この記事ではリハビリ(理学療法・作業療法)で活用される『ワイピング運動』について記載していく。
ワイピング運動とは?
ワイピング運動とは、上肢機能の改善を目的とした運動の一つである。
例えば脳卒中片麻痺患者の上肢に関して「補助手から実用手が予想される場合」は、残存機能に合わせてワイピング運動を含めた動作訓練が行われる場合がある。
ワイピングの具体的な方法
ワイピングは机の上で雑巾をかけるような動作で、水平面上での肩関節の内外旋や肘の屈伸を伴う動作である。
また、肩甲骨の動き(protractionやretractionなど)を引き出すためにも効果的であり、この場合の適応は脳卒中片麻痺に限った事ではない。
肩甲胸郭関節(肩甲骨の動き)を引き出すアイデアの一例としては以下などが挙げられる。
椅座位・テーブル表面の高さは肩甲上腕関節屈曲可能域約60~90°程度にする。
手にタオルを把持してテーブル上に置き、肘関節伸展位で、肩部をできるだけ前方へ突き出し、手はできるだけ遠くへもっていき、雑巾がけの要領でテーブル表面で動かす。
声掛けとしては「「雑巾がけの要領で、手を左右、 前後にスライドさせてください」など。
サンディングボードやプーリー、ペグボードなどの特殊な器具を必要とせず、身近なものを用いるため自主トレーニングとしても行いやすいというメリットもある。
ワイピングの動画を紹介
ワイピングに関して、動画だとイメージしやすいかもしれないので以下に添付しておく。
最初の動画は「前後のみの運動」であり、次の動画は「円を描くような運動」である。
最初は単純な動作から始め、徐々に難易度を挙げていく。
※この動画はあくまで一つのアイデアに過ぎない。「ワイピング」という名称通りに、車のワイパーの様な運動でも構わない。
また、エクササイズとしてだけでなく、(十分な分離運動が可能となっているならば)日常生活においてもテーブルを麻痺側で積極的に拭くなど、意識して頻回に使用していくことも重要となる。
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