この記事では、脊柱管狭窄症についての概要とリハビリ(理学療法)について記載してく。

※脊柱管狭窄症は、脊柱の中でも腰部に生じやすいとされ、以降の記事は「腰部の脊柱管狭窄症」についての記載となる。

 

脊柱管狭窄症とは

 

脊柱の構成体である椎骨・椎間板・椎間関節・その他の軟部組織は加齢により以下のような影響を必ず受ける。

 

  • 椎骨の棘骨形成
  • 変形性の椎間関節
  • 椎間板腔の狭小化
  • (神経組織と隣接する)黄色靭帯の肥厚
  • 上記を含めた様々な要因による関節の過少運動性・不安定性

・・・・・・・・・・・・・・・・・・などなど

 

脊柱の中には『脊柱管』と呼ばれる空間があり、その中には脊髄が入っている。

 

また、腰椎部の脊柱管では脊髄から移行した馬尾が走行し、左右椎体間で神経根が分岐し『椎間孔』を通る

 

そんな脊柱管や椎間孔のスペースが、上記に挙げた「加齢による影響」によって徐々に狭くなっていくことがある

 

そうなると、馬尾や神経根が慢性的に圧迫され神経組織の循環(還流)不全が生じ,その結果として下肢の痛みやしびれを代表とする異常感覚が現れる症候群を,(症候性)腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinalstenosis;LSS)と呼ぶ。

 

※重複するが、「脊柱管狭窄症」と命名されているものは「脊柱管の狭窄症」だけを指しておらず、「椎間孔の狭窄症」も指している点は覚えておいてほしい。

 

脊柱管狭窄症を何となく理解するための動画は以下となる。

 

 

 

脊柱管狭窄症の原因

 

脊柱管狭窄症の原因は、生まれつき脊柱管が狭い先天性の場合もあるが、通常は加齢に伴う変性を基盤とするため、50歳以降に有症状となる。

 

変形性関節症や脊髄性脊椎症はほとんどが症状なく進行する退行性変化の過程だと言われているが、外傷や日常生活(不良姿勢・環境など)によって変性の進行が加速してしまうことがある。

 

※ただし、画像所見(脊柱管狭窄の程度)と実際の臨床所見が必ずしも一致していない場合も多い。

 

※脊柱管が重度に狭窄しているにもかかわらず無症状な人がいる一方で、脊柱管狭窄が軽度でも強い症状を訴える人がいる。

 

 

脊柱管狭窄症の分類

 

具体的には、以下の3つに分類される。

 

神経根型:

一側性に症状が出現することが多く、1つの神経根障害(単根性障害)により一側の殿部~下肢にかけての疼痛や痺れ感を特徴とする脊柱管狭窄症。

 

馬尾型:

両側下肢の疼痛や痺れ、脱力感などが出現する脊柱管狭窄症。
また、排尿・排便障、会陰部の感覚異常が出現し、一般的に症状が重篤であることが多

 

混合型:

神経根型と馬尾型両方の症状がある脊柱管狭窄症

 

脊柱管狭窄症の種類

 

そして、全てのタイプに共通する症状が『間欠性跛行』である。

 

間欠性跛行とは?

 

間欠跛行、間歇跛行(かんけつはこう)、間欠性跛行、間歇性跛行(かんけつせいはこう)とは、歩行などで下肢に負荷をかけると、次第に下肢の疼痛・しびれ・冷えを感じ、一時休息することにより症状が軽減し、再び運動が可能となること。

~ウィキペディアより~

 

そして、脊柱管狭窄症における間欠性跛行は、「腰椎伸展位で症状が増悪し、屈曲位で改善する」という姿勢性の特徴を有する歩行状態を指す。

 

つまり、連続歩行によって神経症状が悪化してくるが、少し前屈み姿勢で休むと症状が改善し再び歩き出せるといった点が特徴と言える。

 

一方で、間欠性跛行が起こるのは脊柱管狭窄症だけではなく、抹消動脈性疾患でも起こる。

 

こちらは、姿勢による変化は起こらず、「歩行による下肢筋収縮↑による阻血」「歩行休止による下肢筋収縮↓による血流改善」で症状が変化する。

 

これらは、間欠性跛行の原因を鑑別する際に有意義な特徴となる。

 

間欠性跛行

 

 

脊柱管狭窄症の症状・診断

 

脊柱管狭窄症の一番の特徴は、前述した『間欠性跛行』である

 

また、間欠性跛行以外の姿勢性の特徴としては以下などの特徴が問診で拾えるかもしれない。

  • 歩くのは辛いが、自転車(腰椎屈曲位)なら苦ではない
  • 上り坂・階段昇りの時に症状(腰・下肢痛など)が軽減する
  • 立位での活動で症状が増悪するが、座位での活動では全く症状が出現しない。

 

医師が脊柱管狭窄症の診断を下すが、医師が大雑把であったり、介護保険下で理学療法(リハビリ)を提供する場合において(曖昧指示しか医師からもらえない場合においては、理学療法士自身が前述した特徴などを考慮して、て脊柱管狭窄症な可能性を探っていくことになる。

 

 

前述した間欠性跛行関連の特徴以外には、以下が脊柱管狭窄症かどうかを判断する際に関連があるとされている。

  • 急性発症ではなく、動けないほどの激痛でもない。
  • 慢性腰痛である
  • 年齢が中高年(50代)以上

 

また、脊柱管狭窄症に特有な障害像を把握するにあたって、レッドフラッグを有しているかもチェックしておく(まぁ、このレベルでは医師が当然のように把握しているのが一般的ではあるが念のため。)

 

具体的には以下の通り。

  • 会陰部・肛門周囲における灼熱感・しびれ感
  • 尿(便)漏れ感の有無

これらは「重症型の馬尾徴候」を示しており、必ず医師に報告する必要がある。

関連記事⇒『レッドフラッグのチェックが腰痛治療に必須な件

 

※医師による脊柱管狭窄症の確定診断は、これらの問診に理学検査・画像検査も加えることでなされる。

 

 

腰部脊柱管狭窄診断サポートツール

 

『腰部脊柱管狭窄診断サポートツール』というツールが日本で開発されている。

 

このツールは、病歴2項目・問診3項目・理学検査5項目で構成され、スコア合計は-2点から16点となっており、点数が高ほど脊柱管狭窄症の可能性が高い。

 

※日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会が作成した腰部脊柱管狭窄症診療ガイドラインの中でも、有用なスクリーニングツールとして推奨されている。

 

※マインズガイドラインでは「腰部脊柱管狭窄症を診断するために有用な病歴および診察所見」としてエビデンスレベルⅡ・推奨グレードBとなっている。

 

評価項目

判定(スコア)

 

病歴

 

年齢

60歳未満(0)

60~70歳(1)

71歳以上(2)

糖尿病の既往

あり(0)

なし(1)

 

問診

間欠性跛行

あり(3)

なし(0)

立位で下肢症状が悪化

あり(2)

なし(0)

前屈で下肢症状が軽減

あり(3)

なし(0)

 

 

身体所見

前屈による症状出現

あり(-1)

なし(0)

後屈による症状出現

あり(1)

なし(0)

ABI 0.9

以上(3)

未満(0)

ATR 低下・消失

あり(1)

正常(0)

SLRテスト

陽性(-2)

陰性(0)

 

該当するものをチェックし、割りあてられたスコアを合計する(マイナス数値は減算)

 

・ABI( ankle brachial pressure index)⇒足関節上腕血圧比

・ATR(Achilles tendon reflex)⇒アキレス腱反射

・SLRテスト(straight leg raising test)⇒下肢伸展挙上テスト

 

合計点数が7点以上の場合は、腰部脊柱管狭窄症である可能性が高いとされる。

 

「SLRテスト陽性であれば-2点」などの項目は面白い。

 

同じく下肢症状が特徴な椎間板ヘルニアとの鑑別として「SLRテストが陽性か、陰性か」といった着眼点として使えそうな指標ではないだろうか?

 

※事実として、脊柱管狭窄症ではSLRテスト陽性な可能性は低いと言われており、SLR陽性な時点で別の病態を想定してリーズニングしたほうが良いかもしれない。

 

※一方で、「下肢症状はあるがSLRテストは陰性=脊柱管狭窄症」と言っている訳では無い(例えば仙超関節障害や椎間関節障害の関連痛としても下肢症状は起こる可能性がある)。

関連記事⇒『SLRテストを分かりやすく解説します

 

実際のリハビリ(理学療法)の現場では、「腰痛+下肢症状が起こっており、少しでも脊柱管の狭窄が画像所見が認められた場合」は安易に「脊柱管狭窄症」と診断されることが多い。

 

従って、理学療法士自身も、このツールを活用して「改めて脊柱管狭窄症かどうかの確認」をしてみてほしい。

 

紺野らによるオッズ比は以下の通りである。

 

・SLR陽性:0.41
・ABI正常:1.68
・体幹前屈位での症状誘発:0.36
・体幹伸展位での症状誘発:2.77
アキレス腱反射(以下ATR)の異常(低下・消失):2.56

 

オッズ比は1以上で影響が上昇し1以下では低下する。

 

つまり、脊柱管狭窄症患者では「SLR:陰性」「ABI:正常」「前屈位での症状誘発:(-)」「伸展位での症状誘発:(+)」「ATR:低下ないし消失」の確率が高いことを意味する。

 

また、サポートツールには含まれていないが、オッズ比が1以上であった検査には、「徒手筋力検査(MMT)による膝伸展筋、足関節背屈筋、長母趾伸筋の異常(3以下):1.41」「膝蓋腱反射の異常(低下・消失):1.42」がある。

 

一方、ABIは患者の年齢が高い場合には異常値(0.9未満)となる可能性が高いことも指摘されているため注意が必要である。

~徒手理学療法 第15巻 第2号より~

 

 

腰部脊柱管狭窄診断サポートツール以外では、以下の様な評価スケールがある。

  • Self Paced Walking Test(SPWT)
  • トレッドミル歩行試験
  • Oswestry Disability Index(ODI)

 

 

脊柱管狭窄症のリハビリ(理学療法)ガイドライン・エビデンスは存在する?

 

脊柱管狭窄症のリハビリ(理学療法)に関して、運動療法や徒手療法などの十分なエビデンスは存在しない。

 

一方で、脊柱管狭窄症と診断された患者の症状が臨床で改善されるケースは多い。

 

改善される理由として、前述したように「そもそも厳密に脊柱管狭窄症の鑑別診断が出来ていない(つまり、偽脊柱管狭窄症も混じっている)ということもあるだろうが、(間欠性跛行からも分かるように)メカニカルな刺激によって症状が変化するという特徴を持っている脊柱管狭窄症は「病態力学的要素が優位な侵害受容性疼痛」の典型と言え、(適切な刺激が入力されることで)改善される可能性も大いにあると言える。

関連記事⇒『(HP)侵害受容性疼痛のリハビリ(理学療法)

 

例えば、マッケンジー法の分類としては、「脊柱管狭窄症」を評価すると(それが腰部脊柱管狭窄診断サポートツールで高得点な脊柱管狭窄症であろうとなかろうと)、「整復可能なディレンジメントシンドローム」と「整復不能なディレンジメント」に分類できる。

 

 

そして、反応を重視して「疾患名」ではなく「機能」に着目して以下の様に考えていく。

  • 整復可能なディレンジメントであれば脊柱管狭窄症というレッテル無しでアプローチ可能
  • 「整復不能なディレンジメント」であれば「真の脊柱管狭窄症」と判断

関連記事

⇒『サイト:マッケンジー法を解説

⇒『マッケンジー法のQ&Aをシェアします

 

そして、十分な評価をしたうえで「真の脊柱管狭窄症」と判断された場合で初めて、「一般論的な脊柱管狭窄症に対してのリハビリ(理学療法)」を展開していくこととなる。

 

ここから先は、「一般論的な脊柱管狭窄症に対するリハビリ(つまりは構造障害・解剖学的異常に着目したリハビリ)」として、『Williamsの腰痛体操』を記載していく。

 

※前述したマッケンジー法の評価において、「Willamsの腰痛体操」に類似した刺激がDP((Directional Preference)と判断されることもある。

 

 

脊柱管狭窄症に対するリハビリ(理学療法)として「Williamsの腰痛体操」を紹介

 

以降の記事は、一般論的な脊柱管狭窄症に対するリハビリ(理学療法)に関して記載いていく。

 

一般的な理屈による脊柱管狭窄症のリハビリ(理学療法)

 

脊柱管狭窄症の特徴は「間欠性跛行」を含めて「メカニカルな刺激(姿勢や動作方法の変更)によって症状が変化する」といった点である。

 

ただし、そもそも、間欠性跛行の発生機序は未だに明らかになっていない。

 

仮説としては、「脊柱管狭窄によって脳脊髄液の循環が阻害され、あるいは馬尾神経(あるいは神経根)の血流が阻害され神経機能が低下して発症する」などと言われている。

 

※ちなみに以下は、『書籍:脳神経疾患のみかたABC 』から引用した画像だが、この様に脊髄自体も血液供給を受けており、これらが何らかの形で阻血されるのをイメージするとアプローチにもつなげやすいかもしれない。

 

 

 

・脊髄の血液供給は1本の前脊髄動脈と2本の後脊髄動脈によりなされ、前脊髄動脈は脊髄の前2/3、後脊髄動脈は後ろ1/3を灌流している。

 

・これらの動脈への血液の供給は、神経根と一緒に入ってくる根動脈(radiculararteries)よりなされている。

 

・根動脈の中で最も太いのはAdamkiewiczの動脈と呼ばれ,L2の神経根から入ることが多いい。

 

・前脊髄動脈も後脊髄動脈も血流は部位により下向きに流れたり、上向きに流れたりしている.両者の合流する辺りは分水領域(watershedarea)となり、虚血に陥りやすい。

 

~『書籍:脳神経疾患のみかたABC』より引用~ 

 

※加えて、神経症状の発症には何らかの神経周囲の炎症が関与すると考えられており、その場合は症状が自然寛解することが多い(特に神経根型の場合)。

 

※ただし、画像所として脊柱管狭窄に神経の圧迫があるからといって、必ずしも下肢症状が出現するとは限らないといった「理屈と実際が異なっている」ケースも多い。

 

いずれにしても、間欠性跛行の「即自的な症状誘発」ではなく「歩いているとジワジワと症状が誘発される」というのは「機械的ストレスによる直接刺激」だけでは説明がつかず、「(時間経過とともに)何らかの循環不全が進むことが神経系に及ぼす影響」も関与している可能性が高い(姿勢を変えることでスッと循環不全が改善され即自的に症状が改善される)。

 

そして、間欠性跛行といった症状が発生する機序は不明でも、「真の脊柱管狭窄症」がメカニカルな刺激によって起こす反応は(ここまでも述べてきたように)比較的一貫している。

 

そして、そんな「真の脊柱管狭窄症」に対する良好なメカニカルな刺激は「体幹前屈刺激」あるいは「体幹前屈位の持続保持」であり、それをリハビリ(理学療法)や日常生活で徹底的に利用していくこととなる。

 

※この記事では体幹前屈or後屈しか考慮しておらず、回旋や側屈(あるいは組み合わせ)などは議論に上がっていない。しかし、実際にはこれらを考慮して良い反応が得られることもある点は頭の片隅にきちんと留めておいて欲しい。

 

 

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操とは?

 

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操(postural exercises)は1937年に報告された古典的な体操となる。

 

Williamsは、腰痛を訴える患者をルーチンに腰仙椎の前後、側面、骨盤の前後X線撮影像から、腰仙椎部の狭小と前湾増大、および椎間関節の硬化像が多くみられたことを確認した。

 

このような腰痛患者には、腰仙椎の前湾を減少させ、体重心を前方に写し、腰仙椎後方への圧迫を軽減させることが有効とし、腰仙椎の屈筋の能動的発達と伸筋の受動的伸張を行う運動プログラムを考えた。

 

これが、姿勢矯正運動プログラム(postural exercises)である。

 

姿勢体操の目的は、全体としては筋力増強と可動域改善および腰椎の前湾減少である。

 

それゆえ個々の体操から得られれる以下の現象によって症状改善に導く。

 

a)椎間孔や椎間関節を拡大することで神経の圧迫を減少させる。
b)緊張した股関節屈筋と脊柱起立筋を伸長することで腰椎前湾を減少させる。
c)腹筋と殿筋を強化することで腰椎前湾を減少させる。
d)腰仙関節の拘縮をとる。

これだけは知っておきたい腰痛の病態とその理学療法アプローチ より~

 

 

一方で、脊柱管狭窄症のリハビリ(理学療法)として「パッケージ化された体操なのでブログで書きやすい」という意味でWilliamsの腰痛体操を記載しているが、全ての腰痛に当てはまるわけではなく、当然のことながら病期によって使い分けする必要がある。

 

ただし、Williamsは腰椎椎間板の急性期には姿勢体操を禁忌としており、姿勢体操は慢性期の腰痛体操として推奨している。

これだけは知っておきたい腰痛の病態とその理学療法アプローチ より~

 

なぜWilliamsが急性期には姿勢体操を禁忌としたのか、あるいは腰椎前湾刺激にメリット・デメリットに関しては以下の記事がヒントとなる。

⇒『腰椎屈曲・伸展のメリット・デメリット

 

 

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操の方法

 

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操は以下の6つから構成されている。

 

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操1

 

いわゆる腹緊強化:
Bパターンで良い
オヘソを見るように頭部を少し浮かせる(反復or持続的保持)
息を止めない

 
Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操2

 

pelvic tiltの運動:
pelvic tiltに関しては以下の動画も参照⇒『腹横筋のトレーニングを解説

 
Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操3

 

胸に両膝を近づける運動:
脊柱管狭窄症にフォーカスするのであれば、「椎間孔や椎間関節を拡大することで神経の圧迫を減少させる」ことが目的となる。
また、脊柱管狭窄症では筋筋膜性腰痛も合併していることが多いため、腰部脊柱起立筋や腰部多裂筋などのストレッチ(特に下部)により筋の伸張性や循環改善が腰痛緩和に寄与することもある。

 
Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操4

膝が曲がらないようにしながら、(指先をつま先に近づけるように)体を前屈させる
背筋と胸背筋膜およびハムストリングス(太もも裏)の伸張が目的となるらしい。
ただし、ハムストリングスがストレッチされるなら必ずしもこの方法でなくとも良い(こういうやり方で腰痛が悪化する人もいるので)。

 
Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操5

 

図のような姿勢で、右股関節前面の筋肉をストレッチする:
股関節屈筋群(腸腰筋など)のストレッチによる、股関節の伸展可動域の改善が目的。
若年者であれば「腰椎前彎の強い人」、あるいは高齢者であれば「不良姿勢で股関節屈曲している人」で短縮を起こしやすい。
脊柱管狭窄症の発症年齢を考えると、後者に対してのアプローチと言う側面が強い。

 
Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操6

 

しゃがんだり、座った入りをする(あるいはしゃがんだ状態をキープ)
腰仙部筋群のストレッチと大腿四頭筋の筋力増強が目的らしい。
脊柱管狭窄症の発症は高齢者に多いが、もし高齢者にも関わらずAパターンの持続的な姿勢保持が可能なのであれば、確かに腰仙部筋群のストレッチは可能だし、、「椎間孔や椎間関節を拡大」にも有効と思われる。また、間欠性跛行が生じた際の休憩方法としては、「単なる椅子座位での休憩」よりも「狭窄によって生じた様々な循環不全の改善」という意味でおススメできる。

 

 

 

これらの中で脊柱管狭窄症に対して即自的効果を示す可能性としては、③と⑥(の持続的姿勢保持)が特に高い。

 

「Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操」は国試レベルの知識だし、現役の理学療法士には物足りないリハビリ(理学療法)の紹介だったかもしれない。

 

そして、(当然のことながら)「腰痛」という症状を一括りに論じた場合は、「Williamsの腰痛体操」によるアプローチの有用性は証明されていない。

 

ただし、脊柱管狭窄症(という診断名が下されたものの内の、真の脊柱管狭窄症)のリハビリ(理学療法)としては、解剖・運動学的な観点から有効活用できる知識であると思われる。

 

「Williamsの腰痛体操」のようなパッケージ化した運動が重要と言うよりは、「Williamsの腰痛体操」が意図するようなリハビリ(理学療法)が効果的な可能性があるという意味。

 

※まぁ、ブログレベルで表現しやすい知識なので記載したという側面もある。

 

 

日常生活の指導

 

例えば、長時間の連続歩行が困難であれば以下の様な手段が有効となる。

 

  • 自転車の活用(自転車に乗れる能力を有していることが前提条件)
  • シルバーカーの活用(高齢者で自転車がのれない人でも活用でできる)

 

脊柱管狭窄症 日常生活指導

 

 

脊柱管狭窄症のおさらい。

 

ここで、今一度脊柱管狭窄症のおさらいすることで、リハビリ(理学療法)で活かせそうなヒントを考えてみる。

 

 

リハビリ(理学療法)のために、なぜ脊柱管が狭窄するのか理解しよう

 

冒頭でも記載したが、再度ここで脊柱管が狭窄する機序を考えてみよう。

 

私たちの身体には加齢とともに以下の様な変化が起こる。

 

椎間板変性+軟骨変形+骨増殖:

椎間板変性によって椎間板高が減少してくると、椎間関節への荷重負荷が増し、椎間関節の関節面の軟骨が変性し、関節周囲への力学的負荷によって骨が増殖し変形性変化が始まる。

 

骨棘の形成:

椎間板変性によって椎体上下縁の周辺にも負荷が加わり、骨棘が形成される。

 

変形性脊椎症:

このような増殖性の変化が生じているところには血管が増生しており、同時に新生してきた神経組織によって疼痛が認識され、有痛性の変形性変化となり変形性脊椎症と診断されるようになる。

 

骨棘形成部位と椎間板傍隆の影響:

この様な脊柱の変形性変化によって椎体後面に棘骨が形成、椎間板の後(+外側)への膨隆によって脊柱管は狭窄する。

 

黄色靭帯の問題:

更には、黄色靭帯(椎間関節の腹側を弾性線維に富む靭帯で、腰椎の前屈によって引き延ばされ、後屈によってたわむ)は、椎間板高が減少してくると(後屈しなくとも)たわんでしまい、脊柱管を狭くする。

また、横色靭帯は、加齢によって肥厚する場合もあり、そうなってくると更に脊柱管は狭窄してしまう。

 

 

体幹後屈のデメリットと黄色靭帯のたわみ

 

ここからは、前述した「脊柱管が狭窄する要素⑥:黄色靭帯」にフォーカスを当ててみる。

 

体幹の前屈や後屈には、それぞれメリットがある。

 

そして、脊柱管狭窄症における体幹後屈は、デメリットが作用すると思われる。

 

※メリット・デメリットに関しては以下を参照
⇒『腰椎の屈曲・伸展のメリット・デメリットを解説

 

そして更には、黄色靭帯が後屈によって与える影響が重要視されることがある。

 

つまりは、立位姿勢や歩行時における腰椎の(前彎方向への)湾曲変化によって、黄色靭帯の脊柱管な内へのたくりこみが強くなるため脊柱管は狭窄してしまうといった考えだ(座位や前屈姿勢によって腰椎の前湾が減少すると黄色靭帯の緊張が増して脊柱管が広がるために症状が軽減する)。

 

この点をイメージすると、Williamsの腰痛体操(あるいは、それに類似した理学療法)のメリットや、腰椎後屈のデメリットがイメージしやすいと思われる。

 

 

いつまでリハビリ(理学療法)を続ければ良いの?

 

脊柱管狭窄症の有病率は、加齢とともに増加すると言われている。

 

そして、高齢者であれば、継続的にこれらのリハビリ(理学療法)実施し、日常生活にも留意していけば良い場合もある。

 

一方で、若くして(50代や60代で診断された人)は、いつまでリハビリ(理学療法)を継続すれば良いのかと、先が見えず不安になることもある。

 

ケースバイケースなので、これらの結論をキッパリと断言することは出来ないが、まずは前述したような「脊柱管狭窄症が出現しにくい動作、姿勢、運動」を心がけることを徹底する。

 

そして、徹底することで症状が出現しなくなれば「機能回復」の段階として「脊柱管狭窄症にとって宜しくないはずの刺激(例えば腰椎後屈運動)なども身体反応に注意しながら入れていくことで、「以前と同様な身体機能にまで回復させていく」という試みを開始できる可能性は大いにある。

 

これは、「脊柱管狭窄症」という画像所見だけで考えると矛盾する考えだが、実際に出来る可能性は大いにある。

 

あるいは、神経症状の発症には何らかの神経周囲の炎症が関与すると考えられており、特に神経根障害の場合は症状が自然寛解することが多い。

 

 

脊柱管狭窄症と言う名のレッテル貼りはやめよう

 

この記事では、脊柱管狭窄症のリハビリ(理学療法)として「Williamsの腰痛体操」という何の面白みもない内容を記載してきた。

 

一方で、医師に診断された脊柱管狭窄症、あるいは私たち理学療法士が「腰部脊柱管狭窄診断サポートツール」などの所見で「脊柱管狭窄症っぽいな」と感じたものの中でには、これら脊柱管狭窄症の解剖・運動学では説明がつかないようなアプローチが好奏する場合がある。

 

例えば、脊柱管狭窄症に対して「腰椎に対するコンバーゲンス方向への分節的な刺激」によって、下肢症状も含めた症状が消失することがある。

 

※脊柱管狭窄症を運動学的に考えた場合はあり得ない選択肢のはずなのだが、「評価において、腰椎に対するコンバーゲンス方向への刺激が有用と判断される場合」があり、その場合には即自的効果が起こる。

 

※ただし、リスク管理も含めてコツがある(その辺りは、別記事でも紹介できればと思う)

 

※これ以上記載すると、ここまでの内容のちゃぶ台返しをするようなので割愛する。

あるいは、脊柱管の狭窄とは一見すると全関係のない部位への刺激に反応することもある。

 

その他のヒントとしては、脊柱の関節モビライゼーション(特に回旋手技)が有効な場合も多く、関節モビライゼーションを含めた「回旋方向へのメカニカルな刺激が及ぼす脊柱管狭窄症(という診断がついたもの)に対して有効だとする文献は散見され、個人的な臨床でも好奏することがある。

 

マッケンジー法と脊柱管狭窄症に関する文献としては、以下を掲載しておくので興味がある方は観覧してみてほしい。

⇒『腰部脊柱管狭窄症に対するマッケンジー法の効果の検討

 

高齢者で脊柱管狭窄症を有している人の中には、変形性脊椎症による構造的変化で腰椎の生理的前湾が消失している人もおり、そうなってくるとアライメント不良によって生じる筋筋膜性腰痛(筋スパズム、筋硬結、トリガーポイント)による症状も起こってくる。

 

それらに対しては、マイオセラピーの実施や、セルフエクササイズとしても活用できる腰部のストレッチングを(Williamsの腰痛体操のようなものを含めて)を指導するのも有効と言える。

 

不可逆的な構造的変化に伴う筋の過緊張を抑制するるために、脊柱起立筋がリラックスできるような座位姿勢(環境整備)を考えるのも一つの手段と言える(特に高齢者)。

 

あるいは、仙腸関節障害・下肢のアライメント調整による改善など様々な手段によって好奏する場合があるので、それらを勉強してみることもお勧めする。

 

 

脊柱管狭窄症のリハビリ(理学療法)関連記事

 

腰痛に関連する疾患の基本的な考え方をまとめた記事一覧が以下になる。

 

多面的なアプローチをする前提条件として、必要最低限必要な知識が掲載されている。

 

また、「疾患」としてだけでなく、腰痛全般に通じる治療のヒントも掲載しているので、通して観覧して頂ければ腰痛への理解が一層深まると思う。

 

奇をてらっていないので、理学療法士だけでなく、柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・整体師の方々にも(療法士の主義・主張に関係なく)取り入れやすい内容だと思うので、是非一読してみていただきたい。

 

※腰痛に悩んでいる一般の方々は、少し専門用語も交えて解説してあるので、動画も観ながらであれば(多少は)役立てて頂けるかもしれない。

 

急性腰痛(ぎっくり腰)の激痛対処法とは?

 

仙腸関節の痛みを治療しよう

 

椎間板ヘルニアの対処法