この記事では舟状骨骨折について記載していく。

 

舟状骨とは

 

『舟状骨』は8つある手根骨の内の一つであり、母指の近くで手関節(橈骨手根関節)を形成してる。

 

※以下のイラストの赤色部分の手根骨が『舟状骨』である。

 

※「S:舟状骨」・「L:月状骨」・「Tri:三角骨」「P:豆状骨」・「Tm:大菱形骨」・「Tz:小菱形骨」・「C:有頭骨」・「H:有鈎骨」

 

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舟状骨骨折とは

 

舟状骨骨折は、何らかの理由で転倒した際に手関節の背屈(手首のそり)が強制されて、有頭骨とと橈骨茎状態突起が「舟状骨」に衝突しすることで骨折が発生するケースが多い。

 

※有頭骨と橈骨茎状突起に両方から圧迫されることで折れるということ。

 

舟状骨骨折は以下の点で偽関節(骨折した骨がつかず、関節のように動くもの)となりやすい。

 

1.骨折と思わず捻挫と思ったまま放置することが多い

2.初期時のエックス線検査で発見されにくいことが多い。⇒後述する

3.血行が悪いので骨癒合しにくい⇒後述する

 

 

舟状骨骨折の症状

 

急性期では、手首の母指側(親指側で手首に凹みがある所で『かぎタバコ窩((anatomic snuff box)』とも呼ばれる部位)に、痛みがある。

 

急性期を過ぎると一時的に軽快するが、放置して、骨折部がつかずに偽関節になると、手首に痛みが生じてきて、握力の低下や運動障害を認める。

 

※初期症状としての痛みが軽く「単なる捻挫だろう」と放置してしまう場合もあり、その様な判断が偽関節につながる場合もある。

 

かぎタバコ窩の詳細は以下も参照してみてほしい

⇒『嗅ぎタバコ窩(かぎたばこか)を確認しよう

 

 

舟状骨骨折の診断

 

舟状骨骨折は遅延治癒(なかなか治癒しない)や偽関節になることが稀ではないため、早期のが重要である。

 

画像診断では、X線検査がなされることが多いが、単独X線検査では初期段階においては舟状骨骨折を見逃してしまうこともあり、これも偽関節に繋がる要因と言われている。

 

なので、X線検査だけでなくCT像やMRI像による診断が重要となってくる。

 

また、「(前述した)かぎタバコ窩の局所的な圧痛」や腫脹は重要な理学所見となる。

 

転倒して手をつくなどの明らかな受傷機転があり、尚且つ上記の症状や、母指の運動障害(動かしにくさ)を感じたら病院を受診してみよう。

 

 

舟状骨骨折の治療

 

早期発見が可能であった場合は特殊なねじ(スクリュー)による骨折部の固定で治療する。

 

以前はギプス固定が主流であったがその場合は6~12週の固定が必要とされる。

 

※固定期間に関しては、舟状骨の骨折部位(近位部・腰部・遠位部・結節部)によって血行状態が異なるため、骨癒合に必要とされる期間も異なってくる(いずれにしても6~12週の固定が必要とされている)。

 

※どのギプス固定でも2関節固定が基本なので舟状骨骨折も肘まで固定する。

※指関節筋も肘に付着しているので、肘を動かすと治癒しない。

 

一方で、特殊なねじ(スクリュー)であれば比較的早期から主部を動かすことが可能となるため、二次的な機能障害を予防できる。

 

 

関連記事

 

舟状骨骨折は、転倒などにより手をついた際に起こり易い骨折であると前述したが、同様な受傷機転で生じやすい骨折として『橈骨遠位端骨折』がある。

 

⇒『橈骨遠位端骨折(コーレス骨折など)を解説!「治療のクリニカルパス」や「合併症」も。。