この記事では、リハビリ(理学療法)として認知度の高いタオルギャザーについて、方法・目的(効果)・筋活動など詳しく解説していく。

 

 

タオルギャザーの方法

 

タオルギャザーの方法は以下の通り。

 

①対象者は端坐位(椅子や台、車椅子に浅く座る)。

②床に広げたタオルの端に足部(片足or両足)を乗せる。

③踵を支点にして、床に広げたタオルを足指全体でたぐり寄せる(タオルギャザー)

※踵を床から浮かさない。

 

上記の一連動作を繰り返すことでタオルをたぐり寄せる。

 

※上手にたぐり寄せることができない場合も、20回程度(あるいは、足部に適度な疲労感が起こる程度)実施するという考えもある。

 

※上手にたぐり寄せることができる場合は、セット数を増やしていく。

 

タオルギャザー

~画像引用:転倒予防理学療法~

 

タオルギャザーの動画は以下となる。

 

 

 

タオルギャザーの目的(効果)

 

タオルギャザーの目的(効果)は以下などが挙げられる。

 

・足底感覚の機能維持・改善(固有受容器の機能維持・改善)

・足部筋群の筋力増強(足指把持機能の改善)

・足底部全体での協調した運動の獲得

 

上記により、静的・動的バランス能力の改善が期待できるとされている。

 

 

タオルギャザーで活動する筋群

 

タオルギャザーで活動する筋群は『足部内在筋』の他にも以下が挙げられ、足部の内側縦アーチを高くする能力も鍛えることができる。

 

  • 後脛骨筋
  • 長趾屈筋
  • 長母趾屈筋
  • 前脛骨筋

 

①長趾屈筋・長母趾屈筋を収縮させて、全足趾を屈曲させることでタオルをつかむ

※これによって、内側アーチが縮まる方向に力が入る

②タオルをつかんだままで、踵は付けたまま足関節を背屈する。

※これによって後脛骨筋と前脛骨筋が収縮して、内側アーチをさらに高くする。

③さらに指を伸展・外転させることでタオルを離す。

※これによって内在筋の一つである母趾外転筋の活動も起こる。

※母趾外転筋は外反母趾の予防に重要とされている。

 

これら筋活動の中で、特に後脛骨筋の収縮は重要となる。

 

後脛骨筋、長母趾屈筋と長趾屈筋は、歩行の立脚相を通して、回内に抵抗し回外を補助する潜在能力を持つ。

 

しかしながら、この3つの筋の中の後脛骨筋が最もこの機能を示す。

 

筋電図の研究では、後脛骨筋は他の多くの多くの回外筋よりも長く、立脚相の足底接地の直前から踵接地までの間、活動することが示されている。

 

足部全体が地面と接するにつれて、後脛骨筋は、回内中の後足部を減速し、低下する内側縦アーチの制御を徐々に補助する。

 

この遠心性活動を通して、後脛骨筋は荷重の衝撃のいくらかを吸収している。

 

立脚相に足部が過剰あるいは急速に回内する人では、後脛骨筋に過剰な制動(減速)のための負荷がかかり、これが下腿前面に圧迫関連痛や筋疲労、腱原性疾患の誘因となる(シンスプリントとして知られている)。

 

それは後脛骨筋の機能不全の結果か、過剰な回内による原因によるものかは明白ではない。

 

どちらかの概要で、後脛骨筋の低下した機能が重要な足部の衝撃吸収機能を制限する。

筋骨格系のキネシオロジー―カラー版

 

これら足部の機能不全は、運動連鎖として様々な症状へと波及してしまう可能性があるため着目することは重要である。

 

これら運動連鎖に関しては、以下の記事で言及しているので興味がある人は参考にしてみてほしい。

 

運動連鎖の魅力と限界

 

ニーインによる運動連鎖で起こること

 

 

タオルギャザーと関節モビライゼーションの併用

 

前述した「活動時の足部の動的アライメント・緩衝作用」にフォーカスした場合に、足部関節の副運動を評価し、必要に応じてモビライゼーションを併用することもある。

 

  • 距骨下関節モビライゼーション
  • 距舟関節モビライゼーション
  • 足根間関節モビライゼーション
  • 足根中足関節モビライゼーション

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・などなど。

 

※タオルギャザーを施行するためにも足部関節の可動性は重要であり、必要に応じてタオルギャザーの前処置として関節モビライゼーションを施行すしておくのも良い。

 

 

タオルギャザーと偏平足

 

ちなみにタオルギャザーは、『アーチを高くする能力』が鍛えられるため「偏平足(アーチが消失してペッタンコになった足部)を改善させる効果がある」と記載されている教本がある一方で、否定的な意見も多い。

 

否定的意見としては、例えば「偏平足(アーチが潰れている)というのは、非収縮性組織(靭帯など)がルーズであり重力に抗してアーチを維持できない」などがある。

 

つまり、タオルギャザーによって動的なアーチ形成(瞬発的なアーチ形成)あるいは活動時における足部への負担軽減(緩衝作用)は高まるかもしれないが、『偏平足(静的アライメント異常)』を考えた場合は意味をなさない(強いて言うなら、常にグッと力を入れてアーチを意識的に形成し続ける能力は高まるかもしれないが)という考えだ。

 

もしタオルギャザー(収縮性組織の強化)によって(収縮組織が弛緩した状態においても)アーチが形成されるのだとすれば、「(極論として)上腕二頭筋の筋トレをしたら静的立位姿勢においても肘が軽度屈曲したままになる」と言っていることと同じになる。

 

もしも偏平足を改善させたいと思うのであれば、「アーチ形成が可能なだけの足部の可動性獲得」+「アーチサポートなどで外部環境を整える」といった点も重要となる。

 

 

タオルギャザーの補足

 

念のため、タオルギャザーの補足をしておく。

 

補足①:タオルギャザーは裸足で実施

タオルギャザーの目的の一つに「固有受容器の機能維持・改善」がある。
従って、足底からの情報を確実にするために原則として裸足で実施する。

 

補足②:タオルギャザーは座位だけでなく、立位でも実施可能

 

補足③:タオルの先端に重錘を置くことで難易度をコントロール

タオルの先端に重錘を置くことで、段階的な難易度を設定することが可能となる。

 

 

一方で、タオルを水でぬらすと、タオルが足指で引っかけひっかけやすくなるので難易度が下がる(ただし、タオルが冷たくなって不快なので、病院・施設でのリハビリとしては活用されにくい)。

 

例えば、以下の動画2分くらいから「立位でのタオルギャザー」を実施しているが、タオルがフワフワしているので、対象者によっては「たぐり寄せても、タオルを離すと元に戻ってしまう」ということが起こる(タオルが濡れていると一度たぐり寄せたタオルが戻り難くなる)。

 

 

※ちなみに、タオルギャザーの基本は裸足である。

 

※必ずしも「タオルをたぐり寄せることが出来なくとも、狙っている筋活動が起これば良い」といった考えもあるかもしれないが、たぐり寄せれないとモチベーションがグッと下がったりする。

 

※(病院・施設でのリハビリとしては一般的でないが)健常者の健康増進としてタオルギャザーを用いるのであれば、「片脚立位を保持しながらのタオルギャザー」といった方法もある。

 

 

タオルギャザーでの臨床活用頻度

 

タオルギャザーは術後の免荷期間において、『本来有している足底機能を可能な限り維持する』という目的で、他のエクササイズと併用されることも多い。

 

一方で、地味であり、即自的効果は少なく、タオルギャザー単独による効果も(長期的な視点で見た場合も)不透明な点が多いので、維持期のリハビリとしては使いにくかったりもする。

 

ただし、リハビリ(理学療法)としてはメジャーなエクササイズであり、理屈上も様々な機能を活性化できる可能性があるので覚えておいても損は無いと思われる。

また、タオルギャザーは『DYJOC(動的関節制動訓練)』の一つにも該当するため、DYJOCの目的や効果を理解しておくことは有意義となる。

 

DYJOCは高齢者のバランス練習にも効果あり?

 

 

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