痛みとは、身体の組織損傷による不快な感覚的・情動的な経験である。他の刺激は繰り返せば慣れが生じる。しかし、痛みだけは、反復によって、むしろ増幅される。したがって、痛みを経験した者は、痛みの予感を恐れる ...
NMDA受容体は脊髄後角に存在する受容体で、この受容体が活性化することで「痛み刺激によるワインドアップや長期増強」といった中枢感作が起こってしまう、痛みにおいて重要な要素である。詳しくはこちら⇒『ブロ ...
私たちにの身体には(良くも悪くも)「可塑性」が備わっている。この記事では、そんな「可塑性」「可塑的変化」について、疼痛にフォーカスを当てて記載している。可塑性とは可塑性という言葉はもともと物理学の用語 ...
先日、訪問リハビリ先のTVで、腰痛の体操教室が10分程度の特集として放送されていた。番組では皆が腰を反らす体操をしており、最初はマッケンジー法かな?と思いながら利用者さんと続きを観ていたのだが、どうや ...
1969年、ノルウェーのテリエ・レモは、『長期増強』と呼ばれる現象を発見して注目を集めた。長期増強とはシナプスにおいて、「神経伝達物質を放出する側の神経」を刺激すると、「神経伝達物質を受け取る側の神経 ...
脳内の信号送信の約80%を担うのは2種類の神経伝達物質、グルタミン酸とγアミノ酪酸(GABA)で、それらはお互いにバランスをとり合っている。グルタミン酸はニューロンの活動を活発にして信号の連鎖的反応を ...
この記事では、エンドルフィンについて、有酸素運動(ランニング)によって生じるランナーズハイと絡めながら解説していく。ランナーズハイとエンドルフィン1970年代にアメリカではランニングブームが巻き起こり ...
この記事では、「最強の痛み止め」であるオピオイド系鎮痛薬について記載していく。ちなみに『オピオイド』とは、アヘンを意味する英語の「オピウム(opium)」の類縁物質を表す言葉である。※アヘン(阿片)と ...
世の中には様々な鎮痛薬が存在するが、「抗うつ薬」「抗不安薬」も鎮痛薬として処方されることがある。なぜ精神的な問題に効果があるとされている薬剤が、痛みの治療として用いられるのだろうか?今回は、そんな抗う ...
この記事では、日本でも鎮痛薬として処方されることの多いNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)について記載していく。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)とはNSAIDsは鎮痛薬としては最も一般的で、特 ...
この記事では、ステロイド薬(ステロイド性抗炎症薬)について記載してく。ステロイドとはステロイドとは、本来は、ステロイド環と呼ばれる化学構造を持った物質の総称である。このうち、ホルモンとしての作用を持っ ...
この記事では、『アドレナリン受容体』に関して解説していく。アドレナリン受容体の種類アドレナリン受容体とは、漠然と「カテコールアミンが作用する受容体」という意味として用いられる。つまり、アドレナリンのみ ...
今回は、心身のリラクゼーション効果が期待される自律訓練法について記載する。自律訓練法は「抑うつ傾向」「不安・パニック障害」といった精神疾患に対して用いることが多い。また、「精神疾患」とまではいかなくと ...
古くから、情動は痛みの知覚に対して変調させることが臨床上指摘されてきた。例えば、崖から転落して数十か所の複雑骨折をしたが、まずは身の安全を優先するために、中脳水道周囲灰白質の活動を高め、痛みを知覚させ ...
扁桃体と前頭前野の結びつきには個人差がある。この事実からうかがえるのは、不安に強い人は前頭前野の抑制中枢を活性化し、抑制のメッセージを迅速かつ効率的に扁桃体に送ることで、不安反応をうまく沈めているとい ...
感情のコントロールを人がどれだけ上手く行えるか調べる、次のような実験がある。脳のスキャナーに横になった被験者に、爆発で重傷を負った人の体や切断されて血まみれになった腕など、衝撃的な映像を見せる。その際 ...
恐怖の回路の解剖学的理解からも、病的なレベルの不安を治療する新しい方法が考えられる。それは、扁桃体や恐怖そのものに焦点を合わせるのではなく、扁桃体を鎮める役割を持つ大脳皮質の中枢に働きかける方法である ...
この記事では、リハビリ(理学療法)を提供するうえで重要な『行動変容』について、各ステージごとで療法士が大切にすべきポイントも踏まえて知識を整理していこうと思う。ちなみに、行動変容のステージは以下の5つ ...
この記事では認知行動療法(オペラント行動療法・認知療法)をについて解説していく。オペラント行動療法認知行動療法は認知療法と行動療法が統合され、発展した心理療法のことである。行動療法は1950年代に、そ ...
以前の投稿で、中脳中心灰白質(PAG:periaqueductalgrey)は下降性疼痛抑制系の要であり、鎮痛に寄与する部位であることを記載した。そして、PAGからの出力先としては、下記の2つに分かれ ...
吻側延髄腹内側部(RVM)には大縫線核(NRM)、巨大細胞網様核(NRGC)、傍巨大細胞網様核(NRPG)ががある。大縫線核はセロトニン神経B3であり、中立細胞・オン細胞・オフ細胞の3種類のニューロン ...
青斑核(LC)は橋網様体に左右一対ある、ノルアドレナリンを含有する最大の細胞群である。青斑核は意識水準の維持、覚醒のコントロール、脊髄への投射を介した下降性の疼痛抑制に関与している。ノルアドレナリン神 ...
慢性痛を訴える患者の一定割合は抑うつ傾向を有していると言われている。これは、慢性痛により行動の制限や、社会への参加が著しく制約されていることが一因とされている。痛みが長期化することによる抑うつや不安感 ...
慢性痛をもつ患者は、しばしばうつ的である(Brown1990.Kerns&Haythornthwaite1988.Rudyetal1988)。Mersky(1999)は、痛みを持つ患者におけるうつ病の ...
ワシントン大学の心理学者であるウィルバート・フォーダイス(WilbertBillEvansFordyce)は、客観的に観察される慢性痛患者の痛みに伴う行動を『痛み行動(painbehavior)』と名 ...
脳科学では、実際に脳の中身をみる装置を使って、脳が働いているところを観察・比較する。そして例えば、男女でどの程度違うのかを調べたりも出来る。でもって、脳の中身をみる装置として現在よくつかわれているのが ...
別記事『負の情動は生きていく上で必須だが、慢性的な痛みにも関与してしまう』では、「慢性痛になってくると、痛みが感覚という側面よりも、情動という側面に支配されてしまうケースもあり得る」ということを紹介し ...
別記事『痛みは生きていくうえで必須なものである』では、「先天性無痛症は一次侵害受容ニューロン自体が存在しないため、痛みを全く感じることが出来ないとい」というエピソードを紹介した。そして、上記の記事では ...
皮膚の小さな部位が切れたり、やけどしたりして傷つくと、下記のような反応が僅かな時間差とともに生じる。①発赤:損傷部位とその周辺の血管が強く拡張して皮膚が赤くなる②腫脹:損傷部位とその周辺が腫れる③フレ ...
侵害刺激は視床を経由して、一次体性感覚野と帯状回に送られる。一次体性感覚野は二次体性感覚野に情報を伝達し痛みの感覚を発生させる。一方、二次体性感覚野は島皮質に情報を伝達し、帯状回と島皮質が関係すること ...
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