橈骨遠位端骨折(コーレス骨折など)を解説!『治療のクリニカルパス』や『合併症』も。。

この記事では『橈骨遠位端骨折』について記載していく。

 

※橈骨遠位端骨折はの中で、「高齢者が発症しやすい4大骨折(脊椎圧迫骨折、上腕骨近位端骨折、大腿骨頸部骨折、橈骨遠位端骨折)」として有名で、特に橈骨遠位端骨折の中でも発症頻度の高い『コーレス骨折』にフォーカスして作成している。

 

骨折後のリハビリ(理学療法)に関するクリニカルパスも掲載しているので、リハビリの参考にしてみてほしい。

 

橈骨遠位端骨折の原因

 

橈骨遠位端骨折は年齢を問わず、高頻度に見られる骨折の一つである。

 

小児では高所(自転・すべり台など)より転落して起きることが多く、また高齢者では転倒して手をついた場合に起きることが多い。

 

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橈骨遠位端骨折の分類

 

手をついて転倒した際に発生するが、受傷時の手首の肢位によって骨折のタイプが異なる。

すなわち、手関節が背屈位(手首を反って地面についた状態)か、掌屈位(手首を曲げて地面についた状態)か、回内位(手の平を地面についた状態)か、回外位(手の甲が地面についた状態)かによって色々な骨折が発生する。

 

 

一般的に橈骨遠位端骨折はColles骨折(コーレス骨折)やsmith骨折(スミス骨折)、Barton骨折(バートン骨折)などに分類される。

大半は前腕回内位・背屈位で手をついた際に生じる『コーレス骨折』である。

 

以下が橈骨遠位端骨折の「コーレス骨折」と「スミス骨折」になる。

 

 

橈骨遠位端骨折 コーレス骨折 スミス骨折

 

 

橈骨遠位端骨折(コーレス骨折など)の症状

 

橈骨遠位端骨折(コーレス骨折など)の症状は「手首の痛みや腫れ」で変形や運動障害も認める。

 

※ちなみにコーレス骨折では以下の様に、変形がフォーク様に見えるのが特徴。

 

橈骨遠位端骨折 コーレス骨折

 

コーレス骨折などの橈骨遠位端骨折の診断はレントゲンにて確定される。

※画像引用:日本整形外科学会より

橈骨遠位端骨折 コーレス骨折

 

橈骨遠位端骨折(コーレス骨折など)の合併症

 

橈骨遠位端骨折(コーレス骨折など)の合併症としては以下などが挙げられる。

 

・尺骨突き上げ症候群

・神経損傷

・腱断裂

・反射性交感神性ジストロフィー

 

合併症① 尺骨突き上げ症候群

 

  • 橈骨短縮・橈側偏位を残しての変形治癒は、

  • 橈骨短縮によって相対的に尺骨が長くなる。

  • (接触面が少ないため)尺骨が背側に脱臼すると、

  • 尺骨が突き上がっているように見える。

 

左側⇒尺骨が短い・真中⇒正常・右側⇒尺骨が長い(尺骨突き上げ症候群)

 

前腕回旋、手関節尺屈による尺骨頭部の疼痛とクリックや軋轢音をともない、機能障害を起こす。

 

 

合併症② 神経損傷

 

骨片(骨折の破片)によって神経が圧迫されて正中神経麻痺を発生することもあるので要注意である。

 

 

合併症③ 腱断裂

 

長母指伸筋腱の断裂が最も多い。

 

骨片による摩擦、局所の循環障害が原因とされている。

 

 

合併症① 反射性交感神経ジストロフィー

 

不完全な整復位、または不必要な長期間の固定は、手指の浮腫、チアノーゼ、関節拘縮、筋萎縮、骨萎縮をきたす。

 

運動時著しい疼痛を訴え、反射性の血管運動神経障害によるものと考えられている。

 

ちなみに反射性交感神経ジストロフィーは、現在では『CRPS(複合性局所疼痛症候群)のタイプⅠ』に含まれる。

 

 

橈骨遠位端骨折の治療を、小児・高齢者別に解説

 

小児・高齢者共に、転倒してを突いた際に橈骨遠位端骨折を発症しやすい。

 

ただし、以下の様にそれぞれ、骨折後の治癒には違いがある。

 

小児の橈骨遠位端骨折

 

  • 小児の骨は弾力性に富み、完全に骨折することはあまりない。小児に特有な『若木骨折(橈骨に長軸方向の外力が加わり竹の節の様な形に見える骨折)』もよく見受けられる。

 

  • 骨折の月が早く、少しの変形でも自然にまっすぐになる。

 

  • 固定期間が長くても手関節の運動(リハビリ)は痛みもなく、すぐに運動ができる。

 

 

高齢者の場合

 

  • 骨粗鬆症の人が多く、少しの力で骨折する場合がある。
  • 一か所だけ骨折するのではなく、複雑に折れたり他の骨も一緒に骨折することがある。
  • 固定期間が長くなることがあり、運動(リハビリ)は長期間行う場合がある。

 

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橈骨遠位端骨折(コーレス骨折など)の治療

 

治療は保存的治療(手術しない方法)が原則である。

 

転移がない症例(ずれのない症例)は3~4週間のギプス固定で経過観察する(ギプスは前腕から指の根元まで巻く)。

 

転移を認める症例は徒手整復術を試みる。

受傷早期の症例では無麻酔で整復可能であるが、陳旧例(骨折して何日か経過した症例)や転位が著明な症例や筋肉の緊張が異常に強い症例では、麻酔(腕神経叢麻痺や静脈麻酔など)を用いれ徒手整復術を行う。

 

整復後のギプス固定は3~5週間行う(ギプスは上腕から指の根元まで巻く)。

 

以下は、橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)のプロトコールになる。

※『文献:理学療法ハンドブック第3版』』より引用

 

  ~1W 1~2W 4~6W 8~12W
ROM運動 母指、手指、肘の可動部位のみ。 可動関節の自動運動 ギプスが除去されると手関節屈伸と回内外の自動運動開始。

全可動域の自動運動。

徐々に他動矯正運動。

筋力トレーニング 手指運動。 握力練習、前腕などの等尺性運動。

手指抵抗運動。

手関節は徐々に増加。

抵抗運動。
荷重 ———- ———- ———- X線所見により許可。
注意点

患部挙上。

浮腫と疼痛への対応。

患部挙上。

浮腫と疼痛への対応。

CRPSの徴候の有無に注意。 CRPSの徴候の有無に注意。

 

※あくまでも一例であり、主治医の指示に従うこと。

 

手術をする場合もあるよ

 

時に、簡単に整復されても、すぐに再転位をきたす不安定な症例もある。

 

この様な症例では再転位を防止するために経皮的接合術(皮膚の上からピンや釘のような器具で骨折部を固定する手術)を行う。

 

また、粉砕骨折例(バラバラに骨折し関節面がずれた症例)では内固定術(皮膚を切開して、骨折部を展開しプレートなどでつなぎ合わせる手術)を検討する。

 

固定中のリハビリとしては、骨折部が安定な症例もある。

この様な症例では再転位を防止するために経皮的骨接合術(皮膚の上からピンや釘のような器具で骨折部を固定する手術)を行う。

又、粉砕骨折(バラバラに骨折し関節面がずれた症例)では内固定術(皮膚を切開して、骨折部を展開しプレートなどでつなぎ合わせる手術)を検討する。

 

固定中のリハビリとしては、骨折部が安定しているならば、ボール握りや肘関節の屈指運動により筋力低下を防ぐようにする。

 

 

関連記事

 

コーレス骨折の合併症として注意すべき「CRPS」は以下の記事で解説している。

⇒『CRPS(複合性局所疼痛症候群)とは?『タイプⅠ・Ⅱの違い』や『RSD・カウザルギーとの関連』も解説

 

 

また、この記事では「高齢者が発症しやすい4大骨折(脊椎圧迫骨折、上腕骨近位端骨折、大腿骨頸部骨折、橈骨遠位端骨折)」の一つである橈骨遠位端骨折を解説したが、その他の骨折に関しては以下の記事で解説しているので合わせて観覧してみてほしい。

 

⇒『大腿骨近位部の骨折って何だ?原因・予防法・各手術方法も解説

⇒『脊椎圧迫骨折(胸椎・腰椎の骨折)を解説!

⇒『上腕骨近位端骨折を解説!

 

 

オススメ書籍

 

骨折のリハビリ(理学療法)をするにあたって、以下の書籍を一通りそろえておくと、非常に心強いと思う。

 

是非参考にしてみてほしい。

 

 

 

 

 

関連記事

 

以下の記事では、様々な部位の骨折をまとめているので、興味がある方は合わせて観覧してみてほしい。

 

⇒『【まとめ】色んな骨折を網羅したよ(骨折の分類 | 病的骨折も詳細に解説)