この記事では帯状疱疹(たいじょうほうしん)を解説していく。

 

また、記事の後半では『帯状疱疹に対してリハビリ(理学療法・作業療法)で出来ること』と題して、実施可能な事を記載している。

 

なので、リハビリ(理学療法・作業療法)職種で帯状疱疹について知りたい方は、是非読み進めてみてほしい。

 

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帯状疱疹(帯状ヘルペス)とは

 

帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、帯状ヘルペスとも呼ばれ、以下を指す。

 

水痘(すいとう)に感染した際の水痘・帯状庖疹ウイルスが潜伏し続け、免疫力の低下に伴い再活性化して起こる疾患。

 

 

水痘(みずぼうそう)とは

 

帯状疱疹(帯状ヘルペス)を解説する前に、まずは水痘症について記載していく。

 

『水痘・帯状萢疹ウイルス( varicella-zoster virus : VZV)』とは「ヒトに水痘および帯状庖疹を起こすウイルス」のことなのだが、

 

 

水痘とは、この『水痘ウイルス』の感染によって生じる急性発疹性疾患であり『みずぼうそう』とも呼ばれる。

 

 

潜伏期は2~3週と言われており、水痘ウィルスに感染しても、この間は無症状という事になる。

 

でもって、2~3週間後に発症する水痘(みずぼうそう)の症状は以下の通り。

・発熱

・発疹

※帯状疱疹のような『激痛』は生じない

 

 

症状は1週間程度で消失するケースが多いとされるが、以下の場合は重症化しやすいも言われている。

・成人になってからの感染

・もともと免疫力が低下している人の感染(例えば白血病など)

・妊婦の感染

 

※重症化によって100万人に20人が死亡するとされている。
<水痘ワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版)厚生労働省>

 

 

症状が消失した後も、水痘・帯状疱疹ウィルスは体内(脊髄神経節)に潜伏し続ける。

※ウィルスが消失するわけではない。

 

でもって、何らかの理由で脊髄神経節に潜伏していたウィルスが再活性化した際の病像が『帯状疱疹(たいじょうほうしん』である。

 

 

水痘(水ぼうそう)の予防

 

先ほど、「水痘の症状は1週間程度で消失する」と述べた一方で重症化するケースも存在する点を挙げた。

 

でもって、一番良いのは発症しないこと(あるいは発症しても軽症で済むようにすること)であり、そのためにも予防接種しておくことは大切となる。

 

水痘(水ぼうそう)はワクチンによって予防でき、摂取した人の90%以上はウィルスによる免疫が出来ると言われている。

 

また、より確実に強い免疫を得るために、定期接種では2回接種が導入されている。

 

 

帯状疱疹の原因・症状・後遺症

 

ここから先は、帯状疱疹に関して、原因・症状・後遺症について記載していく。

 

帯状疱疹の原因

 

前述したように、帯状疱疹は「水痘・帯状疱疹ウィルス」に感染することで起こる。

 

そして、(前述したように)もっと厳密に言えば「水痘(水ぼうそう)が発症し、治癒した後も脊髄神経節に潜伏したウィルスが、何らかの理由によって再活性化したもの」が帯状疱疹である。

 

「何らかの理由」としては以下が挙げられる。

 

  • 加齢による免疫力低下
  • 疾患による免疫力低下
  • ストレスによる免疫力低下

 

 

いずれにしてもポイントは「免疫力の低下」のようだ。

高齢者は加齢による免疫力低下に加え、何らかの(免疫力を低下させるような)疾患を有しても不思議ではないし、運動不足・社会参加の減少(閉じこもり)・将来の不安などなどで抑うつ傾向になり易く(=ストレス反応が起こり易く)免疫力も低下しやすいと言える。

 

ただし、若年者と比べ上記の「免疫力低下」は緩徐に進行していくため、(重篤な病気を患ったとか、突然身内が亡くなったなどの)受傷機転が不明であることも多い。

 

帯状疱疹が発症した後に話を聞いていみても、「特に思い当たる節が無い」といったケースが高齢者には多い。

 

 

帯状疱疹の症状

 

帯状疱疹の症状としては以下が挙げられる。

 

  • 片側の神経痛様疼痛(末梢神経の走行に沿った痛み)
  • 浮腫性紅斑
  • 水庖・びらん・潰瘍の形成

 

水痘(水ぼうそう)の症状が「発熱・発疹」であったのに対して、同じウィルスが原因でも症状が異なっているのが分かる。

 

特に「神経痛様疼痛」は非常に激しい痛みを伴う事があり、辛いらしい。

 

ちなみに、神経痛用疼痛とは以下の様な症状を指す。

 

  • 耐え難い痛み
  • ピリピリする様な痛み
  • 焼ける様な痛み
  • 針で刺される様な痛み
  • 締めつけられる様な痛みなど

 

これらは、神経障害性疼痛とも呼ばれ、詳しくは以下も参照してもらいたい。

⇒『(HP)原因による痛みの分類

 

 

帯状疱疹の症状は1週間程度で軽快し、2~3週間で治癒すると言われているが、高齢者で神経痛が長引くこともある。

 

でもって、神経痛などの症状がが長期に渡って残存し続けてしまう事を『帯状疱疹後神経痛』と呼ぶことがある。

 

 

帯状疱疹後神経痛とは

 

帯状疱疹後神経痛とは以下を指す。

 

帯状庖疹罹患後、皮膚症状の治癒後も残る、罹患神経支配領域(デルマトーム)の慢性疼痛
(ヘルペス後神経痛)。

 

 

これは、潜伏していた「水痘・帯状疱疹ウィルス」が、何らかの理由によって再活性化した際に、このウィルスによって末梢神経がかなりのダメージを受け、神経が変性した結果起こると考えられている(あくまで仮説)。

 

 

従って帯状疱疹は、早期診断と早期治療が重要と言われている。

 

早期診断ができれば、帯状疱疹の増殖を抑える「抗ウィルス薬」が幾つも存在するので、それを服用すれば(服用しないよりも)早期に治癒が可能だし、帯状疱疹後神経痛も生じにくい。

 

※「帯状疱疹ウィルスの増殖⇒末梢神経にダメージ⇒神経の変性」が後遺症の原因だとするならば、早い段階で「抗ウィルス薬」を服用するというのは理にかなっている。

 

 

また、治療の基本は「抗ウィルス薬」であるのだが、対処療法として非ステロイド系抗炎症薬を処方したり、症例によっては神経ブロック療法を行ったりする。

 

この様な対処療法も併用する理由は、痛みの悪循環が起こらないようにするためである。

 

また、痛みの悪循環の予防・改善を目的に抗不安薬が処方されることもある。

 

 

帯状疱疹を早期発見するには?

 

若年者であれば、「受傷機転の無い急な疼痛」などで早期発見しやすい一方で、高齢者は早期発見が遅れてしまう場合がある。

 

例えば、高齢者の中には、日ごろから様々な不定愁訴、疼痛に悩まされている人もいる。

でもって、その様な高齢者に対して医師は「とりあえず経過観察してみよう(それでも症状が治まらなかったり悪化したら考えよう)」と判断してしまうケースもある。

 

※かかりつけ医師など、普段からその人と多く対面している医師であるほどに「その人のパーソナリティも加味して判断してしまうケース」もあったりする。

 

ただし、その症状が帯状疱疹によるものだとするならば、経過観察の間に「帯状疱疹ウィルスの増殖⇒末梢神経にダメージ⇒神経の変性」が起こり、帯状疱疹後後遺症に繋がる可能性もあったりする。

 

では、そのような誤審を可能な限り予防するには如何すれば良いのだろうか?

 

こればっかりは確実な解決策はないのだが、診断における着眼点を「痛み」ではなく「皮膚」とするのは一つの案として良いのではないだろうか?

 

高齢者の疼痛をベースにすると(よっぽど普段とは異なる痛がり方をしない限り、受傷機転なく疼痛が起こったり、痛みが移動することもよくあるので)誤審に繋がり易いが、皮膚に着目すると帯状疱疹による「発疹」が生じていることから、早期に帯状疱疹と診断できる可能性がある。

 

※っとはいっても、皮膚の発疹などの皮膚疾患を既に有している高齢者も多いので何とも言えないが。

 

皮膚を基準に考えるのであれば、受診は皮膚科が良いかもしれないが、内科・ペインクリニックなどでも帯状疱疹には十分対応してもらえるはずである。

 

正しい診断を補助するためにも、自身が帯状疱疹かな?と思ったら「普段とは異なると疼痛(神経様性疼痛)」+「皮膚に異常」を伝えると、医師も症状を帯状疱疹と結びつけやすく適切な処置をしてくれる可能性が高い。

 

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個人的な帯状疱疹に関するエピソード

 

実は「帯状疱疹を発症し、診断が遅れて適切な処置が受けれず、帯状疱疹後遺症が起こってしまったと嘆く高齢者」が通所リハビリを利用している。

 

でもって、以下の様におっしゃっていた。

 

「もっと早くに診断してもらえば後遺症は起こらないと聞いていたし(絶対後遺症が起こらないとは限らないのだが)、その医師とは長年の付き合い(主治医)だったが、それをきっかけに関係を断った」

 

この方は90歳代で畑仕事も可能な元気な高齢者なのだが、不定愁訴(めまい、突然の腓腹筋痙攣、浮腫、関節痛、筋肉痛などなど)を訴える方で、主治医が数日間経過観察をして様子を見ようと思ったとしても不思議はないと感じてしまった。

 

が、この方も帯状疱疹を発症した後に当分の間苦しみ、通所リハビリもお休みしていたので、早期発見・早期治療が出来ていたらと悔やまれる。

 

ただ「悔やまれる」とは言っても、現在も「あの医者のせいで後遺症が残ってしまった」と恨み節を言いながらも畑仕事をしたり、通所リハビリには通えているので、この調子で100歳まで長生きしてほしい(何だそりゃ)。

 

 

帯状疱疹後神経痛にリハビリ(理学療法・作業療法)で出来ること

 

帯状疱疹後神経痛に関してリハビリ(理学療法・作業療法)で出来ることとしては、二次的障害を可能な限り予防することである。

 

先ほどの「帯状疱疹後後遺症とは」でも述べたように、治療として「抗ウィルス薬」以外の薬剤(鎮痛薬など)が用いられることもあり、これは痛みの悪循環によって生じる二次的障害(筋スパズムによって生じる疼痛など)を可能な限り予防する役割がある。

 

要は「本人が帯状疱疹後神経痛だと思っている症状」には、二次的障害も混在している可能性が高いので、それを除去してあげることは可能である。

 

⇒『持続的な筋収縮と交感神経作用による痛みの悪循環

 

 

また、痛みにより活動性が低下してくると生活不活発病につながり、それが「不動による痛み」として、更に疼痛を増悪させてしまう(それが更なる生活不活発につながり、高齢者であれば容易に寝たきりに繋がる)。

 

⇒『生活不活発病って何?廃用症候群と違うの? 徹底解説します!

 

 

なので、リハビリ(理学療法・作業療法)としては、痛みを我慢するような内容は控えつつも、前述した点に留意した徒手療法・運動療法・日常生活指導を行っていくと同時に、帯状疱疹後神経痛とも上手く付き合っていけるような対応も大切となってくる。

 

⇒『(HP)認知行動療法とは?痛みに対するリハビリ(理学療法・作業療法)への応用

 

 

辛い痛みは他にもあるよ

 

帯状疱疹の様に治療に難渋する疾患は他にもあり、例えば以下などが該当する。

 

これらも合わせて観覧すれば痛みに関してもう少し深く理解きるようになるかもしれない。

 

線維筋痛症とは?個人的な体験も含めてブログで解説!(エビデンス含む)

 

CRPS(複合性局所疼痛症候群)とは?(RDS・カウザルギーとの違いは?)