3月2日に、ようやく「徒手理学療法」の認定理学療法士試験が終わりました。
勉強を長期間していなかったことへの焦りから、直前に超集中力を発揮できたことが奏功したようです。
お陰様で、共通・認定試験ともにバッチリ問題を解くことが出来きました。
間違いなく合格水準に達していると思われます。
でもって、無事に認定理学療法士試験が終わったことですし、
備忘録という意味も含めて「徒手理学療法の資料」におけるポイント部分をまとめていきたいと思います。
※ちなみに、「徒手理学療法の問題」で参考になるだけで、臨床には参考にならない内容も多々含まれているのでご了承ください。
※あくまで「徒手理学療法の認定試験の問題を解くのに役立ちそう」ってだけです。
目次
「安静肢位」と「しまりの肢位」
「安静の肢位」と「しまりの肢位」については覚えましょう。
覚えるのが大変だったら、まずは四肢だけでも良いので。
あと、最初は大まかで良いから覚えましょう。
例えば腕尺関節は
「安静の肢位=70°屈曲、10°回外位」「しまりの肢位=伸展位」らしい。
ただ、まずは
「安静の肢位=70°屈曲位」「しまりの肢位=伸展位」みたいな。
10°回外なんて、文献によって異なります。
もっと言うなら70°っていうのも学派・文献によって異なるので、まずは「ある程度の屈曲位が安静の肢位なんだ」からスタートしても良いと思います。
でもって、ザックリと四肢が網羅できて余裕が出てくれば、もう少し細かく覚えたり、脊柱に関して覚えたりすればよいと思います。
ポイントは、「安静の肢位」と「しまりの肢位」は真逆なケースが多いって事。
なので「安静の肢位は屈曲位or伸展位のどっちか?」みたいな感じで
まずはザックリと覚えておいたら、○×問題には答えれるのではないかと。
※もちろん、余裕があれば完璧に覚えるに越したことはありません。
※ただ、肩甲上腕関節・股関節はちゃんと覚えましょう。
各関節の凹凸の形状
各関節の凹凸の形状は覚えましょう。
とくに胸鎖関節や母指手根中手関節は鞍関節なので、運動方向によって凹凸が逆になるので注意します。
腕尺関節も1軸関節かと思っていましたが「内外転」って記載があって、凹凸が逆になっています(ただ、マイナーだからでテストには出るのかな。。)
あと、仙腸関節も凹凸の記載がりますが、これも文献によってまちまちです。
マチマチなものは、一応記載があっても、あまり出題はされないのかなと思ます。
あと、距骨下関節も(臨床では大切な部位ですが、凹凸とかは)マイナーな気がします。
※あくまで個人的な意見。余裕があって覚えるなら良いとして、覚える優先順位としては低いと思います。
例えば、(私はマイナーだと思ったんですが)腕橈関節・(近位・遠位の)脛腓骨関節のどちらが凹・凸かは確認しておいたほうが良いですよ。
各関節の形状については以下の記事でまとめています。
⇒『各関節における凹凸の形状(一覧表):認定徒手理学療法資料参考』
補足として、CPPとLPPの一覧は以下を参照。
⇒『「しまりの肢位(CPP)」と「安静肢位(LPP)」を解説(徒手理学療法部門の内容)』
関節モビライゼーション
関節モビライゼーションに関しては以下は最低限覚えましょう。
- 関節の遊び7段階
- 関節モビライゼーション三つの禁忌
- どんな治療を目的に、どのグレードを用いてモビライゼーションをするのか
- 間欠的な関節モビライゼーションはⅠないしⅡまで緩める(完全に緩めない)
- 間欠的+持続的なモビライゼーションの特徴(時間など)
- マリガンコンセプトは関節に対するアプローチです(筋・筋膜に対するアプローチかと聞かれた場合は×です)。
coupled movement(組み合わせ運動について)
脊柱のcoupled movementには、各学派で一致しているものと、そうでないもの(で尚且つ個別性が高いもの)に分かれます。
一致しているものは以下のとおり。
- 上部頚椎→側屈には反対側の回旋を伴う
- 中部頚椎→側屈には同側の回旋を伴う
腰椎・胸椎・頸胸移行部のcoupled movementは文献によって異なりますが、
余裕があったら覚えましょう。
一方で、以下は徒手療法ではなくとも認知されている事実なので覚えましょう。
- 脊柱の屈曲で脊柱管・椎間孔は狭まる。
- 脊柱の伸展で脊柱管・椎間孔は拡大する。
あとは、椎間孔が一番狭まるのは、伸展+同側側屈です。
※例えば左椎間孔が一番狭まるのは、伸展+左側屈です。
筋筋膜に関して
筋筋膜に関しては、いろいろ覚えておいたほうが良いですが、
とっかかりは以下の2点かなぁと思います。
- ダッシュポット理論に関して、弾性線維はエラスチン・コラーゲンのどちらか。
- 筋膜の機能4つを覚える(別の要素が一つ混じって出題される可能性あり)。
筋膜に関しては、ガッツリ学ぼうとする人と、少し距離を置く人がいると思います。
ただ、いずれの人にも興味深いことが記載されているので、余裕があれば覚えましょう。
ストレッチングに関して
ストレッチングについては、色々とポイントがあるので覚え甲斐がありそうです。
拘縮の責任病巣
柔軟性を低下させる関節周囲軟部組織の因子とその割合は関節包47%、筋・筋膜41%、腱10%、皮膚%が制限因子になっています。
ただ、このパーセンテージは文献によってマチマチです。
不動期間終了後ならびに関節周囲の皮膚の切除膝関節屈筋群・伸筋群の切除,靭帯の切除関節包の切除といった各実験処置後に膝関節伸展を行い,そのトルク値を計測している。
そして,計測された全トルク値を拘縮の程度と定義し,各組織の関与率を求めると骨格筋が43%と最も高く,次いで関節包が30%,皮膚が19%,靭帯が8%であり,関節の不動による拘縮の主な責任病巣は,骨格筋と関節包にあるのではないかと論じている。
・・中略・・いずれも拘縮の責任病巣の中心は骨格筋にあることが示されている。
~『関節可動域制限―病態の理解と治療の考え方』より引用~
なので覚える優先順位は低いかなと。
ただ、拘縮の主な責任病巣は、「骨格筋と関節包じゃない?」ってのは一致しているので、どこかのパーセンテージが明らかにおかしければ×って感じで、とりあえず覚えておきましょう。
※余談ですが、ストレッチングをすると筋筋膜のみならず関節包や腱・皮膚も伸張されることになります。
その他、ストレッチングの色々
ストレッチング項目のポイントは色々ありますが、例えば以下などが挙げられます。
- 伸張性の増加は、感覚認知の変化、あるいは強い負荷に耐えようとする心理的変化も影響。なので最近は、これらの要素を除外して伸張性の改善を検証するやり方が主流。
- ストレッチングの後は拮抗筋を収縮させる(例:ハムストリングスのストレッチング後は大腿四頭筋を得られた可動域内で刺激するのもポイント。なぜかも理解しておく)。
- 最も効果的なのは60秒間を反復するストレッチ。
- 1回のストレッチングによる効果は一週間持続しない(じゃあ効果を持続させるのにはどうすれば良いかの整理も大切)。
上位頚椎に関して
上位頚椎に関しては、以下の点を整理しておきましょう。
- セキュリティーテスト・めまいの鑑別の整理。
- 上位頚椎の不安定を生じる要因を整理。
- 「椎骨動脈の血流」は右回旋で右20%減・左75%減
↓
%は覚えなくて良いと思うが、要するに「回旋側とは反対の椎骨動脈が狭窄されやすい」くらいは覚えておく。
痛みについて
各疼痛の特徴
「侵害受容器」「末梢神経由来」「中枢神経系の障害由来」な疼痛の特徴は以下の通り。
侵害受容器
・限局した部位の痛み
・刺激入力に対する反応が予想通り
末梢神経由来
・シャープで電気が走るような、刺すような
・異痛、知覚、感覚異常
中枢神経系の障害
・広範で神経の分布などと一致しない
・刺激や検査に対する反応に一貫性が無い
「侵害受容性疼痛」や「神経障害性疼痛」を整理したい人は以下の記事もどうぞ。
中枢障害による異常感覚の特徴
中枢障害による異常感覚の特徴は以下の通り。
- 異常感覚が広範に広がる
- 解剖学的な分布に一致しない
- 症状の変化に明確な理由が無い
- 刺激に対する反応に一貫性が無い
- 抗炎症剤の反応が乏しい
この「中枢性障害」に関する考えは大切で、以下の記事でも深堀解説しています。
「痛みの頻度・強さ」に関する解釈
「痛みの頻度・強さの変化」に関する解釈は以下の通り。
- 観血的な痛み
機械的ストレスによって自由神経終末が刺激されて生じる痛み
- コンスタントでも痛みの強さが変化するもの
化学物質による炎症によるもの
炎症中、または20日以内の外傷など
- コンスタントで痛みの強さに変化が無いもの
予後が悪い
これら解釈の参考になる指標として「Severity」や「Irritability」などがあります。
Severity 「症状の程度・強さ」の指標。 「検査などで用いる動作」で生じる症状の強さ。
|
Irritability 「症状の重篤度、過敏性、興奮性」の指標。 一度生じた症状が緩解するまでに要する時間。これが強いと、患者は全ての検査の実施に耐えられない。 |
Irritabilityに関しては、以下の記事で深堀り解説しているので、上記だけでピンとこなかった方は参考にしてみて下さい。
その他(認定理学療法士とは関係ない情報ですが)、「脊柱に関する」評価・治療・予後の参考になりそうな概念としては以下があります。
⇒『脊柱原性の疼痛リハビリで知っておきたい「Centralization)」と「(Peripheralization」の概念を解説』
興味がある方は息抜き程度にチェックしてみて下さい。
レッドフラッグなど
レッドフラッグは超有名。
でイエローフラッグは心理的な問題全般を指していて、これも有名。
ただ、ブルーフラッグとブラックフラッグは知らない人も多く、どっちがどっちか分からない場合も多いです。
で、分からなくても臨床で困らない(こういうのが痛みに影響を及ぼしているってザックリ知っている程度でOK)
ただ試験問題としては、ブルーとブラックの意味がどっちだったかは覚えておいたほうが良いと思います。
⇒生命にかかわるような身体的問題
Yellow Flag
⇒心理的な問題全般(被害者意識。嫁姑問題など心理的ストレス全般)
Blue Flag
⇒業務的な問題や制限(自分の頑張りが、職場で報われないことへのストレス)
Black Flag
⇒制度的な要因(むち打ちが治ってしまうと、保険がおりない)
上記は「認定徒手理学療法の資料」に掲載しているもの。
ただ、文献によって若干違う部分もあったりします(特に、ブルーフラッグ・ブラックフラックはイエローフラッグに含めたうえでザックリ理解するだけで事足りるので)。
混乱するかもですが、余裕のある方は以下の記事も解説しています。
⇒『イエローフラッグ/ブルーフラッグ/ブラックフラッグ |痛みの心理社会的要素』
一方でレッドフラッグは、理学療法士が必要最低限有しておきたい知識です。
主観的評価と客観的評価
徒手理学療法における主観的評価と客観的評価の種類を覚えましょう。
っとは言っても「主観的評価」は覚えなくても(選択肢を示されれば)何となく分かると思います。
一方で、客観的評価で示されている項目は(主観的評価に比べて)覚えておく価値はありそうです。
- 視診・姿勢観察
- 自動運動・他動運動テスト
- 筋肉のテスト
- 神経学的テスト
- 機能テスト
- 触診
- 関節運動テスト
上記で、たとえば「客観的評価は○と○と○と○と・・がある」みたいな問題で、「視診・姿勢観察」だけ抜けている場合は誤り って感じ。
視診・姿勢観察は「客観的評価だ」って記載されていたら当たり前に感じるかもしれませんが、他と異なり「ハンズオフな評価」なのでパッと出題されたときに(視診・姿勢評価が無くても)誤りだと気付かない可能性があります。
この順序はマニュアル的で賛否あるとは思いますが王道的な考えで、姉妹サイト『筋骨格系理学療法の世界』でも同じ流れで作成しています(知識整理したい方はどうぞ)。
⇒『姉妹サイト:筋骨格系理学療法の世界⇒評価・治療の一般的な流れ』
終わりに
この記事では「暗記したほうが良いのでは」と思うものを中心に記載していきました。
でもってこれ以外にも重要そうなものは沢山ありますが、
「明らかに違うだろう」的な内容も多いので、
ここで記載してきた「暗記もの」よりも「理解できていること」のほうが点が取りやすいと思います。
例えば、以下などは何となく答えれるかなと。。
予後が良いのは以下のうちどれ?
- 痛みが間欠的
- 夜間痛
- 朝のこわばり・炎症が続く
- どの方向に動かしても痛む
上記は少し当たり前すぎますが、要するに
内容を読み込んで理解出来たてれば、丸覚えしなくとも点が取れる
ってのが多かった気がします。