大腿骨顆上骨折・大腿骨顆部骨折をクリニカルパスも含めて解説

この記事では『大腿骨顆上骨折』と『大腿骨顆部骨折』について解説している。

 

骨折後のリハビリ(理学療法)に関するクリニカルパスも掲載しているので、リハビリの参考にしてみてほしい。

※ただし、あくまで参考・目安であり、必ず医師の指示に従うこと

 

大腿骨顆上骨折・大腿骨顆部骨折とは

 

大腿骨顆上骨折と大腿骨顆部骨折は、合わせて「大腿骨遠位部骨折」と表現されることもある。

 

顆上骨折ではNeerの分類、顆部骨折ではHole(ホール)の分類が用いられたりする。

 

※ちなみに、Neerの分類は以下になる。

 

Ⅰ:転移の無い顆上骨折

 

Ⅱ:遠位骨片の内側転位を伴う骨折

 

Ⅲ:遠位骨片の外側転位を伴う骨折

 

Ⅳ:顆上部の粉砕骨折

 

 

 

 

膝関節周囲は幾重からなる層構造を呈しており、その間には多くの滑液包が存在している。

※Mericanらは、外側膝蓋支帯を表層・中層・深層の3層構造と考え、腸脛靱帯を含む大腿筋膜・大腿四頭筋からの構成体、関節包により構成されると報告している。

 

大腿骨遠位部骨折(顆上骨折・顆部骨折)では、組織の損傷や炎症の波及、手術侵襲などにより筋性拘縮だけでなく関節構成体の拘縮が加わり、その改善に難渋する。

 

※特に顆部骨折の場合は関節包内骨折となるため、二次性関節症を併発しやすい(関節包・靱帯・半月板等の損傷も合併しやすい)。

 

大腿骨顆上骨折は、腓腹筋の起始部が遠位骨片にあり、遠位骨片が後方に転位する。

 

 

受傷機転

 

青壮年では直達外力や交通事故、転落等の高エネルギー外傷で受傷することが多い。

 

一方で、高齢者やステロイド剤の長期服用による骨粗鬆症がある場合は、転倒などの低エネルギー外傷で受傷することがある。

 

受傷機転は、膝関節に内反力や外反力が加わり関節面が衝突し、回旋力や長軸方向の外力が作用する。

その際に、下腿近位端骨折や側副靱帯損傷とならない場合に起こるとされている。

 

 

大腿骨遠位部骨折(顆上骨折・顆部骨折)の治療

 

大腿骨遠位部の骨折は転位を伴いやすく、関節内骨折の場合は拘縮が必発する。

 

保存療法は直達牽引やギプス固定が行われるが、長期固定が必要となり上記の理由より転位の少ない例や手術不可能例を除いては、手術療法が選択されることが多い。

 

手術療法は、プレートや横止め髄内釘などが使用されることが多い。

 

 

大腿骨遠位部骨折(顆上骨折・顆部骨折)の治療ゴール

 

大腿骨遠位部骨折(顆上骨折・顆部骨折)における「整形外科的治療ゴール」と「リハビリの治療ゴール」は以下の通り。

 

 

整形外科的治療ゴール

 

アライメント:

骨折部の屈伸および内外反変形を矯正する。

整復後における膝関節アライメントに関しては二次性関節症の発生に関して重要な因子になるので、前額面からの内反・外反などに関してFTA(femur-tibia angle:大腿一脛骨角)の測定。側面から過度な屈曲・伸展状態を把握する。

高齢者の場合、受傷前から変形性関節症を有する症例も存在し、関節面の評価は健側との比較も重要となる。

 

 

安定性:

骨折部分の解剖学的な整復位を保ち、骨粗鬆症を有していても早期可動域訓練に耐えうる強固な内固定が必要。

 

 

リハビリの治療ゴール

 

関節可動域:

膝関節の正常関節可動域の獲得を目指す。

 

 

筋力:

障害されやすい膝伸筋(大腿四頭筋)、膝伸筋(ハムストリングス)の筋力回復を目指す。

その他、大内転筋・長内転筋は大腿骨顆部に、腓腹筋は内側および外側上顆に付着するため、これらの筋力強化を行い、回復に努める。

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機能的ゴール:

股関節・膝関節の十分な可動域を獲得し、破行のない正常歩行パターンを獲得する。

 

 

大腿骨顆上骨折のクリニカルパス

 

大腿骨顆上骨折のクリニカルパスは以下になる。

~『理学療法ハンドブック改訂第4版 4巻セット』より引用~

 

  ~1W 1~2W 4~6W 8~12W 12~16W
ROM運動

Active ROM。

膝完全伸展と屈曲60~90°。

———- 90°以上の自動運動。 他動ROM開始 ———-
筋力トレーニング 膝周囲筋以外の筋力強化。 大腿四頭筋の等尺性収縮。 大腿四頭筋とハムストリングスの等尺性収縮。

大腿四頭筋・ハムストリングスの等張性収縮。

漸増抵抗運動。

———-
荷重 免荷 免荷 免荷 免荷 つま先荷重から開始し、全荷重へ。
注意点 Passive ROMを避ける。 Passive ROMを避ける。 Passive ROMを避ける。 Passive ROMをやり過ぎない。 ———-

 

※あくまでも一例であり、主治医の指示に従うこと。

 

 

リハビリ(理学療法)の補足

 

  • 可動域制限に関しては、エンドフィールなどを評価し、制限因子を推察することが大切となる

 

  • 膝関節可動域獲得に関しては、愛護的かつ持続的伸張手技を主体とする(大腿四頭筋・内転筋群・ハムストリングスなどの筋・筋膜性因子が制限な場合)。十分な筋のリラクセーションが得られれば、順調に可動域は獲得される場合が多い。そのため、無理な他動運動は疼痛を増幅させるため注意する。大腿四頭筋をはじめとして圧痛を認める筋に対し筋収縮練習やストレッチングを適宜行い、屈曲可動域の獲得を試みる。筋へのストレッチングは、骨折部より遠位から開始し、早期には損傷部に過度な伸張刺激が加わらないように配慮する。

 

 

 

  • 荷重に関しては保存療法の場合、仮骨形成を観察しながら部分的荷重から開始するが、手術療法の場合には内固定の状況から判断しなければならない。

 

 

オススメ書籍

 

骨折のリハビリ(理学療法)をするにあたって、以下の書籍を一通りそろえておくと、非常に心強いと思う。

 

是非参考にしてみてほしい。

 

 

 

 

 

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