この記事では、頸部の部位名称として『後頸三角』について記載している。
※ちなみに後頸三角は『外側頚三角』と呼ばれることもある。
後頚三角を構成しているもの
後頚三角は以下の3つで構成される。
- 胸鎖乳突筋の後縁
- 僧帽筋の前縁
- 鎖骨の上縁
でもって、以下のイラストの赤色部分が後頸三角になる。
ちなみに頚部は、胸鎖乳突筋の盛り上がりが明瞭であり、これを境に「前頚部(前頚三角)など」と「それ以外(後頚三角や後頚部)」を区分する一つの基準になっている。
後頸三角には「後頭三角」や「肩甲舌骨三角」も含まれる
後頚三角は以下も含まれる。
- 後頭三角
- 肩甲舌骨三角
※肩甲舌骨三角は「肩甲鎖骨三角」「大鎖骨上窩」とも呼ばれる。
後頭三角を構成するもの:
・僧帽筋前縁
・胸鎖乳突筋後縁
・肩甲舌骨筋
肩甲舌骨三角(肩甲鎖骨三角・大鎖骨上窩)を構成するもの:
・肩甲舌骨筋
・胸鎖乳突筋後縁
・鎖骨
後頸三角内を通過するもの
後頸三角の区画内を通過するものは以下の様に様々なものがある。
- 頸神経叢
- 腕神経叢
- 副神経
- 胸管
- 頸横動脈
- 外頸静脈
- 浅頸動脈
- 肩甲上動脈
- 肩甲下動脈
- 鎖骨下動・静脈
斜角筋も触知できる部位なので、胸郭出口症候群のテストにも絡めて理解
腕神経叢を絞扼して胸郭出口症候群の原因にもなると考えられている「前斜角筋」や「中斜筋」も後頸三角で触知できる。
なので、胸郭出口症候群が陽性の場合は、後頸三角から前・中斜角筋を触診してみても良いかもしれない。
ちなみに、胸郭出口症候群のテストには以下などがある。
・モーリーテスト(斜角筋を圧迫して効果判定するテスト)
・アドソンテスト(斜角筋を伸張して効果判定するテスト)
・・・・・・など。
胸郭出口症候群のテストは以下でも詳細に解説しているので、興味がある方はどうぞ。
⇒『胸郭出口症候群の鑑別テスト! (動画と一緒にを総まとめ)』
※胸郭出口症候群のみならず、前・中斜角筋は呼吸器疾患でも緊張しやすかったり、他の機能障害とも関連が深いので、「後頸三角部(つまりは胸鎖乳突筋と僧帽筋の間で触知できる)」ということだけでも何となく覚えておこう。
関連記事⇒『胸郭出口症候群って何だ?病態・症状・リハビリ(理学療法)など解説!』
フィジカルアセスメントにも、後頚三角の視診・触診を活用
フィジカルアセスメントとして、後頚三角の視診・触診を活用することもある。
例えば、後頸三角が腫れていたりすると以下などな可能性もある。
・嚢胞性リンパ管腫瘍
・リンパ節炎
・悪性リンパ腫・転移性腫瘍・神経鞘腫
身体の「○○三角」関連記事
以下は、体表に存在する「他の三角」についても解説しているので合わせて観覧してみてほしい。
⇒『スカルパ三角(大腿三角)とは? 「構成・通るモノ・触診方法」も解説するよ』