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