この記事では、脊髄小脳変性症について解説している。

 

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脊髄小脳変性症とは

 

『脊髄小脳変性症(pinocerebellar degeneration ; SCD)とは、以下を指す。

 

運動失調を主症状とする原因不明の変性疾患の総称。

臨床的特徴としては、緩徐な進行性で家族性に発現することもあり、運動失調に加え錐体路症候、錐体外路症候、自律神経症状、末梢神経症状を呈する場合もある。

~厚生省特定疾患・脊髄小脳変性症調査研究班の定義より~

 

脊髄小脳変性症とは、文字通り脊髄や小脳が変性していく進行性疾患である。

 

もっと目立つのは小脳の機能低下による小脳運動失調で、運動コントロールが難しくなる(協調性障害・姿勢保持障害などが起こる)。

 

それに加え、自律神経症状、錐体路症状、錐体外路症状(パーキンソニズム)、脳神経症状、深部感覚障害などを合併することがある。

 

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1リットルの涙!! 実話をベースにした超有名なオススメドラマ

 

脊髄小脳変性症を初めて知ったのは、沢尻エリカの作品である。

 

「別に」で有名な彼女だが、このドラマは実話をもとにしており、沢尻の演技も絶妙である。

 

※かなりの高評価を獲得している(画像が無かったのでレンタル落ちにリンクを貼っているが、通常版も販売されている)。

 

 

脊髄小脳変性症の「進行性」という点を理解する上で参考になるが、純粋に作品として心残る名作で、個人的にもオススメドラマである。

 

 

脊髄小脳変性症の分類

 

脊髄小脳変性症は、疾患分類、重症度分類によって症状、進行過程、二次的合併症、予後が異なる。

 

なので、各分類における特徴を把握することが大切となる。

 

脊髄症の変性症には「遺伝性」と「孤発性」がある。

でもって、日本では約3万人の患者がいるとされているが、その中で孤発性が2/3を占ると言われている。

 

そんな『孤発性』の脊髄小脳変性症は更に以下の2つに分類される。

多系統萎縮症(multiple system atrophy :MSA)

皮質性小脳萎縮症(cortical cerebellar atrophy :CCA)

 

※MSAは孤発性のなかでも2/3を占めていると言われている。

 

分類 病型 発症 罹病期間
孤発

多系統萎縮症(MSA)

皮質性小脳萎縮症(CCA)

50歳代

50歳代

10年程度

15~20年程度

遺伝性

(常染色体優性)

SCA1

SCA2

マシャドジョセフ病(SCA3)

SCA6

SCA7

SCA8

歯状赤核淡蒼球ルイ体萎縮症

(DRPLA)

30歳代

20~30歳代

30歳代

40~50歳代

20~30歳代

20~60歳代

8~20歳代

40~60歳代

15年程度

10年程度

10年程度

数十年

20年程度

数十年

10年程度

10年程度

 

 

多系統萎縮症(MSA)について

 

多系統萎縮症(MSA)以下の2種類がある。

・小脳性運動失調を主体とする『MSA-C

・パーキンソニズムを主体とする『MSA-P

 

でもって、わが国ではMSA-Cの方が多く、2/3以上を占めていると言われている。

 

MSAは上記の「失調症状」「錐体外路症状(のパーキンソニズム)」や、自律神経症状を認める。

 

また、その他として不随意運動や、認知機能低下など多彩な症状を呈する。

 

 

脊髄小脳変性症の症状

 

脊髄小脳変性症の症状としては以下などがみられる。

  • 小脳性運動失調
  • 錐体外路症状
  • 錐体路症状
  • 自律神経障害
  • 脊髄性運動失調

・・・など。

 

いずれの症状も緩徐進行性なため、脳卒中のように急激に出現する症状ではない。

 

 

小脳性運動失調

 

運動失調でも小脳の異常を原因とする場合を「小脳性運動失調」と呼ぶ。

※小脳は運動がスムーズに行えるように調節する役割がある。

 

脊髄小脳変性症ではこの小脳機能が正常に働かなくなるため、歩行、上下肢の運動、発語などに支障をきたす。

 

体幹失調

歩行では、酩酊様歩行(めいていようほこう⇒酔っぱらったような歩行)となり、身体を動揺させながら歩くようになる。

※このような歩行時や起立時の動揺がみられる場合、その状態を体幹失調呼ぶ。

歩隔(両足の横方向の間隔)は広く(つまり、足を開く状態)なる。

※これは地面に着く足底の面(=支持基底面)を広くして安定させようとするためである。

評価として、つぎ足歩行(踵と爪先を着けて両足を一直線に並べて歩く)はうまくできない。

※関連記事⇒『タンデム肢位やつぎ足歩行を解説!

 

 

下肢の運動失調

下肢の運動失調に該当する症状としては以下な感じ。

歩行時、下肢の振り出しのコントロールができず、前へ放り出すような動き

下肢失調の評価としては踵膝脛試験などがある。

 

 

上肢の運動失調

上肢では、書字が下手になった(思ったところでペンを止めることができないなど)、箸がうまく使えないなどの症状がみられまる。

診察としては鼻指鼻試験などを行う。

※指や鼻に触れる位置がずれる(測定異常)、空中での指の動きが動揺する(運動分解)、指や鼻の目標に近くなると震える(企図振戦)などの所見がみられる。
その他、実際に書字をしてもらう、紙面上で開始と終了位置を指定して線を引いてもらう(運動失調があると、引いた線が終了位置を通り越したり、手前で止まったりする)などの方法もある。

 

 

構音障害と嚥下障害

運動失調により、構音障害や嚥下障害がみられる。

構音障害では、以下などの症状がみられる。

不明瞭発語前後の音節がつながり、メリハリのない発音になる

爆発性言語声が急に大きくなる

断綴性言語(だんてつせいげんご)途切れ途切れの発音になる

・・・など。

 

また、進行すると嚥下障害もみられるようになり、むせや誤嚥が出現する。

※誤嚥性肺炎の発症に注意が必要となる。

関連記事⇒『誤嚥の基礎知識

 

 

眼球運動障害・眼振

運動失調により、眼球は衝動性運動(saccadic movement)と呼ばれる運動になる。

また、検者の指を追視してもらうと、眼球は細かく引っ掛かりながら動く。

眼振もみられる。

 

 

錐体外路症状(バーキンソニズム)

パーキンソン病と同様の症状、すなわち以下などがみられる。

・動作緩慢

・無動

・固縮

・姿勢反射障害

歩行は小股で前傾姿勢になる。

 

 

錐体路症状

痙縮がみられ、歩行時の膝の屈曲が減少する。

進行した場合はさみ脚歩行(脚をはこうささみのように交叉させて歩く)がみられる。
診察所見では、腱反射(深部反射)亢進・バビンスキー徴候(足底の外側を後ろから前へこすると、第1趾が伸展する)などがみられる。

 

 

自律神経障害

排尿障害・勃起障害(男性).起立性低血圧・発汗低下などがみられます。

起立性低血圧に関しては、テイルトテーブルを用いて行うと、より鋭敏に血圧変化を測定
できるが、血圧低下による失神には注意が必要。

 

 

脊髄性運動失調

脊髄後索の障害で起こる運動失調を『脊髄性運動失調』と呼ぶ。

深部感覚障害が起こるため、足底からの位置覚情報が脳に伝わらず歩行時の動揺がみられる。開眼していれば身体の位置情報を視覚から脳に伝えることができるため、ある程度安定を保つことがでる。このことを利用したのが『ンベルグ(Romberg)徴候』である。

関連記事⇒『運動失調(失調症)の評価法まとめ一覧

 

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脊髄小脳変性症の「診断」と「評価」

 

病歴および家族歴を含め前述の臨床的特徴を診察し、以下などの条件を満たせば脊髄小脳変性症の疑いが強くなる。

 

  • MRIなどの頭部画像所見において小脳や脳幹部の萎縮を認める
  • 尚且つ、脳血管障害、脳腫瘍、感染症、自己免疫疾患、栄養素欠乏、中毒などの二次性の運動失調症を否定できた場合

 

 

脊髄小脳変性症の評価

 

脊髄小脳変性症は慢性進行性の経過をとる。

そのため、経過や治療効果を判定するためにも評価は重要となる。

 

小脳失調の評価として、ICARSInternational Cooperative Ataxia Rating Scaleが用いられてきたが、信頼性は高いものの19項目と多い点がデメリットとなる。

 

で最近は、ICARSから8項目(歩行、立位、座位、言語障害、指追い試験、鼻指試験、手の回内・回外運動、踵脛試験)に項目を絞ったSARA(scale for the assessment and rating of ataxia)という評価法が用いられるようになっている。

 

※SARAの評価用紙(PDFファイル)は以下なので、どんな内容か知りたい方、あるいは評価用紙がほしい方はアクセスしてみてほしい。

関連記事⇒『SARA評価用紙(PDFファイルダウンロード)

 

また脊髄小脳変性症は、基本動作におけるバランス機能評価が大切であることから、バーグバランス尺度(BBS ; Berg balance scale)が勧められる。

 

あるいは、機能評価だけでなくADLやIADLについての評価も行う。

関連記事

⇒『FIMとは?FIMの評価項目・点数もガッツリ網羅!

⇒『バーセルインデックス(Barthel Index)の判定基準!

 

 

眞野の「介助量からみた重症度分類」の移動項目

 

リハビリ(理学療法)の参考になりそうな指標として「眞野の介護量からみた重症度分類」のうち移動障害を記載しておく。

 

stageⅠ:交互に片足跳び(スキップ)が出来る(3m以上)。

stageⅡ:両足同時にその場でジャンプが出来る(着地後バランスを保てる)。

stageⅢ:歩行と立ち止まりが出来る(5・6歩歩いて)

stageⅣ:這い這いなどどんな方法でも1人で移動ができる(1分間に1.8m以上)

stageⅤ:まったく介助なしでお座りができる(1分以上)

stageⅥ:寝たきり状態

 

※参考:眞野行生:小脳および雅底核病変による運動障害.上田敏ほか(編):リハビリテーション基礎医学pp.134-148.医学書院1994.

 

第1期:自分で行える時期

この期は、自立歩行可・起立時の開脚・両脚を広げた歩行・階段は上れるが下りにくいとしている。

SCDにおける理学療法を実施する場合、障害が下肢に強艇なのか上肢にか、また、末梢寄りに強度なのか中枢寄りなのか、それとも体幹なのかを評価することは重要である。

この期にはPNF(固有受容性神経筋促通法)による運動のタイミング、特に拮抗運動の切り替えなどを行う。階段を下りることの困難性に対しては、大腿四頭筋の遠心性収縮での筋活動制御練習などもADL練習における一つのアイデアとなる。

歩行動作などにおいては、重錘負荷(重錘の重量は、適時調整する必要がある)や弾性緊縛帯などを試みる。その状態での反復練習(フレンケル体操など)やバランス練習を加味していく。

歩行練習時に徒手による肩への垂直圧(関節への圧縮)を加えたり、骨盤の回旋に対する抵抗圧を加えて、同時に運動を導いていく方法もある(これもPNFなどファシリテーションテクニックの一環として用いられる)。

 

第Ⅱ期:一部介助を要する時期

この期は、歩行器の使用、階段の昇降は困難、車いすでの移動、とされている。ADL遂行上の歩行器の使用に関しては「歩行器に重量を負荷し使用する」といったアイデアもある。歩行器の代わりに車いすに重景物を乗せ、これを押させる方法が扱いやすい場合もある(疲れたら、車いすとしても使用することができ便利だったりする)。

 

第Ⅲ期:ベッド上臥床

この期は、臥床による廃用性障害を防止し、介助座位の場合は起立性低血圧などに注意するとともに、自助具などを含む福祉用具の導入によりADLの維持に努める。

 

 

脊髄小脳変性症のリスク管理

 

脊髄小脳変性症におけるリスク管理の一例は以下の通り。

※参考:『小林量作:神経難病,リスク管理実践テキスト,石黒 友康ほか監修,改訂第2版,診断と治療社,東京,165-176,2012』

 

  • 転倒:

    運動失調、平衡機能障害により移動時、姿勢変換時にバランスを崩して転倒しやすい。重度になると姿勢保持中でも転倒することがある。深部感覚障害では夜間・閉眼時の姿勢保持・移動に注意する。対策としては、住宅改修などにより手すりを設置し、上肢で支持できるか所を確保しておく。これにより(開脚して支持基底面を広げたり)3点支持(両下肢+片手支持)や4点支持でバランスを取ることなどが挙げられる。

 

  • 起立性低血圧:

    自律神経障害により早期あるいは晩期から起立性低血圧が生じる。廃用性による起立性低血圧を合併することもある。対策としては、臥位から一気に起立しないで「徐々に起き上がる」「中間姿勢を経る」などが挙げられる。立ち上がるときは座位や四つ這いで短時間休むことを行うことも有効である。その他、下肢の弾性ストッキング着用を行うなどのアイデアがある。

    ⇒『起立性低血圧 ―対処法や予防法も紹介するよ!

 

  • 体温調節障害:

    自律神経障害を原因により、体温調節がうまくできないことがある。特に室温に注意する。

 

  • 嚥下障害:

    晩期では嚥下障害を合併する。窒息、誤嚥性肺炎に対するリスク管理として、食事姿勢や、食事介助方法の習熟は大切となる。

 

 

  • 脱水:

    高齢者、食事摂取の少ないものに注意する。排尿回数を減らすために水分摂取を控えることがないように監視する。

    関連記事⇒『高齢者の脱水と予防の知識

 

  • その他:

    排尿障害では尿量を記録する。

 

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脊髄小脳変性症のリハビリ

 

ここからは、脊髄小脳変性症のリハビリ(理学療法・作業療法)に関するポイントを記載しておく。

 

リハビリにおける留意点:廃用症候群に注意せよ!

 

脊髄小脳変性症は「運動障害」なので、運動量が少なくなりがちである。

 

つまり『廃用症候群』に陥りやすいとうことになり、この廃用症候群を予防することはリハビリの目的に一つと言える。

 

関連記事

⇒『生活不活発病って何?廃用症候群と違うの? 徹底解説します!

⇒『廃用症候群を総まとめ!看護/介護/リハビリで必須な知識を復習しよう

 

で、廃用症候群を予防するためにも、病初期の軽症のうちから運動習慣をつけるように指導が望ましい。

 

※また、進行した場合は、手すりや固定された支えになるものを用いるなどして安全に運動できる方法を指導することも重要だ。

 

※立位での運動が困難になった場合は、椅子に座っての運動や臥位での運動を指導するなど、病期に合った内容に変更してく必要がある。

 

※っとなると、病状の進行を考えて、病初期から、椅子やマットでの運動も取り入れて運動プログラムを作ることが望ましい。

 

 

また、廃用症候群に関係なく、運動失調を補う手段として筋力は必要であり、筋力が十分にあるほうが良いことは明確なため、筋力増強訓練も重要となる。

 

 

脊髄小脳変性症(運動失調)に対するリハビリ

 

運動失調に対するリハは、運動反復が基本となる。

 

でもって脊髄小脳変性症では小脳の変性のため運動学習能力が低下してしまうが、進行した重度の状態でない限り、運動反復により運動機能の改善が期待できる。

 

※例えば、上肢の動作を10回繰り返すと、最初は運動分解が高度であっても、終盤では運動分解の程度が改善し、一定のところに集約することが報告されている。

 

※また、1カ月間の集中リハ(理学療法と作業療法)により運動失調が改善し、その効果が数カ月続くことも報告されている。

 

MiyaiらはSCDに4週間の集中リハを行い、歩行速度は終了後24週後もベースラインよりも改善していたと報告している。

運動学習を繰り返すことで小脳の可塑性を増強させることができるといえる。

 

宮井一郎:脊髄小脳変性症の歩行障害の特徴とリハビリテーションアブローチの可能性(特集 神経・筋疾患による歩行障害へのアプローチ).MB Med Reha, 71:33-38,2014.

 

構音障害に対しても反復訓練が基本である。

 

嚥下障害に対しては、頚部や舌の運動訓練を行うほか、誤嚥を防ぐために食形態の工夫が必要になる。

 

SCDは病型により程度は違っても進行性疾患なので、長期的にみると症状の進行は避けられないが、その中でも多少なりとも運動失調の症状軽減を図り、活動と参加を向上させることができれば、それは価値のあることと考えられる。

 

ここでは割愛するが、重り負荷・弾性包帯装着、PNFなどによるリハビリに関しては以下の記事も参考にしてみてもらいたい。

 

⇒『運動失調(協調運動障害)とは? 失調症についてザック解説!

 

 

移動補助具や住環境について

 

脊髄小脳変性症は徐々に進行するため、歩行が可能であった場合でも歩行器歩行、車椅子による移動レベルへと移行する。

 

転倒の危険性が増し、筋力低下などの廃用の予防や歩行補助具の指導、環境調整を適切に行う必要がある。

 

後ろへ戻らないようにカムをつけた車椅子やおもりを負荷した歩行器を利用すると、立ったり歩いたりするときにバランスが乱れるのを抑制する効果が期待できる。

 

 

住環境に関しては、以下など様々な工夫をすることで転倒を予防する。

  • 玄関の段差をなくす。
  • 廊下・浴室・階段などに手すりを設置する。
  • 階段の滑り止め設置
  • 不安定な家具などは固定が必要な場合も(ふらついたときにつかまろうとすることがあるため。特に居間は不安定な家具が多く、また過ごす時間が長いため不安定な家具がないか重点的にチェックしておく)

 

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予後について

 

予後は病型によって大きく異なる。

 

例えば多系統萎縮症は、小脳症状だけでなく自律神経障害、錐体外路症状も加わるため、予後はよくない。

発症後5年で車椅子が必要になり、8~10年程度で臥床状態になることが多いといわれている。

夜間の喘鳴や睡眠時無呼吸に注意が必要で、突然死も起こり得る。

皮質性小脳萎縮症は小脳症状のみで進行が緩徐なため、予後は比較的良好と言われている。

 

一方で、遺伝性SCDでは経過は様々だ。

小脳症状のみのSCA6では進行は緩徐であり、予後は比較的良好と言われている。

その他の病型では、一般に世代を経るごとに遺伝子異常が強くなり、発症年齢が早まり、また、重症化する傾向がある。

※これを『表現促進現象』と呼ぶ。

 

 

問題を解きながら復習しよう

 

以下は脊髄小脳変性症に関する問題集(リハビリテーション医学Q&A)から引用している。

復習がてらに解いてみてほしい。

 

わが国の脊髄小脳変性症について正しいのはどれか?

 

①遺伝性のほうが非遺伝性より多い。

②非遺伝性では自律神経障害は少ない。

③遺伝性のほうが非遺伝性より短期間で歩行困難になる。

④痙性対麻痺を呈する遺伝性のものがある

⑤遺伝性のほうが非遺伝性より頭部MRI所見で橋中部の十字サインが多い。

 

回答⇒④

 

問題の解説

 

問題①~⑤における解説は以下になる。

 

①わが国の脊髄小脳変性症は遺伝性(約l/3)より非遺伝性(約2/3)のほうが多い。

 

②非遺伝性の脊髄小脳変性症で最も多いのは多系統萎縮症であり、自律神経障害を認めることが多い。一方、遺伝性脊髄小脳変性症で多いのはSCA3、SCA6、SCA31やDRPLAである。

 

③多系統萎縮症の半数が約8年で補装具なしでの歩行が困難になるのに対して、

SCA3では約14年、SCA6では約18年であり、非遺伝性のほうが遺伝性より歩行困難になるまでの期間が短いといえる。

 

④遺伝性脊髄小脳変性症の中に、後索障害や痙性対麻痺を呈するものが一部ある。

 

⑤頭部MRIのT2強調画像水平断で橋中部に十字サインを認めるのは多系統萎縮症であり、遺伝性脊髄小脳変性症の特徴ではない。

 

 

関連記事

 

⇒『運動失調(協調運動障害)とは? 失調症についてザック解説!

 

⇒『フレンケル体操ってなんだ? | 失調症のリハビリを考える

 

⇒『運動失調(失調症)の評価法まとめ一覧

 

⇒『指定難病も多い「神経筋疾患」まとめ